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ヌーヴェル・ヴァーグの時代より映画を撮り続け、「アデュー・フィリピーヌ」はじめとする秀作を放ったジャック・ロジエの特集上映〈みんなのジャック・ロジエ〉が、7月29日(土)よりユーロスペースほかで全国順次公開される。 パリの街並み、地中海の陽光、きらめく砂浜、ロマンスに夢中の少女と移ろいゆく青春を謳歌しようとする男たち──。輝く季節を軽やかに大胆に切り取るジャック・ロジエの才能を、ゴダールは絶賛し、トリュフォーは嫉妬したという。全貌を捉えようにも触れる機会が限られていたロジエ作品だが、近年フランスではギヨーム・ブラックなど熱狂的に支持する若手監督も現れ始めた。 今回の特集では、ロジエの長篇劇映画全5作のうちデジタル・レストアされた4作【パリとコルシカ島へ夏のヴァカンス「アデュー・フィリピーヌ」、カリブ海へ冒険ヴァカンス「トルテュ島の遭難者たち」、大西洋の島へ冬の小さなヴァカンス「メーヌ・オセアン」、ヴァカンスから演劇へ「フィフィ・マルタンガル」】、そして短篇2作【ゴダール「軽蔑」の撮影を取材した「パパラッツィ」「バルドー/ゴダール」】を上映。「トルテュ島の遭難者たち」と「フィフィ・マルタンガル」は日本劇場初公開となる。 ベルナール・メネズのメッセージ(「オルエットの方へ」「メーヌ・オセアン」に出演) 私は、ジャック・ロジエ監督の「メーヌ・オセアン」で、ヴヴェイ映画祭の最優秀演技賞を受賞しました。 映画祭が行われているヴヴェイは、チャーリー・チャップリンが最後の二十数年間に住んでいた場所で、この賞はチャーリー・チャップリン・カンヌ・ドールと呼ばれています。「メーヌ・オセアン」は、私にとっては間違いなく、デビューから出演した中で最高の作品です。 日本の観客の皆さんに、ジャック・ロジエ監督の作品を楽しんでいただきたいと思います。 【長篇】 「アデュー・フィリピーヌ」(2Kレストア) 1962年/フランス=イタリア合作/フランス語/モノクロ/110分/1.66:1/原題:Adieu Philippine/日本語字幕:寺尾次郎 出演:ジャン=クロード・エミニ(ミシェル・ランベール)、イヴリーヌ・セリ(リリアーヌ)、ステファニア・サバティーニ(ジュリエット)、ヴィットリオ・カプリオリ(パシャラ) © 1961 Jacques Rozier 1960年パリ。アルジェリア戦争への徴兵を数ヵ月後に控えた青年ミシェルは、勤務先のテレビ局でリリアーヌとジュリエットという仲良しな2人の娘と知り合う。彼女らはミシェルに惹かれていくが、彼はどちらとも上手くやろうとする。そんな中、仕事でミスをしたミシェルは、兵役前にヴァカンスを楽しもうとテレビ局を辞め、2人に告げぬままコルシカ島へ旅立つ。 「トルテュ島の遭難者たち」(4Kレストア) ★劇場初公開★ 1976年/フランス/フランス語/カラー/146分/1.66:1/原題:Les Naufragés de l'île de la Tortue/日本語字幕:高部義之 出演:ピエール・リシャール(ジャン=アルチュール・ボナヴァンチュール)、モーリス・リッシュ(太っちょノノ)、ジャック・ヴィルレ(プティ・ノノ)、キャロリーヌ・カルティエ(広報アシスタント)、アラン・サルド(支店長)、ジャン=フランソワ・バルメール(ノッティンガム)、ナナ・ヴァスコンセロス(ミュージシャン)、パトリック・シェネ、ピエール・バルー © 1974 Jacques Rozier パリの旅行代理店に勤めるボナヴァンチュールと〈太っちょノノ〉は、ロビンソン・クルーソーの冒険を追体験させる無人島ヴァカンスツアーを企画。さっそく候補地に向かうが、空港で〈太っちょノノ〉が逃げ出し、代わりに弟の〈プティ・ノノ〉がボナヴァンチュールに同行することに。やがて2人はパリから到着した最初のツアー客を出迎え、冒険を始めるが、誰も言うことを聞かない。 「メーヌ・オセアン」(4Kレストア) 1985年/フランス/フランス語、ポルトガル語、スペイン語、英語/カラー/136分/1.66:1/原題:Maine Océan/日本語字幕:寺尾次郎 出演:ベルナール・メネズ(検札長)、ルイス・レゴ(検札係)、イヴ・アフォンソ(プチガ)、リディア・フェルド(女弁護士)、ロザ=マリア・ゴメス(デジャニラ)、ペドロ・アルメンダリス・Jr(興行主)、マイク・マーシャル(森の中の弁護士)、ベルナール・デュメーヌ(裁判長)、ジャン=ポール・ボネール(検察官) © 1986 Jacques Rozier ブラジル人ダンサーのデジャニラは、パリ発の特別列車〈メーヌ・オセアン号〉に飛び乗るも、検札係に罰金を言い渡される。