劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬの映画専門家レビュー一覧

劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ

平尾アウリの人気漫画を原作にしたアイドルグループ乃木坂46の元メンバー、松村沙友理主演のドラマの劇場版。岡山のローカル地下アイドルChamJamの舞菜を全力で推すえりぴよ。一方、ChamJamが東京進出に向け動く中、舞菜は人気が伸び悩んでおり葛藤していた。監督は、ドラマ版でもメガホンを取った、「4月の君、スピカ。」の大谷健太郎。松村沙友理が伝説のファン・えりぴよを、「18歳、つむぎます 私の卒業 -第4期-」の伊礼姫奈がChamJamのメンバー・市井舞菜を引き続き演じるなど、キャスト陣も続投している。劇中に登場する7人組アイドルChamJamのメンバーのうち4人として出演するアイドルグループ@onefiveが主題歌も担当。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    大谷健太郎監督によるショービジネスものといえば「NANA」1作目(2作目はほとんど憶えてない)を思い出すが、あれから20年弱でこの国のポップカルチャーが人々に与える夢も随分小さくなったものだな、というのが正直な印象。日本特有のファンダム、いわゆる「推し」文化の健全な側面だけに光を当てるという欺瞞は、コミックやアニメなら見過ごせるとしても、実写になると途端に白々しいものとなる。劇中のグループアイドルが歌う楽曲群のクオリティがそれなりに高いのが救いだ。

  • 映画評論家

    北川れい子

    はっきり言って大人はお呼びじゃない映画だが、誰かが傷ついたり死んだりするわけでもなく、達成感もそれなりに。なによりも、私の人生の一分一秒に舞菜が必要なんです、と言いきる主人公の屈託のなさ。岡山の地下アイドルグループの舞菜を本気で応援、いや“推し活”する熱量半端ない娘。そんな主人公とそれぞれに癖のある推し活仲間のエピソードを賑やかに描いていくのだが、歌って踊るアイドル役の若手女優たちより、主人公役の松村沙友理のほうがイキイキしているのがご愛敬。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    ベン・アフレック「AIR」を観て思ったのは、すごく面白いんだけどあまりにもすべてが物質文明と商業主義の枠内での充実によって完結してないかということだったが、本作にもちょっとそれに近いものを感じた。また、いまや市場は水平に地理的に開拓されるのではなく個々の内面を垂直に掘削してつくられているのか、とも。しかしほとんどの人間がこの文明の形態からは逃れられないのだから、そこで金銭の費消と労働によって愛を証明するというのも当然の、正当な行動ではないか。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事