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  • 人気俳優の知られざる“オフの日の姿”を、気鋭の監督・脚本家たちが妄想を膨らませて描き、主演を務める俳優自ら本人役を演じる。そんなパラレルストーリーが展開される異色のオムニバスドラマ『撮休』シリーズの第4弾となる『杉咲花の撮休』のDVD-BOXが、2月2日に発売される。第1弾『有村架純の撮休』、第2弾『竹内涼真の撮休』、第3弾『神木隆之介の撮休』に続きフィーチャーされたのは、「湯を沸かすほどの愛」(2016)で第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞を同時受賞。2020年にはNHK朝ドラ『おちょやん』でヒロインを務めたほか、現在公開中の主演映画「市子」(2023)における、文字通り“全身全霊”をかけた芝居でも2023年度の賞レースを賑わせるであろう、杉咲花だ。 今泉力哉、松居大悟、三宅唱が「およそ22分で杉咲花のオフの一日の出来事を描く」 ドラマや映画の撮影期間中に様々な事情から突然訪れる休日、通称“撮休”を、多忙な日々を送る俳優は、誰とどう過ごすのか―。エンドロール後に「このドラマはフィクションです。杉咲さんの実際の撮休とは、一切関係ありません」と断りが出ることからもわかるように、虚構の物語であることは理解しながらも、“推し”のプライベートを覗き見しているかのような背徳感さえ抱いてしまう。「およそ22分で杉咲花のオフの一日の出来事を描く」というお題を与えられた監督たちが、知恵を絞って大喜利を楽しんでいるとも言える作品なのだ。 全6話で構成される本作は、「アイスと雨音」(2018)や「ちょっと思い出しただけ」(2022)などをはじめ、ドラマや演劇も多数手がける松居大悟。「愛がなんだ」(2019)や「街の上で」(2022)など、等身大の恋愛模様を巧みな会話で恋愛群像劇へと昇華してきた今泉力哉。「きみの鳥はうたえる」(2017)や「ケイコ目を澄まして」(2022)などで注目を集める三宅唱。と、比較的年齢が近い3人が監督を担当。脚本には、3人の兼務に加えて、小説「ボクたちはみんな大人になれなかった」などで知られる燃え殻、「ある男」(2022)などの向井康介、アニメの脚本やドキュメンタリー映画の構成も務める和田清人と、豪華な面々が集結した。   見どころは、上白石萌歌の弾き語りや俳優同士の恋愛事情、杉咲花と“杉咲雪”の競演!? 今泉と三宅は過去にも同シリーズに参加しているが、松居は今回が初。特典映像として収録された杉咲と3監督による座談会によれば、監督同士の交流は以前からあったものの、いずれも杉咲とは初タッグとなる。監督陣は互いの企画を事前にすり合わせることなく、それぞれが思い描く“杉咲花”のパブリックなイメージを基に、これまでのシリーズでまだ誰も試していない切り口を探りながら、オリジナリティ溢れる6つのストーリーを生み出した。 例えば、松居大悟が監督・脚本を務めた第1話「丸いもの」では、自宅の洗濯機が故障していることに気付いた杉咲が、仕方なくコインランドリーに出向くも千円札しか手元になく、両替をしようと店の外に出たところ、弾き語りをする路上ミュージシャン(上白石萌歌)に出くわし、ついその千円でCDを買ってしまう。杉咲は、コインランドリーに居合わせた客(松浦祐也)に小銭を借りようと試みるが、手順を誤り、思いもよらない展開が待ち受ける。 今泉力哉が監督・脚本を手掛けた第3話「両想いはどうでも」では、杉咲が以前から好意を寄せている相手(泉澤祐希)の家に行き、正式に交際を始めるかどうかを話し合う。だが、「このタイミングでの交際は控えた方がいいのでは?」と気遣い、煮え切らない態度を取る相手にしびれを切らした杉咲は、二人でマネージャーのもとへと交際許可をもらいに行く。ところが、マネージャーから思わぬ打ち明け話を聞き、それどころではなくなってしまう。 和田清人と三宅唱が二人で脚本を書き、三宅が監督した第5話「従姉妹」と最終話「五年前の話」は、他の話とは構成が大きく異なり、2つの物語が地続きとなっている。