17〜18歳の少女3人の “たった3度の金曜日” に焦点を当てて “運命の恋” と “性の冒険” を描き、2022年サンダンス映画祭ワールドシネマドラマ部門観客賞を受賞、さらに2023年アカデミー賞国際長編映画賞部門フィンランド代表に選ばれた「ガール・ピクチャー」が、4月7日(金)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国順次公開。場面写真1点が到着した。
最初の金曜日。クールでシニカルなミンミ(アーム・ミロノフ)と素直でキュートなロンコ(エレオノーラ・カウハネン)は同じ学校に通う親友だ。放課後はスムージースタンドでアルバイトしながら、恋愛やセックス、そして自分の将来についての不安や期待にまつわるおしゃべりを楽しんでいる。そんな中、「男の人と一緒にいても何も感じない自分はみんなと違うのでは?」と悩み続けていたロンコは、理想の相手との出会いを求めて果敢にパーティーへ繰り出す。一方、ロンコの付き添いでパーティーにやってきたミンミは、大事な試合を前に、プレッシャーに押しつぶされそうなフィギュアスケーターのエマ(リンネア・レイノ)と急接近する──。
少女たちは自身のセクシュアリティや恋愛指向にあえて名前を与えていないが、ヘテロセクシュアル(異性愛)やシスジェンダー(割り当てられた性別と性自認が一致している人)を前提とせず、それぞれに異なる恋愛指向があることを当たり前として物語は進む。同性同士で深い関係になるミンミとエマも、アセクシュアル(他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かないセクシュアリティ)の可能性があることに悩むロンコも、果敢に自身を追求し、感情やセクシュアリティについて語ることを恐れない。
感情的な部分はあっても心優しいミンミを演じるのは、12歳から俳優業をスタートし、「エデン」(ウラ・へイッキラ監督/2020)で初主演を務めた2000年生まれのアーム・ミロノフ。静かなたくましさを持つロンコ役は、俳優、ダンサー、シンガーであり、これが長編映画デビューとなるエレオノーラ・カウハネン。フィギュアスケートに青春を注いできたエマ役は、ドラマや映画で活躍中のリンネア・レイノ。
製作したのは、ノーベル平和賞を受賞した社会運動家のジェーン・アダムズにちなんで名づけられたシチズン・ジェーン・プロダクション。そして監督は、自分の声を見出していく女性作家を描いた「Love and Fury」(16)で長編映画デビューしたアッリ・ハーパサロだ。彼女は日本公開にあたり「『ガール・ピクチャー』は、女性としての一歩を踏み出し始めた3人の少女の、ごくわずかな時期を切り取ったものです。ティーンエイジャーの生活はとても豊かで一瞬一瞬が大切。ごく短い期間であったとしても、本人たちにとっては全宇宙をも包み込むほど大きなことなのです」とコメントを寄せている。
“あるべき自分” を思い描いてはつまずいて誰かと寄り添い、新しい金曜日を過ごすたびに、ジェットコースターのようにアップダウンしながら自由を獲得する方法を学んでいく──そんなリアルでまっすぐな “ガール・フッド=少女時代” のポートレイトというべき青春物語。11月19日(土)より開催される〈フィンランド映画祭2022〉で一足早く特別上映されることも決定した。期待して待ちたい。
「ガール・ピクチャー」
監督:アッリ・ハーパサロ 脚本:イロナ・アハティ、ダニエラ・ハクリネン
出演:アーム・ミロノフ、エレオノーラ・カウハネン、リンネア・レイノ
2022年/フィンランド/100分/カラー/スタンダード/5.1ch/原題:Tytöt tytot tytöt/PG12/日本語字幕:松永昌子
配給:アンプラグド
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