アルフレッド・ヒッチコック

  • 出身地:イギリス、ロンドン郊外レイトンストーン
  • 生年月日:1899年8月13日
  • 没年月日:1980年4月29日

略歴 / Brief history

【サスペンス映画の巨匠】イギリス、ロンドンのレイトンストーン生まれ。本名はAlfred Joseph Hitchcock。幼いころに、八百屋を営んでいた父に「悪いことをするとこうなる」と言われて警察の留置所に入れられたことがあり、それ以来警察嫌いになったと本人は語っている。1908~13年、セント・イグナチウス学校に学び、17年にロンドン大学で絵画とデザインの講座を受講した。14~19年、W・T・ヘンリー電信会社で製図を描き、広告を手がけた。19年、米フェーマス・プレイヤーズ社がイズリントンに設立した撮影所に字幕カード・デザイナーとして入社。22年、脚本家、助監督に転向し、25年にマイケル・バルコンの製作で映画を初監督。3作目の「下宿人」(26)の主人公は連続殺人鬼に間違えられて群衆に追われるという設定で、以後、このパターンのスリラーを数多く撮ることになる。26年12月に結婚したアルマ・レヴィルは以後、脚本執筆で夫を支えた。29年にはイギリス初のトーキー映画「恐喝(ゆすり)」(日本ではビデオ、DVD公開)を手がけた。33年、ゴーモン・ブリティッシュと契約して「暗殺者の家」(34)、「三十九夜」(35)、「間諜最後の日」(36)等を監督。39年、デイヴィッド・O・セルズニックに招かれて渡米し、セルズニック・ピクチャーズでの第一回作品としてダフネ・デュモーリア原作の「レベッカ」(40)を監督。以降、アメリカにとどまり、55年にアメリカの市民権を取得。「疑惑の影」(43)、「汚名」(46)を監督し、スリラーの第一人者とみなされるようになる。もともとアメリカではスリラーは低く見られていたが、ヒッチコックの卓抜したサスペンス手法が認められて、スリラーも高く評価されるようになり、彼自身の地位も高くなっていった。【実験精神が旺盛】最初のカラー作品「ロープ」(48) では一巻一ショット撮影、「ダイヤルMを廻せ!」(54)では立体映画に挑戦(完成したときには立体映画ブームは去っていたので通常版で公開された) と、実験的なテクニックにも果敢に挑戦。他の映画人が軽視していたテレビにも55年から積極的にかかわり、『ヒッチコック劇場』のホストと製作にあたる(時には演出も)。「サイコ」(60) はテレビ製作の手法を使って短時間に少ない人数で手がけた。以後も「マーニー」(64)、「引き裂かれたカーテン」(66)、故国イギリスに戻って「フレンジー」(72)を撮り、76年に最終作「ファミリー・プロット」を発表。68年にアカデミー賞アーヴィング・タルバーグ賞を受賞。80年、英政府よりナイト爵を授与される。「たかが映画じゃないか」「私は俳優を家畜だと言った覚えはない。家畜のように扱うべきだと言ったのだ」など数々の警句を残し、自作の映画に自身がちらりと姿を見せることでも知られている。

アルフレッド・ヒッチコックの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 殺人!

    制作年: 1930
    サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックの初期作品で、ヒッチには珍しく、犯人探しに主眼を置いた古典的な謎解きスリラー。これまでビデオ発売のみだったが、製作から64年を経て初の劇場公開となった。クレメンス・ディーンとヘレン・シンプソンが共同執筆した推理戯曲『サー・ジョン登場』の映画化で、脚本は監督夫人のアルマ・レヴィル。製作はヒッチコックの「ゆすり」も手掛けたジョン・マックスウェル、撮影はJ・J・コックス、美術はJ・F・ミードが担当。主演は、のちにヒッチコックの渡米後第2作「海外特派員」にも出演したハーバート・マーシャル。共演はノラ・ベアリング、フィリス・コンスタム、エドワード・チャップマンほか。
  • スミス夫妻

    制作年: 1941
    ふとしたことから結婚が無効であることが判明した一夫婦の騒動を描くコメディ映画。エグゼクティヴ・プロデューサーはハリー・E・エディングトン、監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はノーマン・クラスナ、撮影はハリー・ストラドリング、音楽はロイ・ウェッブが担当。出演はキャロル・ロンバード、ロバート・モンゴメリーほか。
  • 逃走迷路

    制作年: 1942
    無実の青年が警察の追跡を逃れながら真犯人を探す、ヒッチコック得意の“巻き込まれ方サスペンス”の代表作。監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はピーター・ヴィアテル、ジョーン・ハリソン、 ドロシー・パーカーが担当。撮影はジョゼフ・ヴァレンタイン。編集はオットー・ルドウィグ。主演は「大いなる野望」のロバート・カミングス。ヒロインに「毒薬と老嬢」のプリシラ・レーン。共演はノーマン・ロイド、オットー・クルーガーほか。
    80
  • 第3逃亡者

    制作年: 1937
    無実の罪を晴らそうとする男が真犯人を追うサスペンス作品。製作はエドワード・ブラック、監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はチャールズ・ベネット、エドウィン・グリーンウッド、アンソニー・アームストロングの共同、原作はジョセフィン・ティー、撮影はバーナード・ノウルズ、音楽はルイス・レヴィが各々担当。出演はノヴァ・ピルビーム、デリック・ド・マーニー、パーシー・マーモント、ジョージ・カーゾンなど。
    80
  • バルカン超特急

    制作年: 1938
    列車内で貴婦人が消えた。そして謎の事件に巻きこまれるヒロインを描いたサスペンス作品。製作はエドワード・ブラック、監督は「ファミリー・プロット」のアルフレッド・ヒッチコック、原作はエセル・リナ・ホワイト、脚色はシドニー・ギリアットとフランク・ローンダー、撮影はジャック・コックス、音楽はルイス・レヴィが各々担当。出演はマーガレット・ロックウッド、マイケル・レッドグレーヴ、ポール・ルーカス、メイ・ウィッティ、ノーントン・ウェイン、ベイジル・ラドフォードなど。
    90
  • 海外特派員

    制作年: 1940
    第二次世界大戦直前のヨーロッパを舞台に、アメリカの新聞社から派遣されてきた特派員が巻き込まれる殺人事件と不穏な社会情勢を描いたサスペンス映画で、かつてTVで放映されたが劇場では初公開である。製作はウォルター・ウェンジャー、監督はアルフレッド・ヒッチコック、脚本はチャールズ・ベネットとジョーン・ハリソン、撮影はルドルフ・マテ、音楽はアルフレッド・ニューマンがそれぞれ担当。出演はジョエル・マクリー、ラレイン・デイ、ハーバート・マーシャル、ジョージ・サンダース、アルバート・パッサーマン、ロバート・ベンチリーなど。
    80