シチリア・サマーの映画専門家レビュー一覧
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文筆業
奈々村久生
同性愛者であると知られることは社会的な死に値した80年代シチリア島の時代劇。よくも悪くもクラシックな作劇と演出であり、眩しい太陽と美しくも儚い花火の光に彩られた少年たちの描写は、イノセンスへのロマンチシズムに溢れていて、若さゆえの刹那を含め、その?末は是枝裕和監督の「怪物」を想起させる。自分たちの価値観が正しいと信じて疑わない、ステレオタイプな父親や叔父の対応に反し、少年たちの双方の母親が示す葛藤とその発露に、当事者以上のきめ細かさが滲む。
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アダルトビデオ監督
二村ヒトシ
僕は美少年は大好物なんですけど、本作は無難に美少年と美少年が愛しあうのを小エロく描いといて最後に二人は差別に殺されて悲しくも美しかったですね、じゃ済まなかった。最初ゲイの子をいじめてた不良どものホモソーシャルは、ひどい差別をしながら同時に発情もしてることが描かれ、主人公を愛情で包んでいた家族や親戚たちが同性愛をマジで忌み嫌ってるのを終盤で目にした不良たちはドン引き。「正しさ」と世間の常識と普通の宗教と家族愛が地獄であるという、重い傑作。
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映画評論家
真魚八重子
シチリアの風光明媚さがかき消されるほどの、同性愛者への差別。世界中で映画はLGBTQに対する嫌悪や差別を露わにする人々を描き続け、同性愛の映画の中でも〈迫害〉はもはや一ジャンルを成すだろう。同性愛嫌悪と女性差別はセットになっていることも多く、シチリアも男がのさばってきた歴史がある。本作も差別主義者とは断絶があり、同性愛者を毛嫌いする人を説得するのは難しいという諦念に囚われる。ただし映画の出来不出来はまた別の話で、銃声だけで処理したラストは端折りすぎではないか?
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