宍戸錠 シシドジョウ

  • 出身地:大阪府大阪市北区東野田町
  • 生年月日:1933/12/06
  • 没年月日:2020/01/21

略歴 / Brief history

大阪府大阪市の生まれ。父・左義右と母・文子の四男一女の三男。4歳下の弟は俳優の郷治。小・中学校を東京と宮城県で終え、1952年に宮城県立白石高校を卒業後、日本大学芸術学部演劇科に進む。54年3月、製作再開に備えて日活が募集した第1期ニューフェイスに合格、大学を中退して3月15日付けで日活に入社する。「黒い潮」54、「スラバカ殿下」55などに顔見せ程度に出演したあと、久松静児監督「警察日記」55に若い巡査の役で出演して個性の一端を披露。その後、「おふくろ」55、「牛乳屋フランキー」56などに助演する。57年、平凡な二枚目から脱却するために自らすすんで豊頬手術を行ない、同年の「燃える肉体」では筑波久子を暴力で犯すチンピラを演じて、敵役として売り出す。特に無国籍アクション全盛の60年から62年にかけては、小林旭の「渡り鳥」「流れ者」両シリーズや、赤木圭一郎の「拳銃無頼帖」シリーズで欠かすことのできない敵役として人気を集め、役名からの連想による“エースのジョー”が愛称として定着する。61年、赤木の事故死と石原裕次郎の負傷欠場によって、主演スターとして日活アクションのローテーションに加わる。主演第1作の「ろくでなし稼業」61、2作目の「早撃ち野郎」61がいずれもヒットしてシリーズ化され、コメディタッチもこなせる陽性のアクションスターとしての人気を不動のものに。また、「野獣のように見えて」62、「野獣の青春」63、「肉体の門」64などのシリアスな青春映画でも好演し、幅広い演技力が認められる。「拳銃(コルト)は俺のパスポート」「殺しの烙印」67などの後は、日活専属のまま他社出演やテレビ出演が多くなり、日本テレビ『ゲバゲバ90分』などのバラエティではもっぱらコメディアンとして人気を得る。日活ニューアクションの時代には「縄張(シマ)はもらった」68、「流血の抗争」71などで印象的なアクションスターぶりを見せたが、71年に18年間に及んだ専属契約を打ち切ってフリーとなる。以後、テレビではコメディ、シリアス、時代劇など問わずあらゆるジャンルに出演する一方、映画では「新網走番外地・嵐呼ぶダンプ仁義」72、「仁義なき戦い・完結篇」「新仁義なき戦い」74、「任俠外伝・玄海灘」75、「瞳の中の訪問者」77などで持ち味を発揮する。その後は、NHK大河ドラマなどテレビドラマの脇役で存在感を示すものの、無国籍的ハードボイルドな雰囲気を活かす企画には恵まれず過ごしたが、90年代に入って、永瀬正敏主演、林海象監督の「我が人生最悪の時」94、「遥かな時代の階段を」95、「罠」96の三部作で、主人公の私立探偵・濱マイクの元師匠を貫録たっぷりに演じ、2001年の堤幸彦監督「溺れる魚」では、役名もそのものずばり“エースのジョー”のセルフパロディ的な役どころをさらりとこなした。以降も映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍。01年には豊頬のために注入したオルガノーゲンを摘出する手術を受けた。62年、元女優の小島昌子と結婚。二男一女があり、長男の宍戸開、長女の宍戸史絵はともに俳優、タレントに。開とは親子二代に渡って、フジテレビのミニ番組『くいしん坊!万才』のレポーターをつとめた。2020年1月21日、東京都世田谷区の自宅にて逝去。享年86歳。

宍戸錠の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ファイナル・ジャッジメント(2012)

    制作年: 2012
    アジアの大国によって軍事的に日本が占領された近未来を舞台に、その圧政に抵抗する若者たちの姿を描く。日本の現状を踏まえ、可能性のある未来に対して警鐘を鳴らす。出演は「忍道 SHINOBIDO」の三浦孝太、「海猿」の海東健、「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」の宍戸錠。監督は「あかね空」の浜本正機。
  • ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う

    制作年: 2010
    1993年に「ヌードの夜」を発表した石井隆監督が、17年ぶりに竹中直人(「無能の人」)演じる“紅次郎”を主人公に作り上げた新たな物語。石井監督不変のモチーフ“エロスとタナトス”は健在で、3人の女たちの完全犯罪に巻き込まれていく男の姿が描かれる。ヒロイン“れん”を演じるのは、「白夜行」の佐藤寛子。19分を加えたディレクターズ・カット版(R-18+)がBD/DVDで発表されている。
    70
  • ケータイ刑事 THE MOVIE3 モーニング娘。救出大作戦! パンドラの箱の秘密

    制作年: 2010
    警察官の資格を持つ女子高生が携帯電話を駆使して様々な事件を解決する人気シリーズの劇場版第3弾。6代目ケータイ刑事の大政絢(「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」)、7代目の岡本あずさ(『タンブリング』)、8代目の岡本杏里(「ヤッターマン」)が一堂に会し、人気アイドル“モーニング娘。”失踪事件に挑む。
  • THE CODE/暗号

    制作年: 2008
    インターネットシネマシリーズ『探偵事務所5』の劇場版。暗号解読の天才・探偵507の活躍を描く。出演は、「犬神家の一族」の尾上菊之助、「リリイ・シュシュのすべて」の稲森いずみ。監督は、「私立探偵 濱マイク」シリーズの林海象。第21回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門及び第8回光州国際映画祭オープニング作品。
  • ケータイ刑事 THE MOVIE2 石川五右衛門一族の陰謀 決闘!ゴルゴダの森

    制作年: 2007
    IQ180の頭脳と携帯電話を武器に難事件に挑むヒロインの姿を描いたドラマ『ケータイ刑事』。映画化第2弾。本作では最新シリーズで銭形雷を演じた小出早織と、第4シリーズ&映画第1作で銭形零を演じた夏帆が初共演する。
  • キサラギ

    制作年: 2007
    自殺した元アイドルの一周忌に、ファンサイトで知り合った五人の男達が集まり、その死の真相を語り合う。個性的な五人の実力派人気俳優が、小さな部屋を舞台に繰り広げるハートフル・サスペンス。「ALWAYS 三丁目の夕日」の古沢良太が、以前より書きあたためていた脚本を、「シムソンズ」の佐藤祐市が監督した。2025年2月7日(金)より、期間限定で全国リバイバル上映。