ジム・ジャームッシュ ジムジャームッシュ

  • 出身地:オハイオ州アクロン
  • 生年月日:1953/01/22

略歴 / Brief history

【卓越した映像センスで魅了するインディーズ界のカリスマ】アメリカ、オハイオ州アクロンの生まれ。17歳で作家を志しコロンビア大学文学部に入学。1974年のパリ遊学時にシネマテークでロベール・ブレッソン、ジャン=リュック・ゴダール、溝口健二、小津安二郎などの作品に接して映画に目覚める。75年にニューヨーク大学大学院映画学科に進学してニコラス・レイの講義助手をつとめた。レイの「ニックス・ムービー/水上の稲妻」(80)の製作スタッフに参加した際、共同監督だったヴィム・ヴェンダースと知り合い、その頃結成したロックバンド“デル・ビザンティンス”がヴェンダースの「ことの次第」(81)に楽曲提供している。音楽家ジョン・ルーリーなどと共同作業した卒業制作「パーマネント・バケーション」(80)は低予算の16ミリ作品だったが、マンハイム映画祭でジョゼフ・フォン・スタンバーグ賞を受賞した。82年にヴェンダースから貰った余りフィルムで30分の短編として仕上げた「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の第1部が、ロッテルダム映画祭の批評家賞を受賞。製作費を得て長編として完成したのは2年後の84年で、カンヌ映画祭パルムドールを獲得した。その後も永瀬正敏と工藤夕貴が出演した「ミステリー・トレイン」(89)、異色西部劇の「デッドマン」(95)、ニール・ヤングのドキュメント「イヤー・オブ・ザ・ホース」(97)などコンスタントに作品を発表している。2005年の「ブロークン・フラワーズ」はカンヌ映画祭審査員特別大賞を受賞。同世代のインディーズ監督たちとも親交があり、アキ・カウリスマキ「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」(89)、ビリー・ボブ・ソーントン「スリング・ブレイド」(96)などに俳優としてゲスト出演している。【オフビートな新感覚でファンを獲得】インディペンデント映画の祖とされるジョン・カサヴェテスの系譜に連なり、80年代にジョン・セイルズらと並んでニューヨーク・インディーズ派の新進監督と目された。彼ら以降に、映画学校で学び映画祭で世界デビューという、現場経験を持たないまま監督として認知される道が常套化する。その先駆である「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は、粗いモノクロ画質、長回しのワンショットを黒味で.いで余韻を残す技法、劇的展開のないストーリー、オフビートなユーモアの中に漂う虚無感、などの新感覚が世界中に衝撃を与えた。この3部からなるオムニバス的構成は、その後「ミステリー・トレイン」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」(91)の、異なる場所で同時発生する複数の物語という時系列解体の話法に進化し、タランティーノ時代の流行に先鞭をつけた。またデビュー作から一貫してロードムービーの体裁をとって、異邦人または異文化とのディスコミュニケーションをオフビートに描き、最新作「リミッツ・オブ・コントロール」(08)に至るまでこの特質は守られている。

ジム・ジャームッシュの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • デッド・ドント・ダイ

    制作年: 2019
    第72回カンヌ国際映画祭のオープニングを飾ったジム・ジャームッシュによるゾンビ・コメディ。アメリカの田舎町で、次々と墓場から死者が蘇る事態が発生。3人だけの警察署で勤務するピーターソン巡査や葬儀屋のゼルダが退治するが、ゾンビは増殖していく。出演は、「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイ、「パターソン」のアダム・ドライバー、「サスペリア」のティルダ・スウィントン、「荒野にて」のクロエ・セヴィニー。
    65
  • 天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント

      制作年: 2018
      CM製作やドキュメンタリー作品を手がけてきたハーマン・ヴァスケ監督が、世界で活躍する人物たちに何故クリエイティブなのか問うドキュメンタリー。膨大な数のインタビューからホーキング博士、北野武ら107人を抜粋、それぞれが語るクリエイティブ論を映す。
      97
    • カーマイン・ストリート・ギター

        制作年: 2018
        「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」のロン・マン監督によるニューヨークにあるギターショップのドキュメンタリー。NYの建物の廃材を使って作るギターは、L・リード、B・ディランなど名ギタリストたちに愛用されている。第75回ヴェネチア国際映画祭、第43回トロント国際映画祭、第56回ニューヨーク映画祭正式出品作品。
        80
      • バスキア、10代最後のとき

        制作年: 2017
        画家ジャン=ミシェル・バスキア没後30年を記念して制作されたドキュメンタリー。まだ名声を得る前の1970~80年代のNYの社会やムーブメントに焦点を当て、初期の作品や影響を受けた詩や音楽を交えながら、アーティストとして活躍していく姿に迫る。監督は、「豚が飛ぶとき」のサラ・ドライバー。出演は、ミュージシャンのファブ・5・フレディ、グラフィティ・アーティストのリー・キュノネス、映画監督のジム・ジャームッシュ、ファッション・デザイナーのパトリシア・フィールドら。
      • SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬

        制作年: 2018
        デヴィッド・ボウイ、ジム・ジャームッシュ、YMOら多くのアーティストとコラボレーションする写真家・鋤田正義に迫るドキュメンタリー。時代の寵児をカメラに収めてきた足跡を辿るとともに、彼自身や親交ある人々の証言から人柄や魅力を浮かび上がらせる。監督は、数々のミュージックビデオの演出・プロデュースを手がけ、「自分の事ばかりで情けなくなるよ」などのプロデュースを務めてきた相原裕美。鋤田正義の甥・鋤田晃久が、音楽担当およびプロデューサーとして参加している。
        80
      • ポルト

        制作年: 2016
        ポルトガル第二の都市ポルトを舞台に、孤独な男女の姿を過去と未来を交錯させながら描出するラブストーリー。家族に追放された26歳のアメリカ人ジェイクと、32歳のフランス人留学生マティ。気楽に結んだたった一夜の関係が、二人の人生を大きく変えていく……。出演は「スター・トレック」シリーズのアントン・イェルチン、『フランス絶景ミステリー コレクション レ島』のルシー・ルーカス、「めぐりあう日」のフランソワーズ・ルブラン。監督・脚本は、本作が初の長編劇映画となるブラジル出身のゲイブ・クリンガー。共同脚本は「ストリート・オブ・ファイヤー」「トゥルー・クライム」のラリー・グロス。製作総指揮を「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」のジム・ジャームッシュが手がける。