バービー(2023)の映画専門家レビュー一覧

バービー(2023)

世界中で愛されているファッションドール“バービー”の世界を「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督が実写化。完璧でハッピーな毎日が続く夢のようなバービーランドで暮らすバービーとケン。ある日、ふたりは完璧とは程遠い人間世界に迷い込んでしまい……。出演は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」のマーゴット・ロビー、「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング。脚本をグレタ・ガーウィグと「マリッジ・ストーリー」のノア・バームバックが担当する。
  • 文筆業

    奈々村久生

    「フランシス・ハ」(12)でガーウィグを観たとき、監督としてハリウッドの第一線に躍り出るとは思いもしなかったが、インディーズシーン出身かつ女性である彼女が、“理想の女性像”を世に刷り込んできたバービーのフォーマットを使って、#MeTooの先にある女性のあり方を提示する試みは、それ自体が変革だ。新しい価値観を語るには説明が不可欠だが、それらを「言語化することで洗脳を解く」というメタ的な演出に重ね、男性の生きづらさにまで言及した手腕はさすがの一言。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    「トイ・ストーリー」じゃなく、この物語のパターンで「トランスフォーマー」や「G.I.ジョー」も撮って欲しい(あ、よく考えたら、それ「レゴ・ムービー」か……)。マーゴット・ロビーって自分の顔や体型がキモいってわかってる人なんだな。ライアン・ゴズリングって、ものすごい芸人なんだな。バービー人形の発売ってパラダイムシフトだったんだな。多様性のことを言えば、すべての女児が人形を好むわけではないとは思うが、まあいいか。理屈で作られた映画だけど、僕は理屈が好きなので気に入りました。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    フェミニズム問題の最前線にいるマーゴット。本作でのバービーランドも、すべての職業をバービーたちが担っている。しかし人間界からの負の逆流が、完璧なはずのバービーを侵食し始め、解決法を見出すためにバービーは人間界へ向かう。しかし勝手に同伴したケンが、現実の「男らしさ」に憧れを見出し、バービーランドは人間界に汚染されてしまう。中絶反対が起こる世で少女らが赤ん坊人形を叩き壊し、バービーを手にする描写も必然であろう。だが全般に騒々しい演出のみが続くため逆に平坦に感じる。

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