杉咲と同棲している恋人(坂東龍汰)と、俳優仲間の河野緑(橋本愛)がいずれの話にも登場するが、「従姉妹」では杉咲が一人二役で従姉妹役も演じ、対話シーンの映像トリックも存分に楽しめる。最終話で回想シーンがモノクロで表現されるのも、過去シリーズにはないアイデアだ。 「明日、撮休になりました」と、局プロデューサー役の松尾諭が、杉咲とマネージャー役の菊池亜希子のもとへ告げに来る場面が全話の冒頭に挿し込まれるのも、同シリーズならではの特徴だ。監督・今泉力哉×脚本・山名宏和によるユーモラスな寸劇や、杉咲が覗いたカレイドスコープの中に、さまざまな表情の杉咲花が無数に映し出されるオープニング映像。そして、まるで使い捨てカメラで撮ったかのような質感の、“エモい”メイキング写真が次から次へと流れてくる各話のエンディング映像と共に、本作の見どころの一つとなっている。   特典映像には、杉咲花を囲んで3監督が赤裸々に語り合う特別座談会<完全版>も収録! 才能豊かな監督同士の作品が一度に楽しめるオムニバス企画は、観る側にとっては“お得で贅沢”でしかないが、撮る側、自分自身役を演じる側にとっては果たしてどうなのだろうか。答えが知りたい人は、特典映像に収録されている杉咲と3監督との特別座談会<完全版>や、完成披露試写会での4人の舞台挨拶の模様を、是非ともまずはまっさらな状態で本編を鑑賞してから、答え合わせをするようにじっくりとチェックして観て欲しい。杉咲と監督が明かす各話のとっておきの撮影裏話と共に、互いの作品へのリスペクトに嫉妬を滲ませた、クリエイターの本音にも触れられるからだ。 たとえば、「Q.やられた~!と思ったお芝居はある?」という質問に、「第4話『リリー』での杉咲さんと光石研さんとのやりとり(三宅)」「最終話『五年前の話』の劇中でインタビューを受けているシーン。この企画で白黒やる?(今泉)」「第3話『両想いはどうでも』で本人役なのにああいうテーマ(恋愛)をやっている危うさにゾワッとした。作品の枠のなかで、よくこういうのをやるなぁと(松居)」とそれぞれの監督が答えたり、杉咲が「各話ごとに、それぞれの組のおなじみの俳優が出演していて、監督との信頼関係がうらやましかった」と吐露していたり。さらに、「脚本とは、監督から俳優へのお手紙的な存在(今泉)」でもあり、「ト書きの書き方に、それぞれの監督の個性が如実に現れる(杉咲)」との切り口で展開される、今の日本映画界をけん引する俳優と監督たちによる「監督論」には、瞠目させられた。映像業界を志す俳優やクリエイターにとっても、必携のDVDであるといえるだろう。 文=渡邊玲子 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=y_Px3qp_hEw 「WOWOW 連続ドラマW-30 杉咲花の撮休」 ●2月2日(金)DVDリリース(レンタル同時) DVDの詳細情報はこちら ●DVD 価格:8,580円(税込) 【ディスク】<2枚> ★映像特典★ ・完成披露試写会舞台挨拶、主演&監督 特別座談会<完全版>、スポット映像集 ●2023年/日本/本編約147分 第1話「丸いもの」 監督・脚本:松居大悟 出演:杉咲花、松尾諭、上白石萌歌、松浦祐也 第2話「ちいさな午後」 監督:今泉力哉 脚本:燃え殻 出演:杉咲花、松尾諭、若葉竜也、芹澤興人、中田青渚、岡部たかし、塚本晋也ほか 第3話「両想いはどうでも」 監督・脚本:今泉力哉 出演:杉咲花、松尾諭、泉澤祐希、菊池亜希子 第4話「リリー」 監督:松居大悟 脚本:向井康介 出演:杉咲花、松尾諭、ロン・モンロウ、光石研ほか 第5話「従姉妹」 監督:三宅唱 脚本:和田清人、三宅唱 出演:杉咲花、松尾諭、坂東龍汰、橋本愛ほか 最終話「五年前の話」 監督:三宅唱 脚本:和田清人、三宅唱 出演:杉咲花、松尾諭、坂東龍汰、芋生悠、足立智充、橋本愛ほか ●発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング ©WOWOW「杉咲花の撮休」