フランス語が分からない彼女は、通りかかった弁護士の女性に助けられ、2人は仲良くなる。翌日、弁護士に誘われて漁師の裁判に立ち会ったデジャニラは、その漁師が住む大西洋の島で週末を過ごすことに。するとそこへ検札係もやってきて……。 「フィフィ・マルタンガル」(デジタル・レストア) ★劇場初公開★ 2001年/フランス/フランス語/カラー/120分/1.85:1/原題:Fifi Martingale/日本語字幕:高部義之 出演:ジャン・ルフェーブル、イヴ・アフォンソ、リディア・フェルド、マイク・マーシャル、ルイス・レゴ、フランソワ・シャト、ジャック・プティジャン、ロジェ・トラップ、ジャック・フランソワ、アレクサンドラ・スチュワルト、ジャン=ポール・ボネール © 1997 Jacques Rozier ブールヴァール劇〈イースターエッグ〉はパリで大ヒット中。この低俗な自作が権威あるモリエール賞を受賞したと知った劇作家は、陰謀だと思い込み、上演中の戯曲を改変して “敵” に報復しよう企む。 【短篇】 「バルドー/ゴダール」(2Kレストア) 1963年/フランス/10分/モノクロ/1:1.37/原題:Le Parti des choses : Bardot / Godard/日本語字幕:寺尾次郎 © 1963 Jacques Rozier 「パパラッツィ」(2Kレストア) 1963年/フランス/20分/モノクロ/1:1.37/原題:Paparazzi/日本語字幕:寺尾次郎、追加訳:高部義之 © 1963 Jacques Rozier 1963年5月、ゴダール「軽蔑」のカプリ島での撮影現場を訪れたロジエは、そこで撮ったフッテージをもとに2本の短編を製作。「パパラッツィ」では、ブリジット・バルドーを一目見ようとする群衆やスクープ写真を狙うパパラッツィに焦点を当て、「軽蔑」を外側から捉えようとする。「バルドー/ゴダール」では、作品の内側からゴダールの撮影美学に迫りつつ、ロジエの作家性をも浮かび上がらせる。 ジャック・ロジエ/Jacques Rozier 1926年11月10日パリ生まれ。現在96歳。 高等映画学院(IDHEC)卒業。ジャン・ルノワール「フレンチ・カンカン」の撮影に実習生として参加した後、テレビ局で働きながら、初監督作となる短編「新学期」(1955)を製作。1958年、トゥール短篇映画祭で上映された短編第2作「ブルー・ジーンズ」がゴダールに絶賛され、ロジエはゴダールと親交を結ぶ。1960年、ゴダールにプロデューサーを紹介され、長編第1作「アデュー・フィリピーヌ」を撮影開始。同作は1962年、カンヌ国際映画祭批評家週間に選出される。長編第2作「オルエットの方へ」(1971)と長編第3作「トルテュ島の遭難者たち」(1976)では、ロジエ作品の特徴となる夏のヴァカンスを描く。1986年、冬の週末の出会いをコミカルに描いた長編第4作「メーヌ・オセアン」(1985)でジャン・ヴィゴ賞を受賞。2001年、今のところ最新劇映画となる長編第5作「フィフィ・マルタンガル」をヴェネチア国際映画祭に出品。同年パリのポンピドゥー・センターで、テレビ作品を含む大規模レトロスペクティヴが開催された。 〈みんなのジャック・ロジエ〉 配給:エタンチェ、ユーロスペース 公式HP:http://www.jacquesrozier-films.com
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2021年より始まった映画「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ-」シリーズの第2弾として2022年10月22日に劇場公開されて大きな話題を集めた「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ」のBlu-ray&DVDが5月24日にリリースされる。 原作は第15回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞した川原 礫による、2009年4月の第1巻出版から2023年までに全世界での累計発行部数が3000万部を突破した小説《ソードアート・オンライン》シリーズ。