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- 小林聡美
略歴 / Brief history
東京都葛飾区の生まれ。1979年、中学校在学中にTBS『3年B組金八先生』のオーディションに合格。田原俊彦、近藤真彦らを輩出し、最高視聴率40%近くを挙げた人気学園ドラマに、杉田かおる、鶴見辰吾らのクラスメートのひとりとして出演し、女優デビューを飾る。続いて82年、大林宣彦監督の尾道三部作の第1作「転校生」で、ヒロイン・斉藤一美役に抜擢され、思春期の男女の体と心が入れ替わってしまうという奇想天外なファンタジーにおける難役を見事に演じ切り、強い印象を残した。84年には再び大林監督の「廃市」で、前作とは打って変わって旧家の娘をしとやかに好演。尾道三部作最終章の「さびしんぼう」85にも出演するなど、大林作品の常連として活躍した。88年から始まったフジテレビの深夜ドラマ『やっぱり猫が好き』ではもたいまさこ、室井滋と三姉妹を演じ、3人の息の合った会話とアドリブやハプニングもそのまま放送する斬新さが受けて、繰り返し新作が作られる人気作品に発展。一般への認知度が高まっただけでなく、のちの95年に結婚する脚本家・三谷幸喜との出会いともなった作品であり、さまざまな意味での転機となった。その後も「ゴジラVSモスラ」92、「てなもんや商社」98、「竜馬の妻とその夫と愛人」02などに出演。テレビドラマにも多数出演し、初の連ドラ主演作となった日本テレビ『すいか』03が評判となった。また、2006年に公開された主演映画「かもめ食堂」は、単館公開から始まった作品にもかかわらず口コミで人気を呼び、最終的には全国拡大上映のヒットを記録。のんびりしたフィンランドの風景の中で繰り広げられる不可思議な癒しのムードが女性の観客を中心に支持を集める。これで小林の女優としての魅力が再認識され、以後も「めがね」07、「プール」09、「マザーウォーター」10と、同趣のスローライフなモチーフを前面に押し出した主演映画が続けて作られた。テレビドラマはほかに、フジテレビ『きらきらひかる』98、『不機嫌なジーン』05、日本テレビ『光とともに…・自閉症児を抱えて』04、『神はサイコロを振らない』06、『赤鼻のセンセイ』09など。11年5月、三谷との離婚を発表した。
小林聡美の関連作品 / Related Work
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スズさん 昭和の家事と家族の物語
制作年: 2021明治、大正、昭和を生きた一人の女性・小泉スズさん人生を、当時の貴重な記録映像とスズさんの実の娘で「昭和のくらし博物館」の館長・生活史研究家の小泉和子さんのインタビューで描くドキュメンタリー映画。監督は2018年の文化映画「春画と日本人」が高く評価された大墻敦。関東大震災で母を亡くし、戦争が人々のくらしに影を落とすなか、子どもを産み必死に育て、戦後は専業主婦として家族のために働いたスズさん。80 歳を越えたスズさんによる息をのむほど鮮やかな手仕事の記録は、片渕須直監督の「この世界の片隅に」の主人公すずさんが家事をする場面の参考にもなった。 -
閉鎖病棟 それぞれの朝
制作年: 2019現役精神科医でもある帚木蓬生による第8回山本周五郎賞受賞作『閉鎖病棟』を、「エヴェレスト 神々の山嶺」の平山秀幸監督が映画化した人間ドラマ。過去を背負いながらも明るく生きようとする患者たちがいる精神科病院で殺人事件が発生。その理由とは……。刑執行が失敗し生きながらえた元死刑囚の梶木秀丸を「おとうと」の笑福亭鶴瓶が、幻聴に苦しむ塚本中弥を「パンク侍、斬られて候」の綾野剛が、DVを受ける女子高生・島崎由紀を「さよならくちびる」の小松菜奈が演じる。74点