  • 泉質の異なる三つの温泉地や、城下町、漁港、宿場町など、加賀百万石の美意識を継いだ六つの地域で構成される石川県の加賀温泉郷。同地区も能登半島地震により大きな被害を被っており、一日も早い復旧と復興を願うばかりだが、新作映画「レディ加賀」は加賀温泉が舞台で、地元の人々に根付く“ピンチに負けない底力”を描いており、石川県の方々にエールを贈るような作品となっている。   理屈抜きで心を揺さぶられる俳優陣実演のタップダンスシーン 2月2日に石川県で先行公開され、2月9日から全国公開される映画「レディ加賀」は、加賀温泉郷を盛り上げるために旅館の女将たちによって10年前に結成された、実在するプロモーションチーム“レディー・カガ”に着想を得て企画されたオリジナルストーリー。 加賀温泉にある老舗旅館「ひぐち」の一人娘の樋口由香(小芝風花)は、小学校の時に見たタップダンスに魅了され、上京してタップダンサーを目指したものの、芽が出ずに苦しんでいた。そんな折に、母親・春美(檀れい)が病に倒れたとの知らせを受けて帰郷。実家に戻ると母親は元気そうに働いていたが、これを機に由香は夢を諦め、女将修行を始める。何をやっても不器用な由香は女将修行に大苦戦するが、持ち前の明るさとガッツで奮闘する。そんな中、観光プランナー・花澤譲治(森崎ウィン)の発案で、加賀温泉を盛り上げるためのプロジェクトが発足し、由香は友人の石崎あゆみ(松田るか)ら新米女将たちを集めてタップダンスのイベントを開催することとなるが……。 一度はタップダンサーの夢を諦めたかに思えた主人公が、故郷の女将修業の中で“ピンチに負けない底力”と“どんな時も心を込めてお客様におもてなしする”ことを学んで成長・再生していく姿を、笑いと感動の中で綴る本作。一生懸命打ち込んだことに無駄などないし、何度でも新たな挑戦ができることを教えてくれる。そのハートフルでポジティブな物語と共に大きな魅力となるのは、加賀温泉と、俳優たちが実演するタップダンス。特にクライマックスで、一丸となった新米女将たちが艶やかな着物姿で舞い踊る“和風タップダンス”は、その新鮮さと華麗さに目を奪われる。俳優たちへのタップダンスの指導や振付を行ったのは、劇中にも指導者役で出演しているHideboHこと火口秀幸。北野武監督の「座頭市」での振付・出演でも注目を浴びた、日本が誇るトップタップダンサーだ。タップシューズが奏でる力強く心地良いリズムには、理屈抜きで心を揺さぶられるものがあり、誰もが惹きつけられることだろう。 数々の危機に力をあわせて乗り越えてきた加賀温泉を描く 主人公の樋口由香を演じるのは、2014年の実写映画「魔女の宅急便」のキキ役で初主演し、現在はフジテレビ系の『大奥』とNHK-BSプレミアムの『あきない世傳 金と銀』という2本の連ドラで主演を務めるなど大活躍中の小芝風花。元フィギュアスケーターでもある小柴がその身体能力を活かし、劇中の随所でタップダンスを実演してみせている。 そして、小柴演じる主人公の由香と共にタップダンスチームを結成する新米女将たちに松田るか、中村静香、八木アリサ、奈月セナ、小野木里奈、水島麻理奈、由香の同級生で加賀温泉のPRに尽力する加賀市職員に青木瞭がそれぞれ扮し、旬の若手俳優たちが揃う。さらに、タップダンスイベントで町おこしを企画する天才観光プランナーを森崎ウィン、由香の母親で老舗旅館「ひぐち」の女将を檀れいが演じるほか、篠井英介、佐藤藍子らも共演する。 監督は、「リトル・マエストラ」(2012)「カノン」(2016)「レッドシューズ」(2023)などでも、ひたむきに生きようとする女性たちの温かい人間ドラマを手掛けてきた雑賀俊朗。同監督は「リトル・マエストラ」「カノン」でも石川県を舞台にしており、その土地ならではの魅力を知り尽くした監督ならではの美しい風景や名所・名物も劇中にうまく取り入れ、ご当地映画としても楽しめるようになっている。 今回の公開時期は偶然だが、映画を観ていて、被災者の方々へ思いを馳せずにいられない。劇中で、加賀温泉には過去に3回危機があったが、いずれも力をあわせて乗り越えてきたと語られ、次々と見舞われる様々なトラブルを乗り越えていく姿が描かれる。3回の危機とは、東日本大震災とコロナショック、そして2007年にもあった能登半島地震だ。