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小雪と田中偉登が共演。盲ろう者の大学教授の生い立ちを描く「桜色の風が咲く」
2022年9月1日9歳で失明し、18歳で聴力を失いながらも世界で初めて盲ろう者の大学教授となり、2003年TIME誌で「アジアの英雄」に選出、現在は東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授を務める福島智さん。彼が母と織り成す幼少期から大学受験までの日々を、小雪と田中偉登の共演で描いた「桜色の風が咲く」が、11月4日(金)よりシネスイッチ銀座、ユーロスペースほかで全国順次公開される。ポスタービジュアルとキャスト・監督・プロデューサーのコメントが到着した。 教師の夫、三人の息子と関西の町で暮らす令子(小雪)。末っ子の智(田中偉登)は幼少時に視力を失うも、家族の愛に包まれて天真爛漫に育つ。やがて彼は令子の心配をよそに東京の盲学校での生活を謳歌するが、18歳で聴力も失う。暗闇と無音の宇宙空間に放り出されたような孤独にとらわれた息子に立ち上がるきっかけを与えたのは、令子が彼との日常から見出した“指点字”という新たなコミュニケーション手段だった。勇気をもって困難を乗り越えていく母子の行く手に、希望の未来が広がっていく──。 12年ぶりの主演となる小雪、気鋭の若手俳優・田中偉登の脇を固めるのは、吉沢悠、リリー・フランキー、朝倉あきといった面々。「最後の命」「パーフェクト・レボリューション」の松本准平がメガホンを執り、真摯で温かな人間賛歌を紡ぎ上げる。タイトル「桜色の風が咲く」は、桜の開花を見えずとも風で感じる福島さんの世界を表している。 各者コメントは以下。 小雪 初めて台本を読ませて頂いた時の、圧倒的な親子のエネルギーの詰まった魂に衝撃を覚えたことを今でも覚えています。 福島先生のたおやかさの中に芯のある強さを感じ、それを支えるお母様のご苦労も想像を超えるものだったかとお察ししました。 障がい者というと、人は憐れみや同情を思い浮かべるかと思われがちですが、希望そのものだと私は感じています。 世の中が不安定な中、この作品が皆様にとって光の道筋となるような、ご覧になった方々の明日を生きる活力のエッセンスになりますように。 この作品に携わり、そして無事にお届けできる事が出来て幸せに思っています。 最後に、制作チームはじめ作品に力を注ぎ公開に向けて携わってくださった全ての方々に感謝致します。 田中偉登 福島さんの人生を映画の中で生きるという緊張と責任、何一つ濁すことなく伝えたいという熱を持って常に監督と話し合いながら撮影に臨みました。 僕が智として生きる上で一番大事にしていたのは福島さんの「笑顔」です。 撮影が始まるまでの数ヶ月、福島さんのもとに何度も通い、点字の打ち方や白杖を持っての歩き方を教えてもらいながら目が見えなくなった時、耳が聞こえなくなった時などの話をたくさん伺いました。 僕には想像できないほどの苦労や痛みを伴う過去でも笑顔で話す姿がとても印象的でした。そして、どんな状況でも諦めず自分が出来る事を見つけ、今では同じ境遇にある人たちの道しるべになる福島さんの強さと優しさをいかに表現できるかはこの「笑顔」にかかっていると思って演じました。 お母ちゃん役の小雪さんには幾度となく助けていただきました。何も見えない世界で、唯一の頼りのお母ちゃんの腕から離れると取り残されたような感覚に陥り恐怖に押しつぶされそうになりました。摑まっているお母ちゃんの腕の安心感は僕にとって光でした。芝居を重ねていく中で自然と生まれたお母ちゃんと智の信頼関係は本物に近いものだと感じています。 どうしようもなく心が折れそうな時、踏ん張る力をくれる映画です。 「笑顔」で前を向き進んでいけば道は開けると僕が福島さんから学び感じた事がスクリーンを通して皆さんに伝わると嬉しいです。 監督:松本准平 福島智さんと出逢い、魅了されて、その思索と半生、そしてお母様・令子さんのことを知り、この親子の物語を映画にしたいと思いました。自分の小さな苦しみを、智に重ねながら始めた作品でしたが、いつの間にか、母の愛の圧倒的な力強さに飲み込まれていきました。令子さんを演じる小雪さんに、カメラの横で何度涙したことかわかりません。そして、それでも前に進み続ける智の姿に何度勇気づけられたことか。障害を描くことは、僕にとって、生命や人生の秘密に触れようとすることです。この映画を、素晴らしいキャスト・スタッフと共に作り上げることができたこと、とても幸せです。僕自身が、この映画に変えられた一人です。多くの方々の心に、届いてくれると嬉しいです。 