現在に至るまでTVアニメーション・シリーズや劇場用映画、ゲーム、コミカライズなど幅広いメディアミックス展開が成されては好評を博し続けている。 ヒロインの視点で描いていく、デス・ゲームの中のサバイバル 舞台は次世代VRMMORPG《ソードアート・オンライン》(略して《SAO》)。このサービスにログインしてプレイし始めた者たちは全員ログアウトできなくなり、現実世界に帰れなくなってしまう。脱出方法は最上部100層のボスを倒してゲームクリアすることだけなのだが、《SAO》はプレイ中に敵にやられて死んでしまうと現実世界でも死んでしまうという、恐怖のデス・ゲームでもあったのだ。 そんな《SAO》の中に入り込んでしまった主人公の少年キリトと少女アスナの壮絶なサバイバルと戦いの運命を基軸に、壮大なスケールでドラマは繰り広げられていくのだが、『ソードアート・オンライン プログレッシブ』は物語のすべての始まりであるアインクラッド第一層からの軌跡を、新キャラクターやストーリー追加なども交えながら、原作者自身がさらに深く掘り下げていくもの。「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ-」シリーズではアスナの視点で物語が再構築され、単なるリブート・シリーズとは一味も二味も違ったユニークな内容としても、多くのファンの期待と注目を集めて久しいものがある。 最新第2作その魅力、ラスボス戦の迫力を見よ! 第1作「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」では《SAO》の中で友(映画オリジナル・キャラクターのミト)と別れて独りになったアスナがキリトと出会ってコンビを組むまでが描かれていたが、今回はそれからおよそ1カ月後、アインクラッド第一層を攻略したアスナとキリトが、攻略を先導する二大勢力の対立に巻き込まれながらも上の階を目指していく様子が描かれていく。 監督は前作に引き続き河野亜矢子が担当しているが、本シリーズが監督デビューとなった彼女は、従来のテレビ・アニメーション・シリーズにも目配せした設定や展開などを諸所に用意しており、いわば「映画を見たらテレビ版も見たくなる」ような演出にも腐心している。また同性としてのヒロイン、アスナに向けた慈愛にも似た眼差しの熱さも、シンパシーに裏打ちされたものとなっていると捉えて思しいだろう。 個人的にはドラマの中盤、アスナとミトが再会するくだりから一気に躍動的かつエモーショナルなスイッチが入って魅入られっぱなし! 特にラスボス戦はあっと驚く設定の仕掛けの数々も含めて、文字通りの大興奮であった。 ライトに通常版を買うか、ディープに完全限定版を買うか さて今回のBlu-ray&DVD、完全限定生産版と通常版のどちらもバリアフリー日本語/英語字幕、バリアフリー日本語音声ガイドが入る。そして完全生産限定版のお楽しみたる特典は特製ブックレットに、原作者・川原 礫の書き下ろし小説「ソードアート・オンライン キュアラブル・ペイン」(イラスト:abec)、そして新しいキャラクターソング2曲を収録した特典CDが封入。またキャラクターデザイン・総作画監督を務めた戸谷賢部の描き下ろしBOX仕様となる。 ライト感覚で通常版を買うもよし、ディープに完全限定生産版を購入するもよし、いずれにしても劇場公開時はIMAXでも上映された高画質、高音質のハイ・クオリティな迫力を、ぜひご自宅のモニターでも再現していただきたい。 文=増當竜也 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=TtX2UBKfYTk 「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ」 ●5月24日(水)Blu-ray&DVDリリース(レンタル同時) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray【完全生産限定版】 価格:9,900円(税込) ●DVD【完全生産限定版】 価格:8,800円(税込) 【完全生産限定版特典】※Blu-ray、DVD共通 ◆原作者:川原 礫 書き下ろし小説「ソードアート・オンライン プログレッシブ キュアラブル・ペイン」 (イラスト:abec) ◆キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都 描き下ろしBOX仕様 ◆特製ブックレット ◆特典CD(※新規キャラソン2曲収録) 「Promised