軽率に言えることではないし簡単なことではないだろうが、4度目の危機となる2度目の能登半島地震もきっと乗り越えてくれるはずだと、願うような気持ちで映画を観た。北陸新幹線が延伸し、3月16日には新駅・加賀温泉駅の開業も予定されている。その開業と共に、この映画が少しでも同地区に明るい希望や活力を与えることをこの映画のすべての関係者が望んでいることだろう。タップダンスのリズムの力強さにもエールを感じる、まさにいま観て欲しいポジティブなエンタメ映画となっている。   文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社   https://www.youtube.com/watch?v=Bb7B3TqQgeM 「レディ加賀」 2月2日(金)石川県先行公開 2月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて 2024年/日本/108分   監督・雑賀俊朗 脚本・渡辺典子、雑賀俊朗  主題歌:眉村ちあき「バケモン」(トイズファクトリー) 出演:小芝風花、松田るか、青木瞭、中村静香、八木アリサ、奈月セナ、小野木里奈、水島麻理奈 / 佐藤藍子、篠井英介、森崎ウィン / 檀れい 配給:アーク エンタテインメント ©映画「レディ加賀」製作委員会 公式HP:https://ladykaga-movie.com/  
  • トム・クルーズの「ミッション:インポッシブル」と双璧をなす、キアヌ・リーヴスの「ジョン・ウィック」シリーズ。トム61歳、キアヌ59歳。二人ともアラカンながら、全く年齢を感じさせないルックス、パッション、アクションと、恐れ入る。 さらに最新作「コンセクエンス」には、アジアが誇る大スター、ドニー・イェンと真田広之が参戦。彼らも60歳、63歳と、いったい映画界はどんな若さを保つ秘儀があるのか。その健在ぶりに、思わずにやりとする。アクションも年を重ねることに磨きがかかり、気品、そして色気を感じる見事なまでの男っぷり。彼らの戦いぶりを見ているだけで、思わず時間が経つのを忘れてしまう。 年を重ねて光る男たちのアクション美 実際、尺もシリーズ最長の2時49分。シリーズを増すごとにアクションはよりダイナミックに、より長くハードに。痛みを伴うキアヌ扮するジョン・ウィックの泥臭い死闘が延々と繰り広げられる。そこが本シリーズの醍醐味。アクションにこだわり抜いたキアヌとチャド・スタエルスキ監督は毎回、見せ場となる戦いを短く終わらせる気など毛頭ない。一体何人いるのかと思うほどの敵一人ひとりに躊躇なく何発もの弾丸を喰らわせ頭をぶち抜き、時には斧で頭をかち割りながら前へ前へと進んでいく。まさにウィックが通った後は死屍累々たる光景が広がっていく。 大切なものを奪われたジョン・ウィックの戦いは続く… 一度は足を洗い、平穏な生活を送っていたジョンが再び裏社会へと身を投じることになったのは最愛の妻から生きる希望にと贈られた子犬を、愛車を盗んだ強盗に殺されたからだった。数日の間に、大切なものを続けて奪われたジョンは、復讐のために立ち上がる。しかもその強盗がロシアン・マフィアのボスの息子だったことから、やがてジョン対マフィアの戦いへと発展する(「ジョン・ウィック」)。 なんとかマフィアを壊滅させたジョンだったが、安息の日は二度と戻らない。次はイタリアン・マフィアからの依頼を断った代償に、亡き妻との思い出が残る家をバズーカーで爆破される。挙句には、過去に交わした誓印の掟から逃れられず、結局ジョンは暗殺を引き受け遂行。だが、口封じのために再び多額の懸賞をかけられニューヨーク中の殺し屋に命を狙われてしまう。死闘の末、ジョンは組織の掟によって守られている聖域コンチネンタル・ホテルに逃げ込んだ男を殺害。禁忌を破って組織の男を殺したことから、世界中の殺し屋から命を狙われることになる(「ジョン・ウィック:チャプター2」)。 この暗殺命令を解いてもらおうと、ジョンは組織「主席連合」の上に立つ首長に会うためモロッコへ。妻との思い出を守るために生きようとするジョンは薬指を切り落とし、その指にはめていた結婚指輪を首長に指し出し再び組織に忠誠を誓う。その条件としてウィンストン殺害を命じられたジョンだったが、結局は拒絶。