『ワンハリ』をもっと楽しむために!抑えるべきムービーガイド
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『ワンハリ』をもっと楽しむために!抑えるべきムービーガイド

◎全国にて公開中

傑作か駄作かに関係なく、あまたのアメリカ映画、イタリア映画、テレビ番組に平等な愛とリスペクトが惜しみなく注がれている『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。それらの作品すべてをここに網羅することはとても不可能だが、「せめてこれだけは 『ワンス』鑑賞前に観ておきたい」というものをできる限り紹介していこう。

1969年とシャロン・テート

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の舞台となっているのは1969年のハリウッド。アメリカン・ニューシネマの代表作の一本である『イージー・ライダー』はこの年の7月 14 日にアメリカで公開され、センセーションを巻き起こした。そしてチャールズ・マンソンの命を受けた“ファミリー”のメンバーたちが、いわゆる「シャロン・テート事件」を起こしたのが8月9日のこと。“昔々のハリウッド”を永遠に変えることとなってしまった 69 年の夏の雰囲気に浸るためにも『イージー・ライダー』はチェックしておきたい。

当時、シャロン・テートの夫であった映画監督ロマン・ポランスキーが飛ぶ鳥落とす勢いだったことは劇中でも言及されるが、彼を一気にスター監督の地位にまで引き上げたのがホラーの傑作『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)。そしてその前年の監督(主演)作『吸血鬼』にテートが出演した縁で二人は結婚した。テート出演作品では『ワンス~』劇中で大きくフィーチャーされているディーン・マーティン主演のおふざけスパイ・アクション、『サイレンサー 破壊部隊』(1968年)も必見。

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ガッツリと見ておきたい『大脱走

マンソン・ファミリーに関しては、現在のところ映像作品が入手しにくいのだが、 Netflix で配信されているドキュメンタリー「犯罪者と狂気の火種」(2018年)の第三話「カルトリーダー」でマンソンとファミリーの足跡をチェックできる。ちなみに、シャロン・テートの最後の日々を大胆な解釈を交えて描く『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』も、日本では『ワンス~』と同時公開となる。

大脱走』(1963年)をガッツリと見ておきたいのはダミアン・ルイス扮するスティーヴ・マックイーンが『ワンス~』に一場面登場するから、というだけでなく、啞然とするような別の理由があるのだが、それは書かぬが花。だけどもう少し待てば『午前十時の映画祭 10 』のおかげでスクリーンで観られるからなあ。

バート・レイノルズ


レオナルド・ディカプリオ演じる下り坂のスター、リックと、彼の親友/スタントマンのクリフ(ブラッド・ピット)が物語の中心となる『ワンス~』。ディカプリオのキャラクターは実在の何人ものスターたちを組み合わせたものだが、直接的なモデルはバート・レイノルズだろう。実際レイノルズは『ワンス~』に出演するはずだったが、18 年 9 月に急逝したためかなわなかったのである。

リックが悪役として出演せざるを得なくなるTVシリーズの監督をしているのが、『ゴリラ』(1986年)ほかで知られる俳優で、監督としても活躍していたサム・ワナメイカー(ニコラス・ハモンド演)。ワナメイカーはレイノルズ主演のTVシリーズ『夜間捜査官ホーク』(1966年)を数エピソード監督しているのだ。

劇中でリックはセルジオ・コルブッチ監督のスパゲティ・ウエスタンに出演するために渡欧するが、レイノルズが主演したコルブッチ監督作『さすらいのガンマン』(1966年)を見ておけば当時の雰囲気がよりビビッドに感じられるだろう。

ピットは生前のレイノルズから話を聞いた際、大スターだったレイノルズと彼のスタントマンだったハル・ニーダムの友に感銘を受けたという。名コンビであるレイノルズニーダム(監督)がタッグを組んだ作品としては『トランザム7000』(1977年)が最もよく知られているが、ここはあえてスタントマンの哀愁を描いたハリウッドの内幕もの『グレート・スタントマン』(1978年)をチョイスしたい。

文:鬼塚大輔/制作:キネマ旬報社

記事の続きは『キネマ旬報』9月上旬号に掲載。後半では『ワンス・アポン・ア・タイム』3部作や『11人のカウボーイ』など『ワンハリ』がもっと楽しくなる作品が多数登場。今号では「タランティーノ、“聖林(ハリウッド)の闇”をぶっ飛ばす!」という『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の巻頭特集をおこなった。レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットクエンティン・タランティーノ[監督・脚本]への取材記事はじめ、海野弘、畑名佳樹、吉田広明、鬼塚大輔らの寄稿記事を掲載している。(敬称略)

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