フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンの映画専門家レビュー一覧

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

1969年の人類初の月面着陸に関し囁かれる捏造説を題材にしたドラマ。PRマーケティングのプロ、ケリーの手腕により月面着陸への関心が高まり、ついにアポロ11号の発射が迫るなか、ケリーは月面着陸のフェイク映像撮影という極秘プロジェクトを任される。監督は、「Love, サイモン 17歳の告白」などを手がけ、「フリー・ガイ」などに製作として携わってきたグレッグ・バーランティ。ケリー役のスカーレット・ヨハンソンは本作のプロデューサーも務める。手段を選ばないケリーに反発するNASAの発射責任者コールを「ザ・ロストシティ」のチャニング・テイタムが、ニクソン大統領の側近モーを「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」のウディ・ハレルソンが演じる。
  • 俳優

    小川あん |フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

    人類の歴史的偉業「アポロ11号」の題材にひねりをくわえ、その裏側に存在したメディアの嘘を描いた壮大なブラックユーモア。それに留まらず、たくさんの夢と希望が詰まっている。95年に製作された「アポロ13」から、語りのアプローチがここまで飛躍するとは。NASAの当時の貴重映像とともにさまざまなギミックを駆使したオープニングから一気に心を掴まれる。後はもう映画のリズムに乗るだけ。やっと、バーランティ監督の実力が明らかになった。これからどんどん映画を撮ってほしい!

  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子 |フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

    捏造映像を保険として撮影しておくことにしたのがやがてサスペンスを生み出すという、根強い都市伝説を逆手に取った着想がなかなか面白く、NASAを支えていた女性たちを讃える側面を備えているのもイマの映画らしくてよい。ところで作品の評価とは全然関係ないが、テイタムがチームメンバーを奮起させる演説シーンを見つつ、こういうのつい最近も見た気がするけど何だっけと考えてみたら「オッペンハイマー」だった。両プロジェクトの本質的類似性やら、表象行為の危うさやらを再度思い知らされた気分。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信 |フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

    1969年の人類初の月面着陸に関わる陰謀をめぐるコメディ。切れ者のPRウーマンをジョハンソン、NASAの発射責任者をテイタムが演じ、二人の掛け合いの楽しさは50〜60年代のハリウッド映画的。全体に往年ハリウッド映画的かつ、古き良きアメリカ的なテイストが濃厚で、最終的に誰も悪役ではなく、見事にハッピーエンドとなる。しかし、その後の世界を生きる我々としては「古き良きハッピーエンド」で映画を終わらせていいのかと。たとえコメディにするとしても月面着陸に対する批評的視点が必要はなずでは。

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