Sunrise」 歌:アルゴ(CV:井澤詩織) 作詞:hotaru 作曲・編曲:奈良悠樹 「Theory」 歌:アスナ(CV:戸松 遥)、キリト(CV:松岡禎丞)、 ミト(CV:水瀬いのり)、アルゴ(CV:井澤詩織) 作詞:koshi 作曲・編曲:eba ◆特典映像 ・『ソードアート・オンライン』インサイドストーリーズ’22 前編/後編 ・初日舞台挨拶映像 ・特報・PV・CM集 ◆特典音声 ・オーディオコメンタリー (出演:川原 礫、戸松 遥、松岡禎丞、水瀬いのり、井澤詩織、MC吉田尚記) ・Dolby Atmos(※Blu-rayのみ) ・DTS Headphone: X ●Blu-ray【通常版】 価格:6,380円(税込) ●DVD【通常版】 価格:5,280円(税込) ※【通常版】は本編のみ ●2022年/日本/本編100分 ●監督:河野亜矢子 ●原作:川原 礫(「電撃文庫」刊) ●キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都 ●音楽:梶浦由記 ●声:戸松 遥、松岡禎丞、水瀬いのり、井澤詩織ほか ●発売元:アニプレックス 販売元:ソニー・ミュージックソリューションズ ©2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
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5月21日(日)にアニメーションスタジオMAPPAのイベント〈MAPPA STAGE 2023〉が開催され、岡田麿里の「さよならの朝に約束の花をかざろう」に続く監督第2作「アリスとテレスのまぼろし工場」のステージが展開。メインキャストを榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲が務めることが発表され、3人のトークとともに特報映像とティザービジュアルが解禁された(映画は9月15日より全国公開)。 [caption id="attachment_25184" align="aligncenter" width="850"] ▲左から上田麗奈、榎木淳弥、久野美咲[/caption] MAPPAの大塚社長の「岡田監督の作りたい世界を徹底的に追求した作品を作りたい」という思いで制作が決まった本作。物語は「ある日突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町」が舞台となり、住人たちはいつか元に戻れるように“変化”を禁じられてしまう。 そんな閉ざされた世界で退屈な毎日を過ごす中学3年生、菊入正宗を演じる榎木は「正宗は14歳で時が止まっているという状態なので、退屈さや変化してはいけないこと思うところがあって、鬱屈したところからスタートしていく。睦実や五実と関わることでどう変化していくのか…ネタバレしそうで本当に怖い…!」と恐る恐る役どころを説明しつつ、「めちゃくちゃ濃厚な作品に仕上がっていると思います!」と自信を見せる。 正宗にとって気になる存在で、少し大人びた同級生の佐上睦実を演じる上田は「睦実はミステリアスな少女。この町のルール、“心を動かしてはいけない” “変化があってはいけない”という中で人一倍、“動かしてはいけない”と思っているキャラクター。なぜ、そこまでルールを守っているのか?本当の気持ちはどこにあるのか?探りながら観ていくと、より面白く観ていただけると思う。そんな絶妙なキャラクターになっている」と興味を煽る。 突如現れた感情剥き出しの少女・五実を演じる久野は「言葉も話せないですし、野生の狼みたいな正体不明の…話せる内容が限られていて、何言ってもダメな気がする(笑)」と戸惑いつつ「正宗と睦実が五実と出会ってどう変わるかが重要なポイント」と、物語の鍵を握る存在であることを示唆した。 榎木は「3人とも主人公みたいな、3人の成長が描かれていく作品」と説明し、上田は「皆さんのお芝居の爆発力がとんでもない!」と榎木と久野を称賛。「物語やキャラクターの成長を表現するお二人の爆発力はこの作品の見どころになるんじゃないかなって思ってます」と続けると、榎木は「上田さんも凄かったですよ!」、久野は「あんな麗奈ちゃん初めて見た!」と興奮気味に返す。さらに榎木は「人間と向き合う作品だから、アフレコの時に3人でトライアングルになって、お互いを見ながらバチバチにアフレコした。楽しかった思い出がある」と振り返る。 