ジャン・ルノワール

  • 出身地:フランス、パリ
  • 生年月日:1894年9月15日
  • 没年月日:1979年2月12日

略歴 / Brief history

【反戦映画「大いなる幻影」で一時代を画す】印象派の画家オーギュスト・ルノワールの次男としてパリのモンマントルで生まれた。幼い頃は父のモデルを務めさせられ、「ズボンを履いているにもかかわらず、僕のことを女の子と思った人が多かった。町のいたずらっ子らは僕をマドモワゼルとはやしたてたものさ」と述懐している。兄ピエールは俳優となり、弟クロード(シニア)は助監督、プロデューサーとしてジャンを手伝った。ピエールの息子クロード(ジュニア)もジャンの仕事を手助けし、低予算映画ではカメラを担当し、やがて撮影監督としてゆるぎない地位を築くことになる。ニースのエコール・マシナ、エクス・アン・プロヴァンスの大学で数学と哲学を学ぶ。第一次大戦では騎兵隊、空軍に所属するが、1918年に負傷し、父が避寒していたコートダジュールでモデルのカトリーヌ・エスラン(通称デデ)と知り合う。父は死の直前まで絵筆を取っていたが、19年12月に死去し、数週間後にジャンは父の絵のモデルだったデデと結婚、21年には息子アランが生まれた。ジャンとデデは毎日のように映画を見に行き、ジャンはアメリカ映画に惹かれていった。23年、ロシア難民のイワン・モジューヒンとともに実験映画“Le brasier ardent”を撮る。25年に初監督。26年、エミール・ゾラの小説を基にした「女優ナナ」を撮る。高く評価されたものの、興行的には失敗し、借金を返すために父の絵のいくつかを売らなくてはならなかった。友人ピエ―ル・ブラウンベルガーに軍隊喜劇「のらくら兵」(28)を撮る機会を与えられ、この作品で初めて組んだ俳優ミシェル・シモンとは長い付き合いとなる。【戦時中はアメリカで映画作り】「大いなる幻影」(37)、「獣人」(38) とジャン・ギャバン主演作を撮り、39年に「ゲームの規則」を発表。戦火を避けて39~40年はイタリアに滞在し、40年にロバート・フラハティの仲介で渡米し、41年に20世紀フォックスと契約。「南部の人」(45)、「小間使の日記」(46)を撮り、46年には市民権を取得するもフランス国籍を捨てることはなかった。インドを舞台にした「河」(50)を撮り、イタリアで「黄金の馬車」(52) を手がけ、フランスに戻って「フレンチ・カンカン」(54)、「草の上の昼食」(59)を撮るが、戦前ほどの成功は収められなかった。晩年はアメリカで暮らし、クリフォード・オデッツの劇を演出したり、カリフォルニア大学バークレー校で講義をしたりしてすごした。父の思い出をつづった『わが父ルノワール』を48年に、自伝『ジャン・ルノワール自伝』を74年に発表している。

ジャン・ルノワールの関連作品 / Related Work

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  • リュミエールの子供たち

    制作年: 1995
    1895年の“映画誕生”(リュミエール兄弟のシネマトグラフの発表と公開上映)の100周年を祝い、過去一世紀に作られたフランス映画の代表作のべ307本から名場面を抜粋して作られたアンソロジー。監督は「めぐり逢う朝」のアラン・コルノー、「愛を弾く女」「夕なぎ」のクロード・ソーテ、「オディールの夏」「死への逃避行」のクロード・ミレールら現代フランス映画を代表する現役のベテラン監督3人に加え、テレビ・ジャーナリストのピエール・ビヤール、『ル・モンド』紙の映画担当オリヴィエ・バロ、テレビの映画番組のディレクター、ジャン・クロード・ロメール、そしてゴーモン・シネマテークのディレクターで無声映画復元の分野でフランスの第一人者としてマルセル・レルビエの「エル・ドラドオ」、ルイ・フイヤードの「ファントマ」「吸血ギャング団」「ジュデックス」などを復元したピエール・フィリップ、映画助監督のクリストフ・バラティエの合計9名。製作は「ロシュフォールの恋人たち」「ニュー・シネマ・パラダイス」の二枚目スターでコスタ・ガブラスの「Z」以来、プロデューサーとしても活躍が目ざましいジャック・ペラン。音楽は「シェルブールの雨傘」で知られる、「プレタポルテ」を手掛けたジャズと映画音楽の巨匠ミシェル・ルグラン。編集はイヴ・デシャン。音声はポール・ベルトー、編集イヴ・デシャンがそれぞれ担当。世界最初の映画スターと言われるパテ社のコメディのマックス・ランデールに始まり、アルレッティ、ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、イヴ・モンタンら日本のファンにも馴染み深い大物からイレーネ・ジャコブ、ヴァネッサ・パラディらまでの古今の大スターに、ミシェル・シモン、ジャン=ルイ・バロー、ピエール・ルノワール、フランソワーズ・ロゼー、マルセル・ダリオ、ルイ・ジューヴェなどの名優たち、それに劇映画監督を世界で最初に名乗ったアリス・ギー・ブラシェに20世紀フランス映画・演劇界最大の巨人サッシャ・ギトリー、ジャン・ルノワールやフランソワ・トリュフォーなどの偉大な映画作家たちが次々と登場する賑やかさはまさに、映画100周年のお祝いにふさわしい。100年の記念とはいうものの構成は年代順ではなく、エンタテインメント志向で「歌」「ギャグ」「キス」といったコーナーや「レ・ミゼラブル」の6度にわたる映画化をまとめて見せるなどなど、テーマに沿って時代を自在に横断する編集が行われている。また「天井桟敷の人々」などの名作のアウトテイクやメイキング映像を見てくれるのは貴重。
  • スワンプ・ウォーター

