それいけ!ゲートボールさくら組の映画専門家レビュー一覧

それいけ!ゲートボールさくら組

「愛のコリーダ」「龍三と七人の子分たち」などの藤竜也主演によるスポ根人情コメディ。高校時代、ラグビーで青春を謳歌していた76歳の織田桃次郎。久々に再会した友の窮地を救うため、かつての仲間たちとゲートボールのチームを結成して勝利を目指すのだが……。共演は「つむぐもの」の石倉三郎、「セーラー服と機関銃(1981)」の大門正明、『ウルトラセブン』の森次晃嗣。監督は「紫 MURASAKI 伝説のロック・スピリッツ」の野田孝則。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    老人たちがケア施設存続のためにゲートボールをする。この主語と目的語が違う同工同曲の映画をどれだけ観てきたことか。パターンが悪いわけではない。王道やるなら、他とは違うディテールをどう見つけるかが勝負。認知症、引きこもり、言えなかった想いなど、類型が予定調和過ぎる結末を迎える。この手の映画の成功例を観た上でこれでいいと思っているのか。大袈裟過ぎて笑えないコメディ演技。ルールも不明だから試合にもトキメかない。娯楽映画モドキの失敗例がすべてここに。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    「がんばれ!ベアーズ」のように弱き者たちが奮闘努力して強き者たちをくじくという典型的なスポーツ映画の筋立て。ところが、どうやってこのチームが強くなったのかという肝心の部分がおざなりで説得力がない。だからまさかの快進撃が始まってもワクワクしない。さらにいえばゲートボールのルールが最後までよくわからない。それでいて登場人物の感情表現は大仰で説明過多。人生の酸いも甘いも知るシニア世代の鑑賞には堪えそうにない。藤竜也の枯れた色気だけが救い。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    深刻な時事問題へのアプローチのひとつと理解しつつ、すべての命運をゲートボール大会の結果が握る設定に説得力がない。似ても似つかぬ接待ゴルフとゲートボールに共通点を見出す発想はなかなかユニークなものの、あまりに卑怯な天敵像が、その面白さすら半減させる。回想場面も、キャプテン以外は誰が誰やら一緒くたの扱いで配慮に欠け、チームプレーに根差す輝ける青春を生涯貫く素晴らしさを謳う主題に反し、ベテラン俳優陣のガッツ溢れる好演も虚しく、ちぐはぐな印象を与える。

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