続いて岡田監督のメッセージが読み上げられ、岡田監督の質問にキャストが回答するコーナーへ。 五実との類似点を問われた久野は「ここ最近は自分の本能というか思いのままというか、衝動的に行動しちゃっている瞬間がある。野性味の強いキャラクターなのでそういった部分で重なるところはあるんじゃないかな?」と回答。すると榎木も久野に「野性味を感じる」と賛同し、「やっぱり飲み屋での姿が…」とアフレコ終了後の3人での初飲みで、久野がはじけていたことを暴露した。 上田は、複雑な睦実と同様に理解してもらえない習慣やクセがあるかを問われ「猫ちゃんが2匹いて、その子たちに行ってきますと挨拶してから家を出るんですけど、『もう一生会えなくなるかも…最後かもしれない…ありがとう!』と心の中で思ってからじゃないと家を出れない」と告白。「猫も困惑していると思う」と榎木はつっこむが、久野は「気持ち分かる!」と意気投合する。 オーディションテープで「正宗を見つけた!」と岡田監督に思わせた榎木。その収録に際し、どのようなディレクションをしたのかと問われ「オーディションの時もあまり作品の情報がなかったけれども、リアルにやってほしいと言われて。アニメってデフォルメすることが多くてリアルにやる現場多くないので、リアルにやっていいと太鼓判をいただいたので、『じゃぁ、自分の好きな世界観を出そう!』と。セリフ聞き取れなくてもいいやってくらいの気持ちでやったら、岡田さんにすごい褒めていただいて。『よっしゃ!受かった!』と思った(笑)」と明かした。 最新のティザービジュアルがスクリーンに投影されると、一同「かっこいい!!」と絶賛。 特報映像もわずか30秒ながら会場を引き込む。併せて岡田監督書き下ろしの原作小説が、角川文庫から6月13日(金)に発売されることも告知された。 最後に、「MAPPA初のオリジナル劇場アニメということで、岡田監督含めて、スタッフさんが命を削りながらこの作品と向き合っているので、一人でも多くの人に観てもらいたい。私も全部ぶつけてアフレコしたので、楽しみにしていただけたら」(久野)、「本当に恋っていいな、と思わせてくれる作品。大人になるにつれて恋みたいに心が激しく動くことって少なくなっていく。その中でこのキャラクターたちに触れて、こんなにも溢れて止まらないものがあるんだって、改めて恋っていいなぁって。みんなの熱量がフィルムから伝わってくる作品になっている」(上田)、「岡田監督が100%こだわり抜いた作品になっている。こんなにアフレコで疲れたのは初めて。それだけエネルギーを秘めた作品になっている。劇場で観たら見終わった後、茫然としてしまうと思う。公開を楽しみにしていただけたら」(榎木)とアピールし、大歓声の中でイベントは幕を閉じた。 〈岡田麿里監督メッセージ〉 『アリスとテレスのまぼろし工場』ですが、作品に関わってくれている多くのスタッフの情熱により、少しずつ作品の完成形が見えてきました。 この作品を作っている理由の一つに、自分が子供の頃に憧れた邦画や劇場アニメの空気を、現代の文法で作ってみたいというものがありました。抱いていた理想そのままに、どこか懐かしい、それでいてちょっと見たことがないような映像になってきていると思います。 少年たちが主人公の本作ですが、甘酸っぱい青春物とは全力で逆走している、ヒリヒリした青春を描いています。皆さんに楽しんでいただけますよう、スタッフ一同頑張ります。なにとぞよろしくお願いいたします。 Story 製鉄所の爆発事故ですべての出口を失い、時が止まってしまった町。住民はいつか元に戻れるように変化を禁じられ、鬱屈を抱えていた。そこに暮らす中学3年生の正宗は、謎めいた同級生の睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へ足を踏み入れる。すると現れたのは、喋ることのできない野生の狼のような少女だった──。日常に飽きた少年少女の〈恋する衝動〉が、世界を壊し始める。 「アリスとテレスのまぼろし工場」 原作・脚本・監督:岡田麿里 副監督:平松禎史 キャラクターデザイン:石井百合子 美術監督:東地和生 音楽:横山克 制作:MAPPA 声:榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲 配給:ワーナー・ブラザース映画、MAPPA ©新見伏製鐵保存会 公式HP https://maboroshi.movie