ウィンストンも支配人退任を固辞しホテルの聖域指定は解除、主席連合との戦いの場と化していく(「ジョン・ウィック:パラベラム」)。 そして最新作「コンセクエンス」は、支配人ウィンストンから銃弾を何発も受け、屋上から転落(!)したジョンが復活するところから物語は始まる。結局、ジョンは反逆した組織と対峙するしか道はなく、またもや茨の道を歩んでゆく。   シリーズを重ねるごとにヒット シリーズの世界興行収入は8876万ドル、1億7153万ドル、3億2170万ドル、4億2950万ドルと、回(章)を重ねるごとに記録更新。世界中から愛されたのは、銃撃戦とカンフーを融合したキレキレのガン・フー、人がバンバンはねられる車&バイクの超高速チェイス、モブ(集団)の中で行われる壮絶な銃撃戦といった、これまで見たことのない数々のアクション・シーンもさることながら、亡き妻への思い、立ち上がる不屈の精神と身体――チャド監督曰く、「ジョンは意志の強い男。不死身ではないが、1000回倒されても1001回立ち上がる」キャラクター設定もあるだろう。鉛筆1本で3人の暗殺者を殺し、必ず仕事を成し遂げることで名を挙げた伝説の殺し屋。多くを語らないが、愛犬への眼差しからも素のキアヌと同じく“いい奴”というのが滲み出る。 だからこそ、第1作のウィレム・デフォー扮するマーカスはじめ、第2作から登場するローレンス・フィッシュバーン扮するニューヨークの地下犯罪王キング、さらにはシリーズを通してコンチネンタル・ホテルの支配人ウィンストンとコンシェルジュのシャロンが力を貸すのだろう。そして、新作「コンセクエンス」では、真田広之扮する大阪コンチネンタル・ホテルの支配人シマヅが命を賭けて客人であるジョンを守り抜く。だが、ジョンとかかわった者は必ずその代償を払うことになる。 既に裏社会から引退していた、ドニー・イェン扮する盲目の殺し屋ケインもジョンとは旧知の仲だが、娘の命と引き換えにジョンの暗殺を請ける。「狼/男たちの挽歌・最終章」へのオマージュでもある教会でのシーンではジョンとケインが並び、対決を前に静かに語り合う最高のダンディズムに痺れまくった。     2時間強の特典映像がヤバすぎる そもそもケインは「座頭市」を彷彿とさせるキャラクター。そこに「燃えよドラゴン」のブルース・リーをイメージして黒いスーツに細い黒ネクタイを締めたルックを決めたのだという。ほかにも随所に、「ダーティハリー」「ブリット」「男たちの挽歌」「続・荒野の用心棒」など活劇エッセンスが随所にちりばめられている。 印象深いのは、マッチを吹き消して暗転、砂漠が広がる「アラビアのロレンス」や、夕陽をバックに3人の男たちの影を映した「続・夕陽のガンマン」など名シーンの再現。チャド監督のシネフィルぶり、アクション名作へのリスペクトがうかがえる。 「チャプター2」の時に来日したキアヌとチャド監督に取材する機会があったのだが、チャド監督は日本のアクション監督が監督したインディーズ作品にまで目を通し、キアヌに観るようにとアドバイスしていた。その飽くなきアクション映画への追求にも頭が下がる。 特典映像には、そんな名作へのオマージュを捧げたシーンの解説まであり、答え合わせをする気持ちで楽しめる。圧巻はやはりアクション・シーンのメイキング。チャド監督は「マトリックス」のアクション・コーディネーターとスタントダブルを務めただけあり、キアヌとの信頼関係は厚い。この二人を中心に、出演者、スタッフが嬉々として新たなアクション・シーンの造形にかかわっているのが微笑ましい。そこで完成したクライマックスの222段の階段落ちバトルは、アクション映画史に残る凄まじいシーンとなった。 さらにBlu-rayコレクターズ・エディションに収録される特典映像は主要キャストへのインタビューをはじめ、圧巻の美術、衣裳、撮影、そしてルーブル美術館やベルサイユ宮殿を使ったロケ地などに焦点を当てた解説など2時間強にも及ぶ充実ぶり。 シリーズの集大成ともなった第4作と、その舞台裏を凝縮した特典映像は掛け値なしで楽しめる、シリーズファン垂涎の内容となっている。この特典映像を何度も確認しながら、さらなる続編を期待。