野際陽子 ノギワヨウコ

  • 出身地:富山県の生まれ
  • 生年月日:1936年1月24日
  • 没年月日:2017年6月13日

略歴 / Brief history

富山県富山市で生まれ、東京都杉並区で育つ。立教大学文学部英米文学科に在学中から、ESSの英語劇セクションと劇団テアトルジュンヌに所属し、数々の舞台に出演。大学の同級生にはのちのプロ野球界の大スター、長嶋茂雄がいた。1958年、大学卒業と同時にアナウンサーとしてNHKに入り、62年5月に退社。フリーとなり、TBS『女性専科』などの司会をつとめる。63年、TBS『近鉄金曜劇場・悲の器』で女優デビューし、同局『赤いダイヤ』の井戸美子役で、小川真由美と並ぶ悪女スターの双璧として評判になる。映画は「風の武士」64でデビューし、続いてマキノ雅弘監督「日本俠客伝・血闘神田祭」66に出演。同年、化粧品会社の支援によりソルボンヌ大学に留学して、西洋美術史を専攻するが、契約を解除されて翌67年に帰国する。帰国後の活動の場はテレビが主になり、丹波哲郎、千葉真一主演の『キイハンター』68~73では国際警察特別室の一員で格闘術と語学力に長けた津川啓子役でレギュラー出演。主題曲も歌い、人気スターとなる。映画は五木寛之原作、堀川弘通監督の「さらばモスクワ愚連隊」68での主人公をサポートする芸能プロのやり手マネージャー役のほか、千葉真一主演の「やくざ刑事」70、「やくざ刑事・恐怖の毒ガス」71に助演する。その千葉と72年5月7日に結婚。テレビCMに夫婦で出演したりするが、その後は多彩なジャンルで脇役に転じていく。渡邊祐介監督の時代劇「必殺仕掛人」73、加藤泰監督の怪奇サスペンス「陰獣」77、山根成之監督の青春もの「九月の空」78、中村登監督の歴史劇「日蓮」79、児玉進監督のミステリー「乱れからくり」79、鈴木則文監督の時代劇「忍者武芸帳・百地三太夫」80、舛田利雄監督の戦争映画「二百三高地」80、斎藤耕一監督の文芸映画「青い山脈'88」88、伊丹十三監督の社会派コメディ「スーパーの女」96、三谷幸喜監督の人情コメディ「みんなのいえ」01、中村義洋監督のメディカル・サスペンス「チーム・バチスタの栄光」08、「ジェネラル・ルージュの凱旋」09など、あらゆるジャンルの作品で、バイプレイヤーとして息の長い活躍を続ける。テレビは『キイハンター』から派生した“強い現代女性”のイメージが、テレビ東京『ザ・スーパーガール』79における元婦人警官で探偵事務所の開設者・広瀬悠子役に引き継がれるが、なんと言っても彼女のキャラクターが最大限に発揮されたのは、社会現象とまで言われた92年のTBS『ずっとあなたが好きだった』だ。佐野史郎が演じるマザコン秀才サラリーマン“冬彦さん”の母親・桂田悦子役は、初期の悪女的持ち味とインテリタレントのイメージを合体させた彼女ならではの“恐い姑”というキャラクターを作り上げた。以後もそのキャラクターは完全に定着し、『ダブルキッチン』『誰にも言えない』93、『スウィートホーム』『長男の嫁』94、『私の運命』94~95、『ひと夏のラブレター』95などのTBSドラマには欠かせない出演者となる。一方、榎木孝明主演のフジテレビ『浅見光彦シリーズ』では、主人公の母・浅見雪江役で『恐山殺人事件』98からレギュラー入り。主演が中村俊介に交代した現在も、野際は継続して出演している。97年のテレビ朝日『ガラスの仮面』では、安達祐実扮するヒロインを演技開眼に導く往年の伝説的な女優・月影千草を神秘的に演じ、99年から8年間続いた同局『京都迷宮案内』では記者からキャップ、デスクまで出世する新聞記者・橘つた子に扮してシリーズを支えた。そのほか、90年代から2000年代にかけては膨大な量の連続ドラマにレギュラー出演を続け、多い時には年間で6本もの連ドラに出て、1クールに3本のドラマが集中したこともあった。00年のテレビ朝日『TRICK』では仲間由紀恵演じるヒロイン・山田奈緒子の母・里見に扮して、コミカルな芝居も披露。以後シリーズ化された同作のレギュラーキャストとして、10年の最新作「劇場版TRICK/霊能力者バトルロイヤル」まで全作に出演する新たな代表作とした。フジテレビ『大奥』03では14代将軍・徳川家茂の生母・実成院に扮して屈折した姑役を好演。テレビ朝日の長寿シリーズの新版『必殺仕事人2007』07から演じている渡辺こう役は、中村主水の後継者とも言うべき東山紀之扮する渡辺小五郎の義母にあたり、かつて菅井きんが演じた「婿どの!」でお馴染みの中村せんの二代目とも言えるキャラクターに挑んで、芸域の広さを印象づけた。07年のテレビ東京『李香蘭』では現在の山口淑子役とナレーションを担当。NHK連続テレビ小説『京、ふたり』90でもナレーション、『ほんまもん』01では尼僧役とナレーション、『ゲゲゲの女房』10ではヒロインの祖母とナレーションをそれぞれ担当している。94年2月、千葉真一と離婚。ひとり娘の真瀬樹里は94年の「イルカに逢える日」で女優デビューし、たびたび母娘共演も果たす。2017年6月13日、肺腺がんのため東京都内の病院で死去。享年81歳。