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“実写ジブリかよ!”〈再発見!フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅〉著名人コメント到着
2023年5月23日中央アジアが生んだ早世の天才バフティヤル・フドイナザーロフ。そのユーモラスでファンタジックな4作品「少年、機関車に乗る」(1991)「コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って」(1993)「ルナ・パパ」(1999)「海を待ちながら」(2012)を上映する特集〈再発見!フドイナザーロフ ゆかいで切ない夢の旅〉が、6月3日(土)よりユーロスペースほかで全国順次開催される。著名人コメントが到着、トークイベントが決定した。 〈コメント〉 竹中直人(俳優・映画監督) なんてチャーミングなスラップステック! どのカットも目が離せない。美しくて夢のようで、優しさに満ち溢れた映画だった! ──「ルナ・パパ」 倉持明日香(タレント) “土って美味しいのかな” 鑑賞後、ふとそんな疑問が浮かびます。 デブちんと呼ばれる弟が愛おしくてたまらないのと同時に、他の国では何と訳されているのか気になりました。 まるで一緒に旅をしているかのようなカメラワークに惹き込まれ、素朴なのに強く、荒々しいのに温かい、ロードムービーの傑作です。 ──「少年、機関車に乗る」 篠崎誠(映画監督、立教大学現代心理学部映像身体学科教授) フドイナザーロフの映画は古びるどころか歳月を経て一層スクリーンに輝いてみえた。 またいつか杯を重ねたかった。あなたの五十代、六十代の映画が見たかった。バフティヤル、美しい映画を残してくれて、ほんとうにありがとう。 鈴木卓爾(映画監督・俳優) 人と人の、人と乗り物の、温もりや匂いやハートの近さ。何にも似てないオリジナルなエンタメ!実写ジブリかよ!こんな映画をつくりたいなあと90年代の日本で切望した、フドイナザーロフ!また出会えるなんて!まだ生きててよかった! 〈トークイベントのスケジュール @ユーロスペース〉 6月3日(土)14:00回「少年、機関車に乗る」 ゲスト:篠崎誠(映画監督・立教大学現代心理学部映像身体学科教授) 6月4日(日)14:00回「ルナ・パパ」 ゲスト:奈倉有里(ロシア文学翻訳者) 6月10日(土)14:00回「海を待ちながら」 ゲスト:坂井弘紀(和光大学教授 中央ユーラシア文化史・テュルク叙事詩研究) 6月11日(日)14:00回「コシュ・バ・コシュ」 ゲスト:沼田元氣(写真家詩人) ※すべて上映後に開催。ゲスト、イベント内容は予告なく変更する場合あり [caption id="attachment_25141" align="aligncenter" width="850"] 「少年、機関車に乗る」[/caption] [caption id="attachment_25136" align="aligncenter" width="850"] 「コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って」[/caption] [caption id="attachment_25137" align="alignnone" width="850"] 「ルナ・パパ」[/caption] [caption id="attachment_25142" align="aligncenter" width="850"] 「海を待ちながら」[/caption] 主催・配給:ユーロスペース、トレノバ 宣伝:大福 公式HP:www.khudojnazarov.com ▶︎ 中央アジアの巨匠バフティヤル・フドイナザーロフ特集決定。ユーモラスでファンタジックな映画世界を再発見! -
5月21日(日)にアニメーションスタジオMAPPAのイベント〈MAPPA STAGE 2023〉が開催され、片渕須直監督と大塚学プロデューサーが登壇。片渕監督の「この世界の片隅に」「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」に続く新作のタイトルが「つるばみ色のなぎ子たち」であることが発表され、作品をめぐるトークが繰り広げられた。 [caption id="attachment_25155" align="aligncenter" width="850"] ▲片渕須直監督と大塚学プロデューサー[/caption] Q. まず挨拶をお願いいたします。 