緑の夜の映画専門家レビュー一覧

緑の夜

「355」のファン・ビンビンと「ベイビー・ブローカー」のイ・ジュヨンが共演したドラマ。苦難に満ちた過去から逃れるため、中国を離れて韓国で暮らすジン・シャは、ミステリアスな緑色の髪の女と出会い、危険で非合法な闇の世界に巻き込まれていく。共演は「イントロダクション」「アバンチュールはパリで」などのホン・サンス作品で活躍するキム・ヨンホ。
  • 文筆業

    奈々村久生

    これが実質的な復帰作となるファン・ビンビンが、きっちりくたびれた女で帰ってきているところにぐっとくる。さらに『梨泰院クラス』のトランスジェンダー役が好フックとして機能しているイ・ジュヨンとのコラボは、世代や国籍を超えた二人が刹那的に接近するワンナイトの熱さと儚さがエモーショナル。港の荷物検査シーンで、女性が女性の体のラインに沿って金属探知機を滑らせる、出会ったばかりの二人が無言で交わる艶かしい距離感。女性監督がシスターフッドで描くその関係性が美しい。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    中韓ベテラン若手の二大女優W主演で、男の暴力支配に反逆するぎこちないシスターフッドを女性監督が撮る。男が撮った「テルマ&ルイーズ」、性別適合前のMtF監督が撮った「バウンド」(どっちも男である僕には面白かった。えっ、どっちももう30年くらい前なの?)と比べて痛快さはまったくなく、乾いていて重い。いま撮ったら、そりゃそうなる。そこがいい。虐待を受けてる側が陥る依存も描かれてる。母なるものを失ったままの女の物語でもあるのだろう。それでも女と女は出遭って、別れる。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    ジン・シャを演じるファン・ビンビンの変わらぬ美しさに陶然としながらも、行き当たりばったりの物語に困惑する。彼女は保安検査場での仕事中に、緑色の髪をしたエキセントリックな少女と出会う。職業柄、本能的に危ういものを感じつつ、その少女に惹かれて一寸先は闇の世界に踏み込んでいく。しかし緑色の少女にもっと飛躍する世界観があれば良かったが、ただ単につまらぬ運び屋で無駄な時間だった。何よりラストが許せない。可愛いチワワを巻き添えにする意味が理解できない。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事