まだまだチャド監督とキアヌのアクション追求の旅は続くのでは、と確信する。 最後に、突然の退場劇に心底驚いたコンチネンタル・ホテルのコンシェルジュ、シャロン役のランス・レディックが公開直前に60歳で急逝。心よりご冥福をお祈りします。 文=岡﨑優子 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=iSvAPDZsQTQ 「ジョン・ウィック:コンセクエンス」 ●リリース日:【レンタル】2024年2月2日 【セル】2024年2月21日 DVD&Blu-ray の詳細情報はこちら ●ジョン・ウィック:コンセクエンス クアドリロジー・エディション Blu-ray 【数量限定・8枚組】 価格:20,900円(税込) 【ディスク】<8枚> ★映像特典★ ・メイキング、予告編集、撮影風景、インタビューほか計149分 ★封入特典★ ・大判アートビジュアルポストカード、キャラクターステッカー封入 ★仕様特典★ ・特製デジパック&アウターケース ●ジョン・ウィック:コンセクエンス 4K ULTRA HD+Blu-ray 価格:9,460円(税込) 【ディスク】<3枚> ★映像特典★ ・メイキング、予告編集、撮影風景、インタビューほか計149分 ★封入特典★ ・キャラクターステッカー封入(初回限定) ★仕様特典★ ・アウターケース ●ジョン・ウィック:コンセクエンス Blu-ray コレクターズ・エディション【数量限定スチールブック仕様・日本オリジナルデザイン】 価格:9,020円(税込) 【ディスク】<2枚> ★映像特典★ ・メイキング、予告編集、撮影風景、インタビューほか計149分 ★封入特典★ ・キャラクターステッカー封入 ★仕様特典★ ・スチールブック仕様・日本オリジナルデザイン ●ジョン・ウィック:コンセクエンス Blu-ray 価格:5,830円(税込) 【ディスク】<1枚> ★映像特典★ ・メイキング、予告編集ほか計32分 ★封入特典★ ・キャラクターステッカー封入(初回限定) ●ジョン・ウィック:コンセクエンス DVD 価格:4,620円(税込) 【ディスク】<1枚> ★映像特典★ ・メイキング、予告編集ほか計32分 ★封入特典★ ・キャラクターステッカー封入(初回限定) ●2023年/アメリカ/本編169分 ●監督:チャド・スタエルスキ ●出演:キアヌ・リーブス、ドニー・イェン、ビル・スカルスガルド、ローレンス・フィッシュバーン、真田広之ほか ●発売・販売元:ポニーキャニオン ®, TM & © 2024 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
  • キネマ旬報ベスト・テン作品賞(日本映画第1位)、そして脚本賞受賞の「せかいのおきく」。同じく日本映画監督賞のヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」と、2023年度はつくづく“厠(かわや)の年”だった。人の営みに不可欠なモノなのに、映画の題材として真っ向から描くには文字通り“憚(はばか)り”だったものを、一気に噴出させたかのようで、気分スッキリである。 阪本順治監督初のオリジナル脚本による時代劇 阪本順治監督初のオリジナル脚本による時代劇で、30本目の節目作が“江戸の下肥(しもごえ)事情”なのは「誰も描かなかった」から、だそうだ。納得。江戸庶民のふん尿は肥料として農村で作物を育んでいた……サステナブルにして、バイオエコノミー。江戸時代は高度な循環型社会、という打ち出しに目から鱗の思い。方向性としては「人情紙風船」(1937)や「幕末太陽傳」(1957)あたりだそうだが、確かに時代劇史上初! 長屋住まいに身をやつす、声を失った武家娘・おきく(黒木華)と下肥買いの若者・矢亮と中次(池松壮亮、寛一郎)が、志を持って生きようとする。いわば“大江戸青春グラフィティ”的魅力も保持しつつ、白黒スタンダードから肝心な場面は一転、黄金色鮮やかな“総天然色”と化し、大いに匂い立つのがミソというか、何というか。 「おれたちがいなきゃ、江戸なんて糞まみれじゃねえか」 当初の題名はそのものズバリ「江戸のうんこ」だったそうな(笑)。