カンダハル 突破せよの映画専門家レビュー一覧

カンダハル 突破せよ

元アメリカ国防情報局職員の実体験に基づく戦争アクション。機密情報漏洩により、全世界に素性が知られてしまったCIA工作員トム・ハリスは、脱出のため、潜入中のイランからアフガニスタン南部のCIA基地を目指す。だが、その命を狙う敵が立ち塞がる。主演は「グリーンランド 地球最後の2日間」のジェラルド・バトラー。
  • 文筆業

    奈々村久生

    ジェラルド・バトラーといえばアクション。「300〈スリーハンドレッド〉」(07)で演じたスパルタ王が強烈すぎていまだに引きずってしまう。それほどハマり役だった反面、俳優のイメージが特定のジャンルに直結するのは一長一短。本作では複雑に絡み合うアメリカと現地勢力との関係を反映した、アフガニスタン人通訳との愛憎入り交じる人間ドラマも描かれるが、バトラーのあまりにもマッチョな存在感が、その機微をブルドーザーのように薙ぎ倒している感は否めない。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    単純に西側を正義とする国際紛争アクション娯楽大作かと思いきや、頭を空っぽにして楽しんではいられないハードさだった。死体とかをリアルに描いて「戦争はよくないです」ってあたりまえのことだけ言って終わる予定調和の映画でもなかった。もうちょっと複雑なことを考えざるをえなくなる映画だった。主人公は生き延びる技術は超人的だけどヒーローではなく、冒険の依存症患者だった。作中で「神よ、死ぬ者も生き残る者も赦したまえ」と、ある人がつぶやいた。まったくだよ、と思った。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    中東の砂漠を群雄割拠というより、魑魅魍魎が生きながら互いを喰い合っているような込み入った景色。CIA工作員のG・バトラーが、イランの核開発施設を破壊したことが漏洩して追われる身となり、アフガニスタン南部のカンダハルにあるCIA基地へ逃亡する。しかしイランに加えタリバン、パキスタンなど、政治に疎いとパッと見、どの集団か理解しづらい四つ巴の戦いとなり、もはや何がなんだか。ただクールな演出だし、夜間の戦闘で暗視カメラと発砲炎しか映らない、真っ暗闇な映像は素晴らしい。

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