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斎藤武市
41年県立深谷商業、48年早稲田大学文学部芸術科を卒業し、松竹大船撮影所助監督部に入社。映画監督を志したのは稲垣浩「無法松の一生」に深い感動を受けたためという。助監督時代は小津安二郎の「晩春」「麦秋」「お茶漬けの味」「東京物語」と、吉村公三郎につく。54年日活製作再開で同社に移籍。56年「姉さんのお嫁入り」で監督デビューした。初期はメロドラマが多く、ゾルゲ事件をメロ風に扱った「愛は降る星のかなたに」がある。59年ヒット曲「南国土佐を後にして」を映画化、爆発的に大当り。これをヒントに生まれた小林旭主演の“渡り鳥”シリーズ全九本の監督として注目を集めた。このシリーズは〈無国籍映画〉ともいわれたが、アクションと歌をコメディ・タッチで巧みに融合させ、日活アクション娯楽映画の定型を創ったといえる。一方、吉永小百合で撮った「愛と死をみつめて」で、軟骨肉腫という難病で若くして死んでゆく娘と、その恋人の青年の愛を、甘く悲しく切々と描き、大ヒットを記録。叙情的な作品でも優れた演出を見せ、一時はゼニを稼ぐ監督として名が高かった。70年以降は、フリーとなって、東映と契約。藤純子の“緋牡丹博徒”シリーズまで手掛け、達者なところを見せた。テレビ映画も多く、二時間ドラマを中心に、ヴェテランぶりを発揮している。
