地上最強の男、アーノルド・シュワルツェネッガー!他を寄せ付けない圧倒的な存在感を振り返る

地上最強の男、アーノルド・シュワルツェネッガー!他を寄せ付けない圧倒的な存在感を振り返る

地上最強の男、アーノルド・シュワルツェネッガー!他を寄せ付けない圧倒的な存在感を振り返る

アーノルド・シュワルツェネッガー演じる最強の元軍人がたった一人で敵軍を壊滅させてしまう『コマンドー』

来る7月30日、75歳の誕生日を迎えるアーノルド・シュワルツェネッガー。2019年の『ターミネーター : ニュー・フェイト』以来、主演映画はご無沙汰で寂しい限りだが、そろそろ世界中の度肝を抜くような最新作を引っさげて帰ってきてくれると信じて待ちたい。待っているだけもなんなので、その間にシュワルツェネッガーの名作の数々を振り返っておこう。

最強の男を演じてもまったく違和感のない鍛え上げられた肉体美!

俳優シュワルツェネッガーの名を突如世界に知らしめたのが、実質的な第一回主演作『コナン・ザ・グレート』(1982年)。「実質的な」と書いたのは1970年には低予算のコメディ『SF超人ヘラクレス』で立派に主役を張っているからだ。これはこれで愛すべき作品なのだが、本人としてもオーストリア訛りのセリフをすべて他人に吹き替えられた同作よりは、10余年後の超大作のほうを真の主演デビューと考えているはずだ。

幼い頃に両親を殺された剣士の復讐の旅を描くファンタジー『コナン・ザ・グレート』

ここで古代の英雄コナンに扮したシュワルツェネッガーは全編にわたって半裸で大暴れ、ボディビルの世界で何度もチャンピオンに輝いた途轍もない肉体をこれでもかと見せつける。2時間17分の作品は監督ジョン・ミリアスの真剣な語り口と相まって、実にクラシックな重厚さに満ち満ちている。

コナンたちが偉大なる力を秘めた魔神の角を求めて旅に出る『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』

その後、1984年には『ターミネーター』で未来から来た殺人マシーンに扮し、映画史上に残る悪役ぶりを見せつけたシュワルツェネッガー。同作がその後、一大フランチャイズとなったことはご存知の通りだが、本人がこちらと『コナン』を除いてはシリーズ作品に主演していないのも特徴的ではある。実は常に新しいことにチャレンジしたいほうなのだ。

とはいえ、たとえば『コマンドー』(1985年)の続きがついに作られなかったことはどうにも惜しいと言わざるを得ない。悪党たちに攫われた一人娘を追う主人公ジョン・メイトリックス。行く手を阻む様々な問題を概ね暴力で解決。最終的には単身で敵地に突撃して暴れたい放題、壊したい放題の大活躍を見せる。何度観ても心の底からスッキリする、実に爽やかな名作である。

本作と同じように80年代を象徴するアクション巨編『トップガン』(1986年)が、最近では『トップガン マーヴェリック』(2022年)として見事に現代に蘇っている。同じ方法論で、そろそろ『コマンドー :メイトリックス』が作られてもよいのではないだろうか。

元FBI捜査官の男が暗黒街に潜入する『アーノルド・シュワルツェネッガー/ゴリラ』

同時期の作品では、田舎の保安官がシカゴの暗黒街に潜入し、最終的にはこれを一人で壊滅させる『アーノルド・シュワルツェネッガー/ゴリラ』(1986年)もお薦めしておきたい。なかなか忘れられがちな映画ではあるし、本人的にもやる気満々で臨んだわけではないらしい(この時期シュワルツェネッガーは後述する『トータル・リコール』への主演を熱望したが、大プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスに即刻却下され、代わりに押し付けられた本作に渋々出たという)。

それでもスターの有無を言わさぬ暴力性と可愛げが全編で楽しめる小品だ。何しろタイトルが素晴らしい。おそらくライバルのシルヴェスター・スタローンが同年『コブラ』に主演したことを受け、「Raw Deal(ひどい仕打ち)」との原題が本邦では『ゴリラ』に改められた。そんな馬鹿な!と思うが、しかし、「シュワルツェネッガー主演『ゴリラ』」と口にしただけでつい気持ちが温かくなってしまう。邦題も込みで大切にしていきたい映画である。

『プレデター』『トータル・リコール』に出演した黄金期と俳優復帰した2010年代

1991年の『ターミネーター2』が興行・批評の両面で超特大の成功を収めたことで、シュワルツェネッガーはその俳優キャリアの頂点を極めたと言える。年齢や性別を超え、あらゆるオーディエンスからの支持を集めた同作は当然ぐうの音も出ない傑作だが、実のところ俳優本人の黄金時代は『ターミネーター2』直前の80年代末~90年にあったのではないかと考えている。

異星人よりもシュワルツェネッガーの方が強そうな『プレデター』

この時期を代表する映画の一つが1987年の『プレデター』だ。宇宙から飛来したハンター異星人プレデターに、ジャングルの奥深くで命を狙われるシュワルツェネッガー。自ら率いる最強コマンドー部隊の面々は次々に倒され、ついにはプレデターと裸一貫、一対一の死闘を演じることになる。ここでのシュワルツェネッガーは持ち前の可愛げを最低限に抑え、人類最強の男をクールに演じている。翌88年には『ダイ・ハード』で天才の名をほしいままにする監督ジョン・マクティアナンの手腕も冴え渡る、実にソリッドなアクション作品だ。

黄金時代からもう一つ、『ターミネーター2』直前の『トータル・リコール』(1990年)も必見。鬼才ポール・ヴァーホーヴェンとがっぷり四つに組んだ同作は、両者にとってキャリア最大の予算が投じられた超弩級の大作だった。