黒木華さんをヒロインに迎えるにあたり、さすがにミもフタもないので、この題名に。“おきくのせかい”では狭く内向きとなろう。“せかいのおきく”としたことで、苛酷な境遇下でも大きく飛翔せんとする青春無限の可能性を忍ばせた。 “長屋もの”好きとしては、堆肥事情を中心とした克明な描写も見逃せない。冒頭での主人公たちが雨宿りする共同便所“外後架(そとごうか)”、長屋内の後架の扉は下半分しかなく、座っても顔が見えるほど。長雨が祟り、厠から屎尿(しにょう)があふれ、長屋の連中が右往左往するシーンは思わず微苦笑を誘う。おきくがまだ声を発していた頃「あたしだって、武家育ちの恥も外聞も捨てて、いまや、糞とか屁とか平気で言えるようになったのでございます」という科白が何ともオカシイ。あるいは、矢亮と中次がじゃれ合いながら「おれたちがいなきゃ、江戸なんて糞まみれじゃねえか」とヨタを吐くのも、その通り! と相槌を打ちたいほど。   すべての営みは自然を中心に循環してゆく――循環型社会を再考する 時代設定は江戸末期(1858~1861年)。監督の「侍同士よりも、庶民の姿に興味がある」との言葉に得心した。と、同時に空や木々、川や池、畦道や竹林の実景も実に印象に残る。撮影の笠松則通氏によると「これまで実景はあまり使わない監督が、今回は変わった」そうだ。これに対し「すべての営みは自然を中心に循環してゆくテーマだけに実景は今回大事だった」と監督は答えている。 往時は“御不浄”“汚穢(おわい)”とも呼ばれたモノにスポットを当て、青春の光と影とともに、かくも美しく前向きに捉え、循環型社会を再考する……“厠の年”に相応しい、素敵な青春・ふん尿譚。DVD特典として舞台挨拶集、インタビュー・メイキング、予告編&特別映像集も興趣を増し、再々度観たくなる! 文=秋本鉄次 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=MCcKdPxwhdA&list=TLGG9vNzKskWnTwyNDAxMjAyNA&t=4s 「せかいのおきく」 ●Blu-ray& DVD発売中 Blu-rayの詳細情報はこちら DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray 価格:6,050円(税込) 【ディスク】<1枚> ★映像特典★ ・舞台挨拶集(完成披露試写会、公開記念、"せかいのおやじ"ナイト)、ニューヨーク・アジアン映画祭2023、インタビュー&メイキング、予告編集、特別映像 (《せかいって何?篇》、《おかしな長屋⁉篇》) ★封入特典★ ・フォトブックレット(20P) ★仕様特典★ ・箔押しアウタースリーブ ●DVD 価格:4,730円(税込) 【ディスク】<1枚> ★映像特典★ ・劇場予告編 ●2023年/日本/本編89分 ●脚本・監督:阪本順治 ●出演:黒木華、寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司 ほか ●発売・販売元:TCエンタテインメント © 2023 FANTASIA
  • 東学祭の名で知られる国内最大規模の学生映画祭〈東京学生映画祭〉。第35回となる今年も夏に開催され、作品募集が2月1日(木)に始まる。     全国の学生が作った映像作品を募り、コンペティション形式でグランプリを決める本映画祭。学生のみで企画・運営を行い、学生と映画界の架け橋となることを目的とする。 部門は実写長編、実写短編、アニメーションの3つ。応募の概要は以下の通り。   〈エントリーの期間・料金〉 一次エントリー:2/1(木)0:00〜3/9(土)23:59/1500円 二次エントリー:3/10(日)0:00〜3/31(日)23:59/2000円 〈規定〉 ・作品完成時に監督が学生(中学・高校・大学・大学院・短大・専門学校)であること ・過去に本映画祭に応募していない作品であること ・その他の詳細はこちら   〈第34回東京学生映画祭 ゲスト審査員・授賞監督のコメント〉 ゲスト審査員 清水崇監督 ここ数年…すっかり楽しみになり、毎年欠かさず足を運んでいる。 