片渕 この映画は2017年に構想を始めて、既に6年になるのですが、やっと「題名」を皆さんに発表できるところまでたどり着きました。勿論、映画を作るだけではなくコントレールという会社・スタジオ自体を作って、この映画のためのスタッフを養成しながらここまで来たという年数でもあります。 大塚 MAPPAの代表兼コントレールの代表でもある大塚です。この度はMAPPAステージに足を運んでいただきありがとうございます。最後まで楽しんでください。 Q. 「コントレール」という会社を立ち上げた意図について 大塚 実は片渕監督は僕よりMAPPA歴が長いんです。片渕監督は僕が入社した時からずっと「この世界の片隅に」の映画作りを丸山(現MAPPA代表取締役会長)と一緒にやっていて、僕はテレビシリーズの方をたくさん作っていました。それが2016年の「この世界の片隅に」の公開と僕が社長をやらせて頂く、というところで交わっていきました。 その結果、MAPPAは色んな監督・クリエイター・役者・原作と色んな作品を作るスタジオですけど、片渕監督の作品作りをMAPPAの一本の“ライン”として作っていくことに「この世界の片隅に」で限界を感じました。片渕監督の作品を作る、そのためのスタジオを新たに作ろう!と2019年に始まったのがコントレールです。 ※ここでPVが上映され、ティザービジュアルとともに作品タイトル「つるばみ色のなぎ子たち」が発表される。 Q. 「つるばみ色のなぎ子たち」はどんな作品でしょうか? 片渕 平安時代の話ですけど、ご覧いただいた今のビジュアルでも分かる通り、雅やかな十二単を着ていないグレー一色です。「つるばみ」というのはクヌギのどんぐりのことです。どんぐりの上には帽子があるんですけど、その帽子を集めると黒い染料になります。黒つるばみ、というのは布を黒く染めた、つまり喪服の色のことです。 「なぎ子」というのは以前作った「マイマイ新子と千年の魔法」(09)という映画があるんですが、その映画には“千年前の少女なぎ子ちゃん”という子が出てきます。彼女と関係があるかもしれません。 もうひとつ、今回は海外にもお伝えするために英語のタイトルも作りました。「Mourning Children」、Mourningというのは朝という意味ではなく「喪に服す」という意味です。「Nagiko And the Girls Wearing Tsurubami Black」、日本語でいう「たち」は英語のタイトルでは「Girls」です。なぎ子と少女たち、そして喪に服す子どもたち。そういう色んな内容についての片鱗をちりばめました。今日はここまでに留めたいなと思います。 また、平安時代というのは、色とりどりの十二単を来て、歌を詠んでのどかに暮らしていたのではないかと思われるかと思いますが、今ご覧いただいたように喪服を常に着ていて、その喪服を脱げないような時代でもありました。つまり常に人が次々と亡くなっているから喪服が脱げない時代でした。そういうことを我々はひとつひとつ当時の時代ってこうだったんだなと解き明かして、じゃあその中にいる人たちってこんな風だったんじゃないかな、というところから物語を起こしています。 大塚 平安というと歴史の勉強をしないと見れないようなものなのかな?と僕も最初は思ったのですが、本当にとっても尖った映画。現代の物語としてもヒリヒリするようなものだなと思って非常に楽しみだと思っています。 Q. スタッフ陣についてもお聞きしたいです。 片渕 監督補の浦谷千恵さんは「マイマイ新子と千年の魔法」から「この世界の片隅に」「BLACK LAGOON」でも監督補として一緒にやってきました。 作画監督は安藤雅司さん。安藤さんはかなり昔に一度仕事したことがあったのですが、本格的にタッグを組ませていただくのは初めてです。「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」、最近出た「鹿の王ユナと約束の旅」(21)も作っていらっしゃる作画の大ベテランです。 今日のタイトルを発表する時にかかっていた印象的な曲なのですが、これは千住明さんの作曲によるものです。千住さんとは平安時代をどんな風に音楽として作るのか一緒に研究させていただいているんですけど、何よりも2000年に作った「アリーテ姫」(※劇場公開は2001年)という作品で初めて仕事させていただいて、世界を描く客観性というものが秘められている作りに、今回はまさに千住さんがぴったりだと思ってお願いしました。