製作総指揮・プロデューサー:結城崇史 およそ80億人もの人が生きるこの地球で、監督、スタッフ・キャストの皆さん、福島先生と出会えたのは、僕にとって奇跡以外の何モノでもない。共に汗を流し、悩み苦しみ、また、笑い、涙した仲間たち、そして僕を信じ支えてくれた家族・友人、関係者に心からのありがとうを送ります。この映画を通して人が人として生きる意味を、今一度見つめ直し、生きていることの喜びと感謝を感じていただければ、これ以上の喜びはありません。 この映画が多くの人の生きる力になりますように祈りを込めて。 「桜色の風が咲く」 出演:小雪、田中偉登、吉沢悠、吉田美佳子、山崎竜太郎、札内幸太、井上肇、朝倉あき、リリー・フランキー 製作総指揮・プロデューサー:結城崇史 監督:松本准平 脚本:横幕智裕 音楽:小瀬村晶 協力:福島令子、福島智 エンディング曲:辻井伸行「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13《悲愴》 II. ADAGIO CANTABILE」 製作:スローネ、キャラバンピクチャーズ 制作:THRONE INC./KARAVAN PICTURES PTE LTD 助成:文化庁文化芸術振興費補助金 ©THRONE / KARAVAN Pictures 製作国:日本/日本語/2022/ビスタ/5.1ch/113分/英題:“A Mother’s Touch” 配給:ギャガ HP:gaga.ne.jp/sakurairo -
死を迎える息子とその母を描く「愛する人に伝える言葉」カトリーヌ・ドヌーヴがコメント
2022年8月31日カトリーヌ・ドヌーヴとブノワ・マジメル共演。癌を宣告された主人公とその母親が、限られた時間のなかで “人生のデスクの整理” をしながら、穏やかに死と向き合っていく姿を描くエマニュエル・ベルコ監督作「愛する人に伝える言葉」が、10月7日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかで全国公開。ドヌーヴのコメントと場面写真が到着した。 場面写真は、膵臓癌を宣告されたバンジャマン(ブノワ・マジメル)と付き添う主治医のドクター・エデ(ガブリエル・サラ)、スマホを手にバンジャマンの身を案じる母クリスタル(カトリーヌ・ドヌーヴ)、患者を見つめる看護師(セシル・ド・フランス)などを捉えたもの。 息子を看取る役を演じたドヌーヴは「人生で起こり得る最悪のことですから、とても難しい役でした」としつつ、「難しいかどうかよりも私にとって重要なことは、脚本が好きになれるかどうか。とても良かったわ」「非常に重要なテーマだった」と出演理由を明かした。監督のベルコは「この映画は人生の讃歌だ」と語っている。 © Photo 2021 : Laurent CHAMPOUSSIN – LES FILMS DU KIOSQUE 配給:ハーク ▶︎ カトリーヌ・ドヌーヴ&ブノワ・マジメル。死と対峙する感動作「愛する人に伝える言葉」 -
和やかなメイキング到着。香港映画界の名匠7人によるオムニバス「七人樂隊」
2022年8月31日ジョニー・トーのプロデュースにより、香港映画界を牽引してきた7人の名匠が、1950年代から未来までそれぞれ異なる年代を舞台に撮り上げたオムニバス「七人樂隊」が、10月7日(金)より新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。7人が現場で創作を楽しむ姿を捉えたメイキング動画「和やかな楽章」が到着した。 アン・ホイ監督は「描かれたのは複数の年代の物語」、ジョニー・トー監督は「力を合わせて香港の出来事を記したかった」、ツイ・ハーク監督は「大勢の監督による共同制作は映画史的にも珍しい」と説明。 これが遺作となったリンゴ・ラム監督も映され、サモ・ハン監督は「我々には映画への愛がある」と確信に満ちた表情で語る。 さらにパトリック・タム監督が「各自が自由に創作できた」、ユエン・ウーピン監督が「スタイルの違う監督が集まって賑やかだ」と続ける。 過ぎ去った“フィルムの時代”へ敬意を表明している点でも注目の本作。メイキング動画は、デジタルカメラが主流の現代にあえて35mmフィルムで撮影している現場、今や珍しい光景となったフィルム交換作業もきっちり捉えている。 ©2021 Media Asia Film Production Limited All Rights Reserved 配給:武蔵野エンタテインメント ▶︎ 香港を代表する7人の監督が集結! 香港の “美しい瞬間” を切り取った「七人樂隊」 -
