プチ・ニコラ パリがくれた幸せの映画専門家レビュー一覧

プチ・ニコラ パリがくれた幸せ

フランスで50年以上愛され続け、世界30カ国で翻訳されている児童書『プチ・ニコラ』の誕生秘話を描いたアニメーション。親友同士の原作者、イラストレーターのジャン=ジャック・サンペと作家のルネ・ゴシニの人生に『プチ・ニコラ』の物語を交えて描く。第75回カンヌ映画祭正式出品(スペシャル部門)。2022年アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)受賞。監督はTVアニメシリーズのディレクターとして活躍してきたアマンディーヌ・フルドンと、アヌシー最高賞&観客賞を受賞した「失くした体」などの編集を担当し、本作で監督デビューを飾るバンジャマン・マスブル。原作のジャン=ジャック・サンペがグラフィック・クリエーターとして参加した。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    ニコラに女の子の友だちができる。彼女は親の前では大人しくしている。ニコラと二人きりになると本性を現す。サッカーボールを蹴っ飛ばし窓が割れる。全部ニコラのせいになって怒られる。小学生の男の子と女の子の関係ってこんな感じだったと思い出す。とびきり明るくて懐かしい物語。作者二人の物語も同時に描かれる。彼らの会話の中から次々とキャラクターが生まれていく。共作の喜び。この二人が出会わなければ作れなかった。小さなニコラがそこかしこに登場する。かわいい。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    幸せとは言い難い子供時代を過ごしたからこそ、せめて物語のなかで理想的な家族とすくすく育ってゆく男の子の存在を描きたい。その動機に何の疑いもない。しかし男の子女の子と疑問もなく育て分けられる子供たちの成長物語であったり、ニコラのキャラクターのくったくのないやんちゃな男の子という描き方は、現代から見るとやはり「昔の男の子の育てられ方」なのだと感じてしまう。生みの親ふたりの友情とラストシーンで見せるニコラの「成長」は確かにいいシーンなのだが。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    もともとは実写とアニメを組み合わせるような企画だったとのこと。原作者2人をめぐる部分をアーカイヴのフッテージを使ったドキュメンタリーとして構成し、そこに「プチ・ニコラ」本篇のエピソードをアニメーションで見せていくという趣向だったようだ。本作はそこから発想を転換させ、作家のルネ・ゴシニとイラストレーターのジャン?ジャック・サンペの姿もアニメーション化し、「プチ・ニコラ」が生み出されて発展していくさまをこの児童書の世界の中に位置付け直してみせた。

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