黒木瞳 クロキヒトミ

  • 出身地:福岡県八女郡黒木町
  • 生年月日:1960/10/05

略歴 / Brief history

福岡県八女郡黒木町の生まれ。本名・伊知地昭子(旧姓・江上)。出身地の地名にちなんだ芸名は、同郷の作家・五木寛之により命名された。県立八女高校時代は演劇部に所属。1979年、高校卒業後に宝塚音楽学校に入学し、81年に宝塚歌劇団『宝塚春の踊り』で初舞台を踏む。翌82年には、娘役としては史上最速で月組トップに就任し、『情熱のバルセロナ』で大地真央の相手役をつとめる。さらに、大阪朝日放送の情報番組『おはよう朝日・土曜日です』にレギュラー出演したり、日豪合作映画「南十字星」82にゲスト出演したりと、宝塚の外でも活躍を続ける。宝塚歌劇団では『あしびきの山の雫に』82、『ムーンライト・ロマンス』83、『翔んでアラビアンナイト』83、『ガイズ&ドールズ』84などに出演して人気を集めるが、85年の『二都物語/ヒートウェーブ』を最後に退団した。宝塚退団後、渡辺淳一原作、東陽一監督の「化身」86で初の映画主演。田舎出の若い女性が中年の文芸評論家の愛人となって、美しく、強くなっていく様を熱演し、藤竜也を相手にした全裸での演技も大きな衝撃を与えた。本作で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その一方で、NHK連続テレビ小説『都の風』86ではおしとやかな女性を演じて、幅広い層から人気を集めることとなる。88年の「姐御」では極道の妻を迫力たっぷりに演じ、宝塚娘役出身のイメージをさらに覆した。以後も映画、テレビドラマで活躍。「花園の迷宮」88などのミステリー、「呪死霊外伝2」などのホラー、「渋滞」91などのコメディ、「四十七人の刺客」94などの時代劇と、いわゆるジャンル映画にも積極的に出演し、女優としてどんな作品にでも対応できるオールマイティな演技力を身につける。その名をさらに全国に轟かせることになったのが、渡辺淳一のベストセラー小説を森田芳光監督が映画化した「失楽園」97。役所広司演じる中年男性と不倫関係に陥る書道講師役で艶やかな色気を振りまき、激しい濡れ場も披露。日本アカデミー賞、日刊スポーツ映画大賞、報知映画賞の各主演女優賞を総なめにした。その年、「失楽園」は流行語となり、社会現象にまでなる。さらに、かつて日本中を震撼させた阿部定事件を描いた大林宣彦監督の「SADA/戯作・阿部定の生涯」98では、阿部定の情念を鬼気迫る演技で表現。「失楽園」に続く熱演によって、名実ともに日本のトップ女優の座についた。2000年代に入ってからも、報道の欺瞞を描いた映画「破線のマリス」00で演じたテレビの編集者役で、日本映画批評家大賞女優賞を受賞。のちにハリウッドで「ダーク・ウォーター」というタイトルでリメイクされた中田秀夫監督のホラー映画「仄暗い水の底から」01、織田裕二と共演したアドベンチャー大作「T.R.Y.」03、向田邦子の原作を森田芳光が映画化した「阿修羅のごとく」03など、話題作に続々と出演する。その一方、テレビドラマにも出演を重ね、テレビ朝日『真夜中は別の顔』92、『クニさんちの魔女たち』94、NHK『夜会の果て』97、TBS『恋の時間』05など主演作も多数。フジテレビ『TEAM』99では草彅剛、TBS『オヤジぃ。』00、『夫婦。』04では田村正和、日本テレビ『ゴールデンボウル』02では金城武、TBS『愛するために愛されたい』03では坂口憲二、フジテレビ『白い巨塔』03~04では唐沢寿明と江口洋介と、人気俳優たちとの共演も相次いだ。中でも、エリート官僚の妻でありながら、ボウリングが縁で金城武演じる年下の男性と恋をする女性に扮した『ゴールデンボウル』では、アジア・テレビジョンアワード優秀演技賞を受賞。近年は、ファッション界のカリスマを演じたフジテレビ『リアル・クローズ』08・09、ふたりの子を持つ美しい母親を演じたテレビ朝日『同窓会/ラブ・アゲイン症候群』10などの影響から、“おしゃれの手本”“理想の上司”“かっこいいママ”といったイメージが浸透し、さまざまな好感度調査でトップの座につく。映画でも、原田眞人監督「魍魎の匣」07、中田秀夫監督「怪談」07など好感度には繋がりにくそうなミステリー、ホラーといったジャンル映画にもこれまで通り出演しながら、バレエ教室で生き甲斐を見つけるパート主婦を演じた日本テレビ『プリマダム』06や、向井理演じるひと回り年下の夫を持つママさんバレー選手を演じたNHK『ママさんバレーでつかまえて』08・09などのドラマではコミカルな演技も披露し、ますます役柄の幅を広げつつある。宝塚出身だけあって舞台での演技にも定評があり、『ハムレット』90、『陽気な幽霊』93、『オセロー』94、『mama loves MAMBO』00~06、『クリスマス・ボックス』01などに出演。さらに、芸能生活30周年記念として初座長をつとめた『取り立てや・お春』10も好評を博した。また、女優業だけに留まらず、『長袖の秋』『夜の青空』『恋のちから・愛のススメ』などの詩集や、『わたしが泣くとき』『私の場合・ブレない大人への段階』などのエッセイと、文筆活動も積極的に行なっている。歌手としても『それでいいのにね』91、『片方のつばさ』99、『運命(ぐうぜん)』05の3枚のシングルを出している。