「ライアーゲーム」シリーズや「マスカレード・ホテル」シリーズの岡田道尚によるオリジナル脚本を、Hey! Say! JUMPの中島裕翔を主演に迎え、「海炭市叙景」「私の男」の熊切和嘉のメガホンで映画化した転落劇「#マンホール」が、2023年2月よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国公開。メインビジュアルと特報映像が到着した。 6年ぶりの映画主演となる中島が演じるのは、勤務先で営業成績トップ、同僚の信頼は厚く、社長令嬢との結婚も決まって将来を約束された超ハイスペック男。ところが結婚式前夜のサプライズパーティで酔って帰り道にマンホールに落ち、幸せの絶頂からどん底に転落してしまう……。 主演・中島裕翔 コメント 3週間強の撮影期間だったのですが、もっと長い間撮影していたのではないかというくらい濃い内容でしたので、本当にそれが終わったんだなという実感があります。雨に濡れたり泥や泡にまみれたりと想像以上に大変なことがたくさんありましたが、熊切監督作品の歴史に残る映画に参加できて光栄です。 国内外問わず類をみない、とてもクレイジーな映画が出来上がりました。没入感をもって見て頂けるような作品になっていると思いますので、皆さんもこの映画を見てちょっと息苦しくなってほしいなと思います。見ている人を1度、2度、3度、もっとたくさん驚かせたいと思います! 熊切和嘉監督 コメント 今回自分のなかでもここまでのジャンル映画というのは初なのですが、中島君が緊迫感を肉体で上手に表現してくれました。2人で演技プランをディスカッションしていくなかで、僕が思っていた以上に中島君のいつもとは違った面が出てくるのも面白かったです(笑) 本当に難儀な台本ではありましたが、スタッフみんなが徹底的にやってくれたことと、中島君が最後まで信じ切って演じてくれたことで、マンホールという狭い空間の中でとても大きな画を描けたような気がしてます。これから仕上げと編集も徹底的にやって、面白い映画に仕上げようと思いますので楽しみにしていてください。 Story 勤務する不動産会社で営業成績No.1、社長令嬢との結婚も決まり、将来を約束された川村俊介。ところが結婚式前夜のサプライズパーティで酩酊し、帰り道にマンホールに落ちてしまう。深夜に穴の底で目覚めた川村は、手元にある唯一の道具・スマホのGPSで居場所を探るが誤作動が発生。警察や友人知人、果ては元カノにまで助けを求めるも状況は悪化する一方だった。ついにはSNSでアカウントを立ち上げ、フォロワーに助けを乞いながら脱出を試みるが……。 「#マンホール」 監督:熊切和嘉 原案・脚本:岡田道尚 出演:中島裕翔 制作プロダクション:ツインズジャパン 製作幹事・配給:ギャガ ©2023 Gaga Corporation/J Storm Inc. 公式サイト:gaga.ne.jp/manhole/
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“家出した女性の物語” を紡ぎ、[カンヌ・プレミア]部門に選ばれたマチュー・アマルリック監督作「彼女のいない部屋」が、8月26日(金)より全国順次公開中。Bunkamura ル・シネマで8月27日(土)に行われたアマルリック監督と濱口⻯介監督のオンライン対談のレポートが到着した。 「日本映画からは大きな影響を受けている」というアマルリック監督が、「ドライブ・マイ・カー」に感動して以来、濱口監督への敬愛を語っていたことから企画された今回の対談。濱口監督も「マチューさんは私にとって映画を見始めたころからの大スター」と敬意を表して快諾し、実現に至った。 昨年のカンヌ国際映画祭で顔を合わせているものの、きちんと話すのは初めてのふたり。揃って「あの時(互いの作品を)見ていればもっと話ができたのに!」と振り返ったり、アマルリック監督が「RYUSUKEと呼んでいいですか?」と尋ねるなど、パリと東京の距離を感じさせない親密ムードでスタートした。 両者の映画作りについて「フィクションでもドキュメンタリーでも、非常にミステリアスな部分をどんどん開拓していく。これは竜介さんもやっていることですね。だから、あなたは私の弟であると同時に、私の師匠かなとも思っています。ふたりとも映画愛というものをもって作品を作っているんだなと感じています」とアマルリック監督が語ると、濱口監督が「弟と言ってもらったことは一生忘れないと思います」と返し、場内はどっと沸いた。 濱口監督は「彼女のいない部屋」について、「本当に素晴らしいと思いました。去年のカンヌで見ていれば去年のベストだったと思うし、今年のベストだと思っています。近年見ても、ここまで心を揺さぶられる映画というのは稀」と述べ、「映像と音響のあり方、話しの進め方が本当に驚くべきもの。ものすごく高い技術によって達成されているものだと思うのですけど、それがエモーションのために全ての技術が総動員されていることが何より素晴らしいと思いました」と称賛。 