そこで「おや?」と気付いた。毎年連日、客席で全プログラムを鑑賞しているのは自分くらいだった……(焦・恥・苦笑)。 客席にいらっしゃるノミネート作品の関係者の皆さん、自分の関わる作品以外ももっと観るべきだ…と毎年感じていた。 ……そんな矢先、昨年は、運営側の学生さんから突然の連絡を受けた。 “予定していた審査委員長の巨匠監督に不都合が生じ、急遽の代役を頼みたい”との事だった。 「毎年客席に観に来ているのがバレていた…」「大大先輩の巨匠の代わり……」 いきなり降り掛かった2重のプレッシャー!!……だが、大好きな映画祭からの依頼だし、ホラーイメージばかりの僕なのに…と、光栄な想いもあったのでお引き受けさせてもらった。 思えば…過去2回の審査員以来、3回目だった。…そこで同じ審査員として、先輩:石井岳龍監督との久々の再会、大好きな映画『ひらいて』の首藤凛監督との出会いも嬉しかった。 そう、映画祭は出逢いの場でもある。しかも本映画祭では世代を越える。 若く勢いのあり余った若い作品群は勿論、多くの監督やスタッフ、俳優陣、関係各位との出逢いが待っている。 本映画祭から、これまで幾つの出逢いと繋がりをいただいただろうか? 今年もこの時期が来た!新しいセンスと世界観に期待! まずは…今夏も自作の制作時期と被らず、観に行けるかどうか?だが…… もし会場へ伺えたら……(ホラーばっかりの監督ですが)見かけたら、遠慮無く声かけてやってください! ゲスト審査員 石井岳龍監督 娯楽志向であれ、挑戦的なアート系であれ、観客がどのように感じるのかを充分に自覚していない、或いは作品の大切な部分の弱点を自覚しているのに直さずに応募された映画は、当然、物足りません。練られた事前準備や仕上げの粘りなどは、そのまま作品に反映されますし、物理的、技術的問題で望む表現が困難でも、大切な狙いを伝えたくて懸命に試行錯誤された代案がオリジナリティを生みます。映画はスタートしたら一方的に流れて終わる、そこに表現された全てを決して誤魔化せない、恐ろしくも暴力的な表現形態です。 ゲスト審査員 幸洋子監督 上手くできたか、人に気に入られるか、まとまっているか、よりも、思いっきり今の自分が作りたいものを作って欲しいです。失敗を恐れずに実験を楽しみながらのびのびとした気持ちで作れば、見た人にとっても新鮮な作品になるのだと思います。こう作らなければいけないという思い込みは無視して、自分なりのとっておきの表現を探して、発見、発明したいものですね! 実写長編部門グランプリ 河村陸監督 がく-せい【学生】①学問をしている人。 「学生」という区分が良いですね。 おそらく「教員映画祭」より「学生映画祭」のほうが面白いような気もします。 四年制に限らないのも良いですし、 映画学科に限らないのも良いですし、 ペン字講座の学生でも良いんですね。 色々な方面から集まる変な人たち。 その中に観客として加わるのも良いですし、 自分の作品を見てもらうのもオススメです。 アニメーション部門グランプリ はるおさき監督 作品を作っていると、孤独を感じながら自問自答し続け、答えの無い問題に苦しむ瞬間が必ず訪れます。 ですが作品が完成し誰かに見てもらえた時、言葉に出したことのない自分の悩みに共感してくれる人、考えた事のないアイデアを持つ人々に出会うことができます。 東学祭は、未知を未知として受け入れ、楽しんでくれる優しい人々に出会える場所だと思います。 孤独だと思って自らの内に篭り切ってしまう前に、作品を誰かに見せて、自分以外の存在や繋がりを感じてみるのもいいかもしれません。 実写短編部門グランプリ 中山響一監督 面白いとは何か、どうしたら観客は感動するのか…制作する際に一度は考えると思います。 大学4年次の作品。私は焦りから本作の脚本をなかなか書けないでいました。 悩んだ時は一度振り出しに戻って。あなたが一番伝えたい想いを映像にのせてください。 その想いは必ず伝わります。   東京学生映画祭サイト:https://tougakusai.jp

今日は映画何の日?

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