黒木瞳の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ベルサイユのばら(2025)

    制作年: 2025
    18世紀革命前夜のフランスで懸命に生きる人々の愛と人生を鮮やかに描いた池田理代子の漫画『ベルサイユのばら』が、1972年の連載から50年を経て、完全新作で劇場アニメ化。身分や性別を乗り越え、自身の手で人生を選びとり、フランス革命へと飛び込んでいった男装の麗人オスカルの美しい姿がスクリーンに蘇る。監督は『歌舞伎町シャーロック』シリーズの吉村愛。『ルパン三世』シリーズの沢城みゆき、『FAIRY TAIL』の平野綾、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の豊永利行、歌手・俳優の加藤和樹ら豪華声優陣が集う。
  • 青春18×2 君へと続く道

    制作年: 2024
    藤井道人が台湾の人気紀行エッセイ『青春18×2 日本慢車流浪記』を映画化。台湾の高校生・ジミーは、日本人バックパッカーのアミと出会い、恋に落ちる。帰国することになったアミは、ジミーとある約束を交わす。18年後、ジミーは日本を訪れるが……。出演は「僕と幽霊が家族になった件」のシュー・グァンハン、「1秒先の彼」の清原果耶。
  • 明日を綴る写真館

    制作年: 2024
    1966年にデビュー、名バイプレイヤーとして知られる平泉成の初の主演作である人間ドラマ。さびれた写真館を営むカメラマン・鮫島の写真に惹かれ弟子入りした太一は、客と対話を重ね客の心残りや後悔に向き合う鮫島を通し、自分に足りないものに気付いていく。あるた梨沙による同名漫画を、「20歳のソウル」を手がけた秋山純監督が映画化。無口なカメラマン・鮫島を平泉成が、華々しいキャリアを捨て鮫島に弟子入りする太一を男性アイドルグループ『Aぇ! group』のメンバー、佐野晶哉が演じるほか、佐藤浩市、吉瀬美智子、高橋克典、田中健、美保純、赤井英和、黒木瞳、市毛良枝らベテラン俳優陣が共演。
  • 魔女の香水

    制作年: 2023
    香水をテーマに夢を見失った女性の成長を描く人間ドラマ。後輩への上司のセクハラ行為を抗議して職を失い、自暴自棄になった若林恵麻は、“魔女さん”と呼ばれる上品な女性・白石弥生の香水店を手伝うことに。そんなある日、金木犀の香り漂う男性・横山蓮と出会い……。出演は、「弥生、三月 君を愛した30年」の黒木瞳、「殺さない彼と死なない彼女」の桜井日奈子、「種まく旅人 華蓮のかがやき」の平岡祐太。監督・脚本は、「たった一度の歌」の宮武由衣。
  • 十二単衣を着た悪魔

    制作年: 2020
    『源氏物語』を題材にした内館牧子の小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』を「嫌な女」で監督デビューした俳優・黒木瞳が映画化。雷雨に見舞われたフリーターの雷は『源氏物語』の世界にトリップ。未来を当てる陰陽師として弘徽殿女御に取り立てられる。弟に劣等感を持つ実家暮らしのフリーター・雷を『今日から俺は!!』の伊藤健太郎が、芯の強い弘徽殿女御を「犬鳴村」の三吉彩花が演じる。『源氏物語』と現実の世界をリンクさせ、様々な立場で活躍する女性たちから影響を受け成長する青年の姿を描く。
  • 弥生、三月 君を愛した30年

    制作年: 2019
    ドラマ『同期のサクラ』の脚本を手がけた遊川和彦が監督を務めた、ある男女の3月に起きた出来事を30年分紡ぐラブストーリー。運命的に出会った高校生の弥生と太郎は、親友・サクラが病死したことで思いを伝えられないままそれぞれの人生を歩んでいくが……。すれ違いながらも惹かれ合う弥生と太郎を「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」の波瑠と「カツベン!」の成田凌が、二人の親友・サクラを「楽園」の杉咲花が演じる。

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