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「美と殺戮のすべて」ナン・ゴールディンのセルフポートレイトと著名人コメント公開
2024年3月22日1970〜80年代にドラッグカルチャー、ゲイカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーンなど過激と言われた対象を撮影し、一躍時代の寵児となった写真家ナン・ゴールディン。彼女が巨大資本を相手に繰り広げた闘争を捉えるとともに、大切な人々との出会いと別れ、アーティストである前に一人の人間として歩んできた道のりを明かし、第79回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞および第95回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞ノミネートを果たした「美と殺戮のすべて」が、3月29日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほかで全国公開される。映画に登場するゴールディンのセルフポートレイト、著名人のコメントが到着した。 〈コメント〉 イシヅカユウ(モデル・俳優) 人はなぜ戻ることのできない時に思いを馳せ、時に後悔をするのだろう? ナンはきっと、ままならなかった悔しさを新しい時代の希望にする為戦うことを選んだのだと思う。そして怒れることを恐れず、勝ち取り、悲しみも喜びも分けあって生きている。私は何を選び取れるだろう。 岩渕貞哉(美術手帖総編集長) 1980年代のサブカルチャーを鮮烈にとらえた伝説的写真集『性的依存のバラード』のナン・ゴールディンが、アクティビストとして社会正義を謳うことに一瞬戸惑うひともいるかもしれない。しかし、アメリカのオピオイド危機の深刻さ、彼女自身がそのサバイバーであること、そして、世界のアートのインフラである大型美術館がこのオピオイドの利益による寄付で支えられてきたことを知るとき、その見え方は一変する。観る者にアート界の欺瞞性とアートの力をこれほど強烈に突き付けてくる映画はほかにない。 小田原のどか(彫刻家・評論家・版元主宰) 「行動を起こさなければ」とナン・ゴールディンは言った。そうしてミュージアムは〈寝た子〉を起こす場となった。とはいえ本作は、オピオイド危機の原因企業への直接行動を牽引した、希代の写真家の後ろ姿を追うだけのものではない。映し出されるのは、彼女を「行動」へと導いた人生の道行きと、喪失のかたちだ。薬物依存、精神障害、AIDS……、それらを烙印と見なし、偏見を押し付け、人命を軽んずるこの社会に対して、ナン・ゴールディンは抵抗し続ける。 笠原美智子(アーティゾン美術館副館長) 言葉さえ失っていた少女が、自立と依存の狭間で苦しみながら、世界的アーティストとなった。現実をありのままに見据える写真で時代を切り拓いてきた、ナン・ゴールディンの美と痛みのドキュメンタリーである。また、現代美術がいかなる力を持っているか、実証してくれている。 後藤繁雄(編集者/京都芸術大学教授) この映画は、写真の、アートの闘いの映画だ。ナンが2023年末に、アートワールドで最も影響力のある『ArtReview』のランキング「Power 100」で1位に選ばれたのは、彼女が「私」という「生」の場を最もラディカルなアートにしたからだ。その苛烈な姿の全てがこの映画にある、目撃せよ「現代写真」の前線を! 志賀理江子(写真家) 痛みに体が支配される時、時は過去と未来のつながりを失い、点滅し始める。人は一瞬ごとの苦しみに閉じ込められ、そこから逃げ出すためには、もう、何にでもすがるだろう。困難にどのように抵抗するか、その手段こそが「表現」であることを彼女は体得していく。だからこそ「生き延びることがアートだった」と言う。ナンと彼女の近しい人たちは、その姿を写真に写すことによって曝けていたのではなく、私たちの鏡のようにして、世界に、その光を照らし返すのだ。 渋川清彦(俳優) 19の時、地下鉄で偶然にナン・ゴールディンと出逢った。それから東京とNYで色々な事を遊びのなかに教えてくれた。モデルをすすめてくれたが、わたしはモデルは好きじゃないと言っていた気がする。20数年会っていないが、「美と殺戮のすべて」のナンを観て何も変わっていないと感じた。強さと脆さと優しさと反骨さと。ナンは闘い続けてる。ナンと出逢わなかったら今の俺はない。確実に 治部れんげ(ジャーナリスト) アメリカでオピオイド中毒死が急増した原因を作った富豪一家。自ら薬物中毒サバイバーである著名写真家率いる抗議活動は、メトロポリタン、ルーブルなどの美術館に向かう。アート、巨万の富、無責任な医療行政をパーソナルな視点でつなぐ、非常に見応えのあるドキュメンタリー。 