琉球王朝から約300年間受け継がれる沖縄の伝統的歌舞劇〈組踊(くみおどり)〉を初めて劇場映画化した「シネマ組踊 孝行の巻」が、1月28日(土)より渋谷ユーロスペースほかで公開。メインビジュアル、予告、スチール、著名人コメントが到着した。
沖縄が本土に復帰した50年前に国の重要無形文化財に指定され、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録された〈組踊〉の魅力を、「アンを探して」で知られる沖縄出身・在住の宮平貴子監督が余すところなく捉えた本作。2022年沖縄国際映画祭にワールドプレミア特別招待され、 映文連アワード2022で優秀企画賞を受賞した。
映画が取り上げた〈孝行の巻〉は、組踊創始者・玉城朝薫の五番のひとつ。別れの悲しみを描く「静」と獰猛な大蛇が火を吹く「動」との対比が観る者を魅了する。冒頭の案内人・宮城さつきによる歴史・見どころ紹介と本編の字幕により、初めて組踊に触れる人も予備知識なしで楽しめる。
メインビジュアルには、家族を守るため生贄になると決意した姉と、愛惜を抱えた弟を、音楽とセリフの融合で表現した感動シーンが据えられた。
著名人の称賛コメントとともに紡がれる予告編からは、〈組踊〉の色褪せない力強さが窺える。
照屋年之(映画監督/ガレッジセール・ゴリ)、Cocco(シンガーソングライター)、宮本亞門(演出家)ら著名人コメントは以下。
組踊の良さが分からなかった。
「喋り」は法事のお経みたいで眠いし、「顔」は無表情で塩対応だし、「歩く」スピードはC3POぐらい遅いし…。
この映画が観方を変えた!飽きさせないカメラワーク。様式美を魅せる全体の画。
役者の感情では表情に寄り、客と心情を共感させる。丁寧な字幕付きで物語の世界にどんどん入り込む。琉球王朝時代、「組踊」が最先端のエンタメなのだと実感する。
「食わず嫌い」は良くなかった。
食べてわかる「人を楽しませる気持ち」は過去も現在も変わらない。
──照屋年之(映画監督/ガレッジセール・ゴリ)
微かに憶えのある組踊の音やリズムは沖縄の海や空や花の色を想わせた。
置き去りにしてきた何かがあるとして、まだ遅くはない。そう感じた。
ひっそりと、脈々と、堂々と褪せることのない鮮やかな文化に今、触れることが叶う。
──Cocco(シンガーソングライター)
組踊は、伝統で、スローで、難しい、という考えを根底からひっくり返される。
物語後半に訪れる劇的空間における劇的瞬間を目撃していただきたい
──中江裕司(映画監督)
なんと美しい!
「シネマ組踊孝行の巻」を観た。切なくも余りの素晴らしい演者による組踊と、その魅力を余すところなく収めた宮平監督の映像の完成度に、一瞬も目を離すことなく釘付けになりました。300年前この組踊を創作した玉城朝薫氏に心から震え、本土の能とはまた違う繊細で人間味漂う洗練された沖縄伝統の世界に心酔しました。
これからも組踊の真髄を伝え続けてください。
──宮本亞門(演出家)
沖縄を代表する伝統芸能「組踊」を映像化する試みは永年なされてきた。
しかし殆どが舞台を再現する、いわゆる記録的な作品ばかりではなかっただろうか。本作はその額縁の世界から一歩踏み出し、組踊の三要素である唱え、音楽、踊り、そのそれぞれの観せどころを適確かつ立体的に拾うという斬新な手法で録られている。生の舞台では気づかない組踊の新たな魅力を体感したのは私だけであろうか。
本作が新たなる琉球芸能の発信に一石を投じた作品であることは間違いない。
──玉城満(タレント・国立劇場おきなわ常務理事)
幼い頃、父に手を引かれ、“組踊”と出会いました。客席から見ていた景色、稽古場で見ていた姿。
「シネマ組踊」は、その瞬間を最大限に伝えてくれると感じました。客席からは見られない表情や、指先、衣装の細部まで。立方からすると一瞬も気の抜けない緊張感が、こちらまで伝わる様です。
それを可能にした、全スタッフ、出演者の皆様の力。これが、沖縄の芸能の未来を示していました。
「孝行の巻」は、外連味溢れる仕掛けや、かと思えば心情を表現する繊細さ。
単純明快なお話と、初めて組踊を観るという方でも楽しめる作品だと思います。
やはり「舞台」なので、劇場でお客様と一緒に空間を創ってこそ、芸能が生きる事だと思います。
そこには感動、心を動かすエネルギーがあり、約300年もの間、残ってきたのだと感じました。
同じく僕もこの作品を見て確かに心が動きました。
それは、この作品に対する沢山の人の想いが詰まっている証なのだと思います。
少しでも多くの方に観て頂き、沖縄の芸能を、一緒に繋いで行きたいです。
──佐久本宝(俳優)
組踊が、こんなにも美しくクレイジーでファンタジックだったとは。
ぶっ飛んだ物語の展開、紅型幕を背景に王朝時代の装いが凛と映えてクール。
感情的で細やかな所作と悲哀を帯びた特徴的な唄の旋律、とくに間も絶妙で見事に息の合った奏者の呼吸に、鳥肌がたった。
──ji ma ma(シンガーソングライター)
Story
田畑を荒らす大蛇を鎮めるため、王府は生贄を募った。貧しい姉弟は、家族のために自ら犠牲になろうと決める。 生贄の儀式の日、大蛇が娘を飲み込もうとする瞬間……。
「シネマ組踊 孝行の巻」
出演:(立方)宇座仁一、田口博章、金城真次、佐辺良和、嘉数道彦、伊藝武士、嘉数幸雅、高井賢太郎、砂川博仁、平田智之、下地心一郎、高江洲一平
(地謡)仲村逸夫、棚原健太、徳田泰樹、池間北斗、澤井毎里子、森田夏子、宮里和希
(案内人)宮城さつき
監督:宮平貴子 製作:一般社団法人ステージサポート沖縄 プロデューサー:大野順美、横澤匡広
撮影監督:砂川達則 録音:佐藤祐美 組踊指導:眞境名正憲
制作:株式会社エコーズ 配給:株式会社ククルビジョン、ミカタ・エンタテインメント 宣伝:MAP
2022年/日本/77分/カラー/HD
公式HP:https://kukuruvision.com/cinema_kumiodori_koko/