野際陽子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • いつまた、君と 何日君再来(ホーリージュンザイライ)

    制作年: 2017
    向井理が家族や親戚と共に自費出版した祖母・芦村朋子の半生記『何日君再来』を、向井自身が企画にも携わり映画化。病に倒れた朋子の代わりに手記をまとめる孫の理。そこには彼も知らない、厳しい時代を生きぬいた朋子と亡夫・吾郎の愛の物語が綴られていた。若き日の朋子役に「きみはいい子」の尾野真千子が、向井理が自身の祖父である吾郎役にあたり、時代に翻弄されながらも懸命に生きる夫婦を体現する。監督は「神様のカルテ」の深川栄洋。また、向井理が水木しげるを演じたNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』を手がけた山本むつみが脚本を担当する。
    100
  • トリック劇場版 ラストステージ

    制作年: 2014
    自称・超売れっ子マジシャンと自称・天才物理学者の迷コンビが、不可思議な怪奇現象の裏に潜むトリックを暴くシリーズ完結編。仲間由紀恵、阿部寛、生瀬勝久、野際陽子といったレギュラー陣に加え、「小川の辺」の東山紀之、「日本の悲劇」の北村一輝、「ノルウェイの森」の水原希子ら多彩なゲストも参加。監督はシリーズを通して演出を手掛ける堤幸彦。テレビ朝日開局55周年記念作品。
    80
  • 劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

    制作年: 2010
    自称・売れっ子マジシャンの山田奈緒子と、ガンコで騙されやすい天才物理学者・上田次郎のコンビが超常現象の謎を解き明かすドラマシリーズ『トリック』劇場版第3弾。監督は「20世紀少年」シリーズの堤幸彦。出演は「ごくせん THE MOVIE」の仲間由紀恵、「ジェネラル・ルージュの凱旋」の阿部寛、「クジラ 極道の食卓」の松平健、「ROOKIES 卒業」の佐藤健、「砂時計」の夏帆など。
    80
  • ジェネラル・ルージュの凱旋

    制作年: 2009
    「チーム・バチスタの栄光」に続く海堂尊の同名小説を映画化。病院内の疑惑をめぐり再び田口と白鳥が事件解明に挑む。監督は前作と同じ中村義洋が担当。出演は「サイドカーに犬」の竹内結子、「青い鳥」の阿部寛、「クライマーズ・ハイ」の堺雅人、「チェスト!」の羽田美智子、「252 生存者あり」の山本太郎など。
    60
  • ポストマン(2008)

    制作年: 2008
    真摯に郵便を届ける配達院の姿を通し、家族の絆や人の心のあたたかさを描く感動作。監督は『高原へいらっしゃい』などのTVドラマを手がけてきた今井和久。本作が初監督作となる。出演は、「ミスター・ルーキー」の長嶋一茂、「幸福な食卓」の北乃きい、「蝉しぐれ」の原沙知絵ほか。
  • チーム・バチスタの栄光

    制作年: 2008
    エリート手術チームの疑惑に、心療内科の女医と厚生労働省の役人がコンビを組んで解明に乗り出すコミカルなメディカル・サスペンス。原作は、第4回「このミステリーがすごい!」で大賞に輝いた同名小説で、作者は現役の医師である海堂尊。「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋が監督を手掛けた。出演は、「サイドカーに犬」の竹内結子、「大帝の剣」「自虐の詩」の阿部寛ら。
    60