瀧波ユカリ(漫画家) 「痛み」をないものにする社会で「ここに痛みがある」と訴える。それはアートの役割のひとつであり、ゴールディンが長い間取り組んできたことだ。つまり鎮痛薬によって維持される社会の病巣に斬り込むことは、彼女にとって必然の帰結なのだ。痛みと悲しみを見つめ続けた者だけが持つ強さと美しさが、ここにある。 長島有里枝(アーティスト) ナン・ゴールディンのオピオイドクライシスとの闘いは、人の痛みにますます鈍感な社会にアートがどこまで対抗できるのか、というチャレンジでもある。彼女の写真にはいつも被写体への愛、彼らと彼らの文化を容易に奪おうとする社会に対する怒りが写っている。彼女からは作風以上に、アーティストとして何を大事にするべきなのかを学んだ。アート界に彼女がいることはこれからもわたしを支え、勇気を奮い起こす助けになると思う。 MISATO ANDO(美術家) 異質。異端。それの何が悪い? ナン・ゴールディンは、この世の記憶を偽りなく物体に吹き込み、それが現在・未来へと生き継がれている。その力があるからこそ私はアートに惹かれるのだ。偏見が形を変えて浮き続ける世の中で、いつの時代も人は自由を求めている。今、自分が信じるもの。愛するもの。それは一体何なのか。誰なのか。生命力溢れる彼女の人生にあなたもきっと問いただされるだろう。 村上由鶴(写真研究) はじめてナン・ゴールディンの写真を見たときに感じた、セックス・ドラッグ・暴力(そして死)の生々しさと、それらがあまりにも魅力的に写っていることへの困惑をよく覚えています。この映画のなかでその写真と再び出会い、彼女がオピオイド危機にその身を呈して立ち向かう姿とその声がより切実なものに感じられました。 https://www.youtube.com/watch?v=XRtEn4P3Gpw Photo courtesy of Nan Goldin 配給:クロックワークス ▶︎ 写真家ナン・ゴールディンの闘争の記録。ヴェネチア映画祭金獅子賞「美と殺戮のすべて」 -
『愛の不時着』のイ・シニョン、EXOのシウミン、MONSTA Xのチェ・ヒョンウォン、『ザ・ファビュラス』のチェ・ウォンミョン、『ひかり男子高生徒会』のイ・セオンが共演。事故で解散に追い込まれたアイドルグループの5人が、経営難に陥ったマート(スーパーマーケット)の再建、ならびに傷ついた心の再生に向けて奮闘する姿を描いた『社長ドル・マート』が、3月20日(水)よりHuluで独占先行配信中だ。併せてYouTubeチャンネル〈WE LOVE K〉で、第1話が特別無料公開されている。 https://www.youtube.com/watch?v=owBESe_vLug 配信に先駆けて東京・豊洲PITで行われたファンミーティングには、シウミン、チェ・ウォンミョン、イ・セオンが参加。ドラマの裏側を明かすトーク、ファンとのゲーム、OST披露などで会場を沸かせた。配信開始前日には東京・大阪の映画館で第1・2話が先行上映され、こちらも大盛況。涙と笑いとハプニング満載の人生リブートストーリーに注目だ。 Story 飛ぶ鳥を落とす勢いだった男性5人組アイドルグループ〈サンダーボーイズ〉が、事故で解散を余儀なくされて5年。29歳になったリーダーのホラン(イ・シニョン)は警察に呼ばれ、驚きの事実を告げられる。なんとメンバー5人が、練習生時代の思い出が詰まったマート〈ポラムマート〉のオーナーになっていたというのだ。 ホランはメンバーのテホ(キム・ミンソク)、イジュン(チェ・ヒョンウォン)、ヨンミン(チェ・ウォンミョン)、サンウ(イ・セオン)を呼び寄せ、経営難であるポラムマートの再建に始動。チームワークを取り戻して数々の失敗を乗り越え、さまざまなアイディアで店を盛り立てていく。ところが謎の仮面男の登場により、5人は陰謀に巻き込まれ……。 ©2023 The Great Show・PONY CANYON 公式サイト:https://www.welovek.jp/ceodolmart/
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伝説のサーフムービー「エンドレス・サマー」がデジタルリマスター版で甦る