また、主人公クラリス役のヴィッキー・クリープスについて濱口監督は「見せびらかしのような演技がまったくなく、だからといって無感情なのではなく、蓄えていた感情を必要なときに放出することができる」として、どのように演技を引き出したのか尋ねると、アマルリック監督は「ヴィッキーに何か教えるということはありません。ジャン・ルノワールもやっていますが、竜介さんはリハーサルでは感情を出さないような形でやっていますよね。そして、このルノワールとともに、私たちをつなげているもう一人の人物がいますね。ジョン・カサヴェテスです。カサヴェテスの場合は、演劇をベースにリハーサルを繰り返し、そこでセリフを書き変えていくやり方です。僕の場合は一度書いたものに毎朝、更に書き加えて役者たちに渡すという方法をとります。けれど、私もカサヴェテスのように、監督としてより重要な役目は、どこにどんなふうにカメラを置くかの方だと考えています。ヴィッキーが何回も本番のテイクを繰り返さなくていいように、(役の)苦しみを何回も演じる必要はありませんからね、多くても2回のテイクで終われるように技術スタッフと一緒にカメラ位置などを入念に考え準備しておく。それだけ準備をしておけば、後はヴィッキーにバトンを渡し、ヴィッキーはバトンを受け取って走れるのです」と語った。 すると濱口監督は「カサヴェテスの名前が出てとても嬉しいです。(アマルリック監督の過去作)「さすらいの女神たち」はあきらかに「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」を思わせるし、前作の「バルバラ セーヌの黒いバラ」には「オープニング・ナイト」を想起させられました。今回は終盤で雨が降るなかで木馬を家にしまい込むというシーンで「ラヴ・ストリームス」の記憶がふっとよみがえったりしました。この映画自体が、複雑なアラン・レネを思わせる構成でありながら、ジョン・カサヴェテスのエモーションと融合したような、奇跡のような映画だと思っています」と応じた。 またこの映画から「物語が始まる前の時間、我々が知り得ない時間というものを俳優やスタッフたちは共有している」と感じたと濱口監督は語り、「それが俳優が演技をする上での基盤になっているのではないか」と、準備のプロセスについて質問すると、アマルリック監督は「私たちは撮影の前に家族の過去を想像する必要があると思いました。一番最初に私たちがしたことは、ヴィッキー、(夫役の)アリエ、息子のサッシャ、娘のアンヌソフィー、彼らをその家に呼んで写真を撮りあうということをしたんです。冷蔵庫って昔の写真とか思い出というものを貼る場所じゃないですか。そのための写真を撮った。これがわれわれの共同作業で一番最初にしたことでした」と明かした。 俳優でもあるアマルリック監督に対して濱口監督が「では最後なので、短く。演出家からされてイヤだったことで、これだけは僕は絶対俳優にはしないぞ、ということはありませんか」と、まるで自身の演出時に気をつけねば、というようなユーモラスな質問を投げて場内の笑いを誘うと、アマルリック監督も「Non!(ありません)」と芝居がかったように答えて場内は爆笑。しかし、改めて「質問に答える形で、正直に言うなら、僕自身は俳優にこうはしないというシーンはセックスシーン(フランス語では“愛のシーン”=メイクラブするシーン)ですね。監督というのは女性でも男性でも“愛のシーン”の演出は少し怖いと思っているものです。皆あまりすすんで演出したがらず、あまり俳優をサポートしてくれない。このシーンは俳優におまかせ、そんな感じが多い。でも“愛のシーン”はストーリーテリングにおいて色々なことを含んでいる重要なシーンです。だから絶対に俳優におまかせという形で丸投げすることはやってはいけないと僕自身は思っています」と答え、「竜介さんはそれをまさにちゃんと、『ドライブ・マイ・カー』の最初のシーンできちんと演出をつけているということがとてもよくわかりました。竜介さんから出て来たものが、俳優にインスピレーションをもたらしていると感じました」と濱口監督の演出を称賛。そして「こういう会話を将来的にもどんどん続けましょう!」「ぜひ!」と約束し合い、対談は終了した。 © 2021 – LES FILMS DU POISSON – GAUMONT – ARTE FRANCE CINEMA – LUPA FILM 配給:ムヴィオラ ▶︎ カンヌ・プレミア選出。マチュー・アマルリック監督最新作「彼女のいない部屋」 ▶︎ マチュー・アマルリック監督「彼女のいない部屋」、ミステリアスな予告編が公開 ▶︎ 「彼女のいない部屋」マチュー・アマルリック × 濱口⻯介対談が決定。黒沢清、三宅唱らがコメント