偽の記憶を植え付けられていた男が本当の自分を取り戻すために火星へ向かう『トータル・リコール』

身に覚えのない記憶に悩まされ、自分自身のアイデンティティの謎を追って遠く火星に旅立つ主人公。幾重にも謎が仕掛けられた、どこへ向かうのかわからない物語を、異常な勢いの肉弾アクションが彩る。幾度も映像化が試みられ、そのたびに頓挫してきたフィリップ・K・ディックによる短編小説「追憶売ります」を監督主演の最強コンビは極限まで膨らませ、人間の実存にさえ迫るSF巨編に仕立て上げた。

オランダからハリウッドに殴り込み、『ロボコップ』(1987年)で勇名を馳せたヴァーホーヴェンはシュワルツェネッガーという暴力装置を手に入れ、全編に息をもつかせぬバイオレンスの花を咲かせる。またシュワルツェネッガーも、自らタッグを熱望したという監督の期待を超えるべく、かつてない勢いで全力の演技を見せている。2人が再度合体することはついになかった、その事実が今でも惜しい。そんな奇跡のような映画である。

凄腕の諜報員が妻の浮気調査をしているうちに核武装したテロリストとの戦いに巻き込まれる『トゥルーライズ』

これらの作品を経て頂点を極めた後も、シュワルツェネッガーは『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)、『トゥルーライズ』(1994年)などの大作に主演。『ターミネーター3』(2003年)をもって一旦俳優業を引退し、カリフォルニア州知事に転身するが、2013年に主演作『ラストスタンド』で映画界への本格復帰を果たした。

メキシコ国境に隣接する田舎町の保安官が国外逃亡を図る麻薬王に立ち向かう『ラストスタンド』

以降は、往年のアクションスターが集結したヒット作「エクスペンダブルズ」シリーズ3本(2010~14年)にも出演すると、同作に続いてスタローンと共演した『大脱出』(2013年)、デヴィッド・エアー監督のハード・アクション『サボタージュ』(2014年)など、精力的に仕事をしている。

飛行機同士の衝突事故で妻と娘を失った男が、真相究明に執念を燃やすサスペンス『アフターマス』

復帰後はホラードラマ『マギー』(2015年)やサスペンス『アフターマス』(2017年)といった非アクション作品で新たな魅力を見せる機会もあった。まだまだ俳優としての引き出しがあるはずで、それだけに新作の情報が聞こえてこない現状がなんとも歯痒い。三たびの復活を祈願しつつ、今は過去作の復習に専念したい(と、また『コマンドー』の再生ボタンを押す)。

文=てらさわホーク (スカパー!「映画の空」コラム連載:ヒーロー大図鑑より転載)

 

てらさわホーク:ライター。著書に「シュワルツェネッガー主義」(洋泉社)、「マーベル映画究極批評 アベンジャーズはいかにして世界を征服したのか?」(イースト・プレス)、共著に「ヨシキ×ホークのファッキン・ムービー・トーク!」(イースト・プレス)など。ライブラリーをふと見れば、なんだかんだアクション映画が8割を占める。

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<放送情報>

チャンネル:WOWOWプラス
コナン・ザ・グレート
放送日時:2022年7月2日(土)10:00~、27日(水)21:00~

コナン・ザ・グレート [吹替補完版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)14:30~

コマンドー
放送日時:2022年7月2日(土)16:30~、30日(土)21:00~

コマンドー [吹替版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)10:15~

ターミネーター3
放送日時:2022年7月2日(土)23:00~

ターミネーター3 [吹替版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)19:00~

ターミネーター4
放送日時:2022年7月3日(日)1:00~

ターミネーター4 [吹替版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)21:00~

トゥルーライズ
放送日時:2022年7月2日(土)18:30~、30日(土)22:45~

トゥルーライズ [吹替版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)12:00~

プレデター
放送日時:2022年7月2日(土)14:30~、30日(土)19:00~

プレデター [吹替版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)8:15~

ラストスタンド
放送日時:2022年7月2日(土)21:00~、11日(月)23:05~

キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2
放送日時:2022年7月2日(土)12:30~、27日(水)23:20~

キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2 [吹替版]
放送日時:2022年7月18日(月・祝)17:00~

チャンネル:ムービープラス
アーノルド・シュワルツェネッガー/ゴリラ
放送日時:2022年7月29日(金)23:15~、30日(土)14:30~

大脱出
放送日時:2022年7月10日(日)6:15~、21日(木)1:15~

(吹)大脱出
放送日時:2022年7月14日(木)13:30~

トータル・リコール 4Kデジタルリマスター
放送日時:2022年7月23日(土)17:00~、29日(金)18:45~

チャンネル:WOWOWシネマ
トータル・リコール
放送日時:2022年7月13日(水)8:00~

チャンネル:ザ・シネマ
アフターマス [PG12]
放送日時:2022年7月5日(火)21:00~、21日(木)17:00~

エクスペンダブルズ [R15+]
放送日時:2022年7月9日(土)17:00~、15日(金)17:00~

(吹)エクスペンダブルズ[R15+]
放送日時:2022年7月30日(土)14:30~

エクスペンダブルズ2[PG12]
放送日時:2022年7月9日(土)19:00~、15日(金)19:00~

(吹)エクスペンダブルズ2[PG12]
放送日時:2022年7月30日(土)16:30~

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
放送日時:2022年7月9日(土)21:00~、15日(金)21:00~

(吹)エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
放送日時:2022年7月15日(金)12:30~、30日(土)18:30~

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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