ライド・オンの映画専門家レビュー一覧
ライド・オン
ジャッキー・チェンが第一線を退いた伝説のスタントマンを演じるアクション。撮影所に住み込み、愛馬チートゥと地味な仕事をこなすルオ・ジーロン。ある日、債務トラブルをきっかけにチートゥが競売にかけられることになり、疎遠だった一人娘に助けを求めるが……。共演は「崖上のスパイ」のリウ・ハオツン、TV『贅婿(ぜいせい) ムコ殿は天才策士』のグオ・チーリン。ジャッキー・チェンが初めてのスタントマン役に挑む。これまで多くの作品でジャッキー・チェンの吹き替えを務めており、2023年3月末をもって声優業引退を発表した石丸博也が、本作のために限定復帰し、吹き替えを担当。ジャッキー・チェン主演50周年記念作品。
-
文筆業
奈々村久生
時代遅れのスタントマン精神にこだわる男が、愛馬チートウと自らの老いに直面しながら、ひたすら葛藤する。大規模な合戦シーン撮影の舞台裏が垣間見られるのは面白い。ところが彼の進退を左右する肝心の場面で、風を切って駆ける馬のたてがみは、チートウのそれと色も違えばそよりともなびかない。騎乗するジャッキーを正面からとらえたそのカットがこれでもかとリピートされる。ダミーを使った合成だと言わんばかりに。皮肉でないとしたら、なぜこんな杜撰な仕事をしたのか理解できない。
-
アダルトビデオ監督
二村ヒトシ
僕はジャッキー・チェン映画をまったく履修せずに来てしまった人間なので、試写で観させてもらって申し訳ないという気持ち。きっとジャッキーとともに青春があってジャッキーとともに歳をとったマニアの皆さんにはたまらん作品なのでしょう。なので僕には楽しみポイントがわからなかったのですが、これは重大なネタバレですけどラストちょっと前の老いたるジャッキーがした判断は、今後のアクション映画の作りかたの変質と重ねられており、その部分にはさすがに感慨をもたざるをえない。
-
映画評論家
真魚八重子
薄情なようだが、あまりジャッキーに思い入れを持たずに来てしまったので、怪我が原因で一線を退いた、スタントマンの主人公という哀れな姿は冷静に観てしまった。本作のジャッキー本人を髣髴とさせる、高齢化の憐憫をベースに立ち上げたような企画も受け止めきれない。人間は老いを避け難く、ユーモアも時代とともに変遷を辿っていくので、馬の器用な動きで笑いを取ろうとされても困る。以前にドキュメンタリー映画があったが、怪我を負ったスタントマンの実話のほうが興味を覚える。
1 -
3件表示/全3件