極限境界線 救出までの18日間の映画専門家レビュー一覧

極限境界線 救出までの18日間

「哭声/コクソン」のファン・ジョンミン×『愛の不時着』のヒョンビン初共演による実話に基づくサスペンス。タリバンに拉致された韓国人23名の人質救出のため、アフガニスタンに向かった外交官チョン・ジェホは、現地工作員パク・デシクと共に交渉作戦を展開する。共演は「最も普通の恋愛」のカン・ギヨン。監督は「提報者 ES細胞捏造事件」「リトル・フォレスト 春夏秋冬」のイム・スルレ。
  • 映画監督

    清原惟

    9.11から数年経ったアフガニスタンを舞台にした、テロ組織と韓国政府の取引を描くサスペンス。実現するのが難しいだろう設定なのにもかかわらず、無理を感じない撮り方がされていることに驚く。凄腕の工作員役は、『愛の不時着』のヒョンビンなのだが、あくまでスターとしてではなく泥臭い人間としてそこにいる。私はなんと途中までヒョンビンだと気がつかなかった。わかりやすい損得を用いた論理的な交渉ではなく、もっと複雑な心理戦としての戦いが描かれていることに痺れた。

  • 編集者、映画批評家

    高崎俊夫

    辣腕ネゴシエーターの丁々発止の暗躍を描く映画は少なくないが、2007年にアフガニスタンで起きたタリバンによる韓国人23名拉致事件をヨルダン・オールロケで撮ってしまう今の韓国映画界の胃袋の大きさにはいささかたじろいでしまう。人質が2名射殺とほぼ史実通りのプロット、そしてタイムリミットの設定による緊迫感の醸成。イデオロギーを脱色させ、タリバンの酷薄さを露わにさせつつ、エリート外交官とはぐれ者の工作員のバディ・ムーヴィーとして成立させる王道の語り口には感心する。

  • 映画批評・編集

    渡部幻

    2007年のアフガニスタンでイスラム過激派が韓国人キリスト教宣教師グループを誘拐、この人質事件をめぐる外交官と諜報員の奮闘を描いた社会派娯楽作。センセーショナルな題材だが、タリバンと拉致被害者への洞察に欠け、すぐに古めかしいパターンを踏襲したヒーロー物語に変わる。アクションスリラーに新たな個性を加える演出の飛躍もないし、カン・ギヨンとヒョンビンの熱演にしても後半に進むほど平板なものとなる。堅いことを言わずに楽しめる場合もあるが、ぼくは興醒めしていた。

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