2024年3月22日サーファーのバイブルとして輝き続けるドキュメンタリー「エンドレス・サマー」(1968年の日本公開時タイトルは「終りなき夏」)が、デジタルリマスター版で、7月12日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開。キービジュアルと場面写真が到着した。 監督は「栄光のライダー」でも知られるブルース・ブラウン。カメラを携え、マイク・ハインソンとロバート・オーガストという二人のカリフォルニアン・サーファーと共に、完璧な波と夏を求めて旅立つ。 ガーナで子どもたちにサーフィンを教え、ナイジェリアでヒッチハイクし、赤道を越えて南アフリカ・ケープタウンからセントフランシス岬へ。オーストラリアやニュージーランドでは、地元のサーファーたちと交流。予期せぬ困難に見舞われながらも、出会いを重ね、新たな波に乗る──。 今なお人々の冒険心を掻き立て、人生のバイブルとして愛されるサーフムービーの金字塔が、美しい映像でスクリーンに甦る。 「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」 製作・監督・撮影・編集・ナレーション:ブルース・ブラウン 音楽:ザ・サンダルズ 出演:マイク・ヒンソン、ロバート・オーガスト 1964年/アメリカ/カラー/DCP/5.1ch/90分/原題:THE ENDLESS SUMMER/字幕翻訳:小泉真祐/G 鈴正・フラッグ共同配給 宣伝:フリークスムービー © Bruce Brown Films, LLC -
〈ジャック・リヴェット傑作選2024〉開催。謎と冒険に満ちた魔法の世界が広がる
2024年3月22日“ヌーヴェル・ヴァーグの発火点”ジャック・リヴェットの特集〈ジャック・リヴェット傑作選2024〉が、4月19日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次開催される。ラインナップは、2022年の〈ジャック・リヴェット映画祭〉でも上映された「セリーヌとジュリーは舟でゆく」「デュエル」に、「地に堕ちた愛 完全版」「彼女たちの舞台」「パリでかくれんぼ 完全版」を加えた全5本。メインビジュアル、予告編、中条省平氏のコメントが到着した。 今年2月のセザール賞授賞式で、フランス映画界の性加害を告発してきた女優ジュディット・ゴドレーシュが、スピーチの最後に「セリーヌとジュリーは舟でゆく」の台詞を引用するなど、今なお映画人に影響を与えるリヴェット。その貴重な作品群が4Kデジタルリマスター版で上映される。 「地に堕ちた愛」は、昨年亡くなったジェーン・バーキンとチャールズ・チャップリンの子女であるジェラルディン・チャップリンが主演した心理劇。限られた空間を縦横無尽に駆け回るカメラワーク、主演二人の洒脱なスタイルも魅力だ。 「彼女たちの舞台」は、演劇学校に通う女性たちが事件に巻き込まれるさまを描写。現実と虚構が溶け合うミステリーであり、若手女優たちの個性が弾ける青春映画でもある。学校の先生役はリヴェット作品に欠かせないビュル・オジエ。 「パリでかくれんぼ」は、三人のヒロインがパリを冒険するミュージカル。シャンソン歌手のエンゾ・エンゾがクラブ歌手役で登場し、リヴェット作品へは「修道女」以来約30年ぶりの出演となったアンナ・カリーナも歌声を披露する。 https://www.youtube.com/watch?v=jyLg1HqXZ7c 中条省平(フランス文学者、学習院大学教授)コメント ジャック・リヴェットこそヌーヴェル・ヴァーグの発火点だ、とトリュフォーは言った。 リヴェットは自分の長編第1作を『パリはわれらのもの』と名づけた。リヴェットのパリは、ヌーヴェル・ヴァーグで唯一の神秘都市だ。華やかな風景で観客の目を奪うが、その外見の下に、幻想世界の淵が開く。主な登場人物は、パリをさまよう美しい妖精のような娘たち。彼女らは、神秘都市の舞台で、細く敏捷な体に、目も絢な衣装をつけて、自分という役を探求する役者なのだ。 だが、パリではいつも怪しい陰謀が舞台を包みこむ。彼女らは、仲間と手を組んで、その陰謀の謎を解こうと奔走する。こうして、リヴェットの映画は予想もつかない冒険ミステリーとなる。 『地に堕ちた愛』の異界に通じる館、『彼女たちの舞台』の閃光のような列車、『パリでかくれんぼ』の突然階段で踊りだす娘たち……。あらゆる細部が、純粋な映画の快楽で私たちを魅了する。 〈ジャック・リヴェット傑作選2024〉 提供:マーメイドフィルム、Respond 配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム 宣伝:VALERIA 後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本 公式サイト:jacquesrivette2024.jp -
人生に迷う人の背中を優しく押してくれる「バーナデット ママは行方不明」