今まで自分が仕事させていただいて、この作品にはこういう人たちと一緒にやりたいなと思った人たちに集まっていただきました。 ※ここでコントレールのスタッフたちとの制作風景を収めた映像が流れる。 Q. 深いリサーチの上で制作されているんですね。 片渕 そうですね。最後にやっていたのは十二単を来て、歩いてきて座れるのかな?という実践をしました。初めはコスプレ衣装の十二単を着ていたのですが、本物とは全然大きさが違うので次には正しい大きさのものを取り入れてやってみたんですけども、それをするのがうちのスタッフだもので座る時にモタモタして上手くいかなかったんです。そこで狂言を演じておられる日本の古来の身のこなしを普段から行っておられる方にお越しいただいて十二単を着て座っていただいたらスっと一挙動で座られました。着慣れているというのはこういうことなんだなと思いました。 松明は棒に布が巻いてあって、その布に油が浸してあって、それが燃えるのかなというイメージがあるのですが、実際は全然油は使わないんです。中で松とか杉とかの葉っぱが燃えていて、いろんな配合でどれくらい燃えるのかなと試してみたのですが、ビックリするくらい長く燃えて驚きました。それを僕と安藤(作画監督)くんが持って歩いているフリをしている映像があったのですが、松明を持って歩く時に、どうやって火を揺らさないように歩くのかな、というところから作画に起こすということをやりました。 あと虫の培養をやっていました。平安時代に黒つるばみの服を着ているのと関係があるのですが、マラリアが流行って沢山の方が亡くなっているんです。マラリアは蚊が媒介するのですけど、蚊の幼虫はボウフラです。会社の中でボウフラを養殖して、それを観察してそこから作画を起こしました。(会場からは小さく悲鳴が起きる)めちゃくちゃ大変ですが、想像で描くのと違っていて、それを描いていたスタッフはコントレールで初めて仕事を始めた新人の方だったんですけど、そういう風に原画を描くまでに成長しました。 ひとつひとつのことは画に起こしていたら通り過ぎてしまうようになるかもしれないんですけど、以前作った「この世界の片隅に」がひとつひとつ戦争中のものを解き明かして画にしていった時に、そこに住んでいる、その中に生きていた人たちの気持ちとか人間性が分かってきました。今回も調べていく中で1000年以上前の遠い昔の平安時代に住んでいた人たちが、我々とどこが同じでどこが違うのかというのが見えてきて、その見えてきた人々の物語にしたいなと思っているわけです。 Q. 作品への意気込み 大塚 見ていただいた通り、アニメのスタジオって机に向かって画を描いているイメージが多いとは思うのですが、本当に1000年以上前に生きた人たちを研究して実践して体感して、それを画にしていくという作業を今現場の人たちはしてくれていて、その説得力はスクリーンでも伝えることができるんじゃないかなと、今からでも自信があります。ぜひ公開を楽しみにしていてください。 片渕 「絵を描く」というその前に、「何を描くのか?」というところから始めていて。それだったらこんな風に書いていくべきだなという発見から始めていってるスタジオです。そういうことをやっているからではなく、これから画面を作っていくのに大変な作業が待っているので、題名をお披露目しましたけれど、完成はまだまだ何年かかかることになる…(大塚:あんまりかかると困っちゃいます!)かからないようにしたいけど、かかってしまうことになるんです。そういう時に一緒に仕事してくださるスタッフを募集しながら、まだまだ人の層を厚くしながら作っていきたいと思います。 「コントレール」というのは飛行機雲という意味なんですけど、僕は早いものでアニメーションを始めて40年以上経って、60歳を超えてしまったのですが、そんな50代・60代のベテランと20代の若い人たちが一緒にやっていくスタジオです。僕たちは前を飛んで後ろに飛行機雲を残すけど、それを自分の糧にして成長していただいて素晴らしいアニメーション映画の作り手たちになってもらえるといいなと思って若い人たちと仕事をしています。まだまだそういう人たちと仕事をしていって、完成するまでには時間がかかりますけども「つるばみ色のなぎ子たち」をよろしくお願いいたします。 「つるばみ色のなぎ子たち」 原作・監督・脚本:片渕須直 監督補:浦谷千恵 作画監督:安藤雅司 制作:コントレール ©つるばみ色のなぎ子たち製作委員会/クロブルエ 公式ホームページ:https://tsurubami.contrail.tokyo/