不死身ラヴァーズの映画専門家レビュー一覧

不死身ラヴァーズ

「ちょっと想い出しただけ」の松居大悟監督が高木ユーナの漫画を構想10年の末に映画化したラブストーリー。長谷部りのは甲野じゅんを運命の相手と信じて追いかけ、両想いになった途端にじゅんが世界から忽然と姿を消すのを何度繰り返しても想いを伝え続ける。諦めずに何度でも全力で想いを伝える長谷部りのを「衝動」の見上愛が、りのが追いかける甲野じゅんを劇団EXILEのメンバーで「軍艦少年」などに出演する佐藤寛太が演じる。
  • 文筆家

    和泉萌香

    両思いになってはその彼が消え、同じ彼が現れ、「運命の相手」と信じ込んで向日葵のような笑顔で告白しまくる主人公……という、リアリティの全てを無視した超特急の前半部分に「運命」にはピンとこなくなった自分、動悸が止まらない。その異様っぷりの正体は無事に明かされていくが、本作がスゴいのは、10代の突飛な少女のものであろう(漫画から飛び出してきたような)着色料たっぷりのキャンディのように色付けされた世界が最後まで増強され続けることである。なんだこれ!

  • フランス文学者

    谷昌親

    松居大悟監督の10年越しの企画ということで、熱量が感じられる作品ではある。しかし、原作の漫画とは設定を変えているものの、ファンタジー的要素のある物語を実写映画にするのはやはり力技で、その力の入りようが軋みを生じさせる。軋みを表現に昇華させる作品もないではないが、この映画は愛情讃歌を正面から描こうとしているだけに軋みは軋みのままだ。新興住宅地らしき家が並ぶ斜面が立ちふさがったり、高台のむこうに町の景色がひろがったりするロケーションは印象的だ。

  • 映画評論家

    吉田広明

    未読だが、原作漫画は強引な展開ながら、荒削りで勢いのある画でねじ伏せてゆくのが魅力ということらしかった。一方本作は、画が粗削りというわけでもなく、また逆に洗練されることで新たな魅力が引き出されるわけでもない。画自体に強い印象がなく、そのため話自体に関心は集中するのだが、そうすると不自然な設定と強引な展開だけが悪目立ちしてくる。本作の場合、漫画の画としての表現をいかにパラフレーズするかによほど留意しなければ。原作ありきはそう簡単ではないという教訓。

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