    制作年: 1941
    1993年で生誕100年を迎えたジャン・ルノワールが第二次大戦中にパリを逃れ、アメリカに渡って撮った第一作目で、南部の沼地にある一つの村で起こった一つの事件をもとに村の人々の間で生じる出来事を描いた群像劇。監督のジャン・ルノワールは、無声映画時代から映画を撮り始め、戦前は、フランスで『牝犬』「大いなる幻影」「ゲームの規則」など多くの傑作を残し、戦後再びフランスに帰還するまで、ハリウッドで映画を撮り続け、「南部の人」「浜辺の女」など、様々な作風の作品を残した。製作は、アーヴィング・ピチェル。脚本は、「駅馬車(1939)」のダドリー・ニコルズがヴェリーン・ペルの短編小説をもとにして書き上げた。撮影は、ペヴァレル・マーレーとルシアン・バラード、編集は、ウォルター・トンプソン、音楽は、デイヴィッド・ルドルフが担当している。主演は、「西部の男」で映画デビューし、「ローラ殺人事件」などに出演していて演技に定評があるダナ・アンドリュース、「イヴの総て」のアン・バクスター。その他、「西部の男」「死刑執行人もまた死す」「リオ・ブラボー」など硬軟問わずあらゆる役柄をこなす個性派男優ウォルター・ブレナン、「孔雀夫人(1936)」「黄金(1948)」「マルタの鷹(1941)」のウォルター・ヒューストン、「果てなき航路」のワード・ボンドなど名優が揃っている。
  • ラ・マルセイエーズ

    制作年: 1938
    ナチスドイツのヨーロッパに対する侵攻が激しさを増していた折りに撮られたフランス革命期の自由なフランスの心を謳い上げたヒューマン・ドラマ。監督は、「獣人」「ゲームの規則」「フレンチ・カンカン」など様々な作風で多くの傑作を残しているジャン・ルノワール。製作はフランク・ロルメール。脚本はジャン・ルノワール、カール・コッホ、N・マルテル・ドレフュスの共同。撮影はジャン・ブルゴワンとジャン・マリー・メロア、音楽はジョゼフ・コスマが担当している。出演はピエール・ルノワール「どん底」「犯罪河岸」などのルイ・ジューヴェ、リーズ・ドラマール、イレーヌ・ヨアヒムなど。
  • 黄金の馬車

    制作年: 1953
    18世紀の南米スペイン植民地を舞台に、イタリアからやってきた仮面劇の一座のヒロインと彼女に恋する総督を軸に展開する恋のさやあてと宮廷の陰謀劇を、舞台と現実をないまぜにして描く人間喜劇。「大いなる幻影」のジャン・ルノワール監督作品で、88年に復現された版での日本初公開。製作はフランチェスコ・アリアータ、脚本はプロスペル・メリメの一幕戯曲を翻案したルノワールとジャック・カークランド、レンツォ・アヴァンツォ、ジュリオ・マッキ、ジネット・ドワネルの共同、撮影はクロード・ルノワールが担当し、音楽はヴィヴァルディほかを使用。出演はアンナ・マニャーニ、オドアルド・スパダーロほか。
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  • 浜辺の女(1947)

    制作年: 1947
    肉体的なもの以外ひかれるところのない男女の、愛を失ったラブ・ストーリーを描く。エグゼクティブ・プロデューサーはジャック・J・グロス、ミッチェル・ウィルスンの原作『盲目は誰1人いない』を基に、監督・脚本は「捕えられた伍長」のジャン・ルノワール、共同脚本はフランク・デイヴィス、脚色はマイケル・ホーガン、撮影はハリー・J・ワイルド、音楽はハンス・アイスラーが担当。出演はジョーン・ベネット、ロバート・ライアン、チャールズ・ビックフォードほか。
  • 捕えられた伍長

    制作年: 1961
    捕虜収容所にいる伍長が、自由を求めて脱走を繰り返す姿を描く。監督はジャン・ルノワールで、本作品が彼の遺作となった。ジャック・ペレの同名小説を基に、脚本はルノワールとギイ・ルフランの共同、撮影はジョルジュ・ルクレール、音楽はジョゼフ・コスマが担当。出演はジャン・ピエール・カッセル、クロード・ブラッスールほか。