2024年3月21日2012年に出版され、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーに約1年間リスト入り。アメリカの作家マリア・センプルによる名著『where’d you go bernadette(バーナデットを探せ!)』を映画化したヒューマン・コメディ『バーナデット ママは行方不明』のBlu-ray&DVDが3月20日(水・祝)に発売(レンタルDVD同時リリース)された。 NYタイムズ紙のベストセラー小説を映像化 監督は、実際に劇中の時間経過と同じ12年間をかけて撮影し、ひとりの少年の成長を描いた「6才のボクが、大人になるまで。」(2014)のリチャード・リンクレイター。破天荒で人間嫌いな主人公バーナデット・フォックスには、この役を演じたいと自ら熱望したという名優ケイト・ブランシェット。バーナデットの夫エルジーには「スポットライト 世紀のスクープ」(2015)のビリー・グラタップ、母に優しく寄り添う娘のビーには本作が映画デビューとなるエマ・ネルソンが扮している。 息苦しい現実に限界を感じた主婦がひとりで南極へ! 夫のエルジーと娘ビーと共にシアトルで暮らす主婦のバーナデット。なんの問題もなく幸せそうに過ごしているように見えたが、ビーが中学校の卒業記念に「家族で南極旅行に行きたい!」と言い出したことからバーナデットの心に不安が募り出す。 なぜなら彼女は、旅も人間も大嫌い。大勢の他人に囲まれるのは不可避であろう南極旅行なんて、できれば(本当は絶対)行きたくない。でも、愛する娘の願いだから聞いてあげたい。バーナデットはデリーの仮想秘書“マンジェラ”に旅行券や装備の手配を全て任せ、家族の前では平静を装おうとしていた。 そんな中、娘の同級生の母親で、隣家に住む意識高い系主婦オードリー(クリステン・ウィグ)とトラブルが発生。さらに、かつて天才建築家としてもてはやされつつも夢をあきらめた、自らの過去とも向き合わざるを得なくなっていく。日に日に息苦しさが募るなか、ある事件をきっかけに現実に限界を感じたバーナデットは、忽然と姿を消す。彼女が向かった先は、家族と行くはずの“南極”だった……。 男性支配の建築業界で孤軍奮闘し、最年少で天才(マッカーサー)賞を受賞。環境配慮型建築のパイオニアとして活躍した輝かしい過去をもつバーナデット。ともすればただの高飛車で取っ付き難いキャラクターにもなりそうだが、そこをケイト・ブランシェットは絶妙な塩梅で演じている。彼女がふとした時に漏らす本心、誰よりも家族を愛する優しい心を覗かせる度に、気付けばどんどんバーナデットという人間に魅了されていく。本作で、ブランシェットが10度目のゴールデングローブ賞ノミネートを果たしたのも当然と言えるだろう。 本当の自分を探し、創造し続けることの大切さ 本音を言うと、映画を観ている最中、ずっとバーナデットをとても他人とは思えなかった。筆者も二児の母親だが、劇中でバーナデットが言う、子どもを表現した言葉「破壊者であり創造者」には、深く深くうなずいてしまった。これまで100%自分の仕事に捧げてきた時間や情熱も、子どもが生まれれば半減、さらにはもっと…となっていく母親は多いだろう。でも子どもはこの上なくかわいいし、予想を遥かに超えたものを与えてくれる。そして母親は、家族と生きる道を選んだのは他でもない自分だから、と厳しい現実にも向き合おうとしてしまう。心を少しずつすり減らしながら(でも、それを自分では気付かない)。 シンディ・ローパーの「Time After Time」を、ビーと車の中で歌っていたバーナデットがふいに涙を流すシーンがある。人生の陳腐さにふいに泣きたくなる。でも、些細なことに感動する権利はあるでしょう、と。雨が降っているシチュエーションもあいまって、私は思わずバーナデットを抱きしめたくなってしまった。 人生は創造だ、とまでは言わないが、仕事をしている人でも専業主婦でも、自分の情熱の火を灯し続けることは本当に大切なことだとあらためて思う。今もし火が消えかかっていると感じるなら、この映画を観てもう一度自分を見つめてあげてほしい。他の誰でもない、あなたの人生なのだから。 文=原真利子 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=6IZRnKtipTo 「バーナデット ママは行方不明」 ●3月20日(水・祝)Blu-ray&DVD発売(レンタルDVD同時リリース) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray 価格:5,280円(税込) 【ディスク】<1枚> ★封入特典★ ・オリジナルステッカー ●DVD 価格:4,180円(税込) 【ディスク】<1枚> ★封入特典★ ・オリジナルステッカー ●2019年/アメリカ/本編108分 ●監督・脚本:リチャード・リンクレイター ●出演:ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、クリステン・ウィグ、エマ・ネルソン ●発売・販売元:バップ © 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.