「ナポレオン(1927/1981年修復版)」のストーリー

〈第一部〉フランスのブリエンヌ兵学校では、折しも雪合戦が行なわれていた。激しい雪の弾丸が交わされるその中で、勇敢に皆の指揮をとり、率先して敵陣へ攻め込む少年がいた。これがナポレオン・ボナパルト(ウラジミール・ルーデンコ)。彼はどこか変わったところのある少年で、いつも仲間からつまはじきにされていた。唯一の友は彼の飼っている鷲で、それは、あたかも彼の未来を暗示するような雄々しさを備えた鳥だった。時は経ち、一七八九年。パリで始まったフランス革命はヨーロッパ中に嵐を巻き起こし、国民議会はモンターニュ派のロベスピエール(E・ヴァン・ダエル)、ダントン(アレクサンドル・クービッキー)、マラー(アントナン・アルトー)がリードしていた。そして、国歌「ラ・マルセイエーズ」が誕生。その頃、青年ナポレオン(アルベール・デュードネ)は、複雑な政治情勢で動揺する故郷コルシカへ帰ったが、コルシカ独立をとなえる彼を快く思わない反対派の反撃を避けるため、肉親との再会も束の間、暴風雨の海に小舟を出して脱出する。無事、フランス本土に着いたナポレオンに、トゥーロン要塞派遣の命が下された。自ら希望し連隊長となったナポレオンは、見事、イギリス軍からトゥーロン港を奪回。時に一七九三年、ナポレオンは26歳になっていた。 〈第二部〉ナポレオンがトゥーロンから帰還した頃、パリは恐怖政治がピークを迎えていた。マラーは暗殺され、ダントンもギロチンの犠牲となっていた。ナポレオンもロベスピエールたちの命に反した科で、短期間投獄された。しかし、テルミドール(一七九四年七月)の反動で、ロベスピエール、サン・ジュスト(アベル・ガンス)らは断頭台へ送られ、恐怖政治の時代は去った。そして十月(ヴァンデミール)。王党派の武力攻撃に対して、国民公会の指導者バラスはナポレオンに鎮圧を命じ、彼はそれをなしとげ、内部軍司令官の位置につく。恐怖政治の去ったあとのパリでは、連夜、華やかな舞踏会が開かれ、ナポレオンは以前出会い心魅かれていたジョゼフィーヌ(ジナ・マネス)に再会。たちまち恋に落ちたナポレオンの熱烈な求愛を、彼女も受け入れ、二人は結ばれた。一七九六年、イタリア遠征軍司令官に任命されたナポレオンは、パリを発つ前に、休会中の議会堂を訪れる。その彼の前に、今は亡き革命の指導者たちの幻があらわれ、ナポレオンは彼らの意志を推しすすめ、革命をまっとうさせることこそ自分の使命であることを確認する。やがて、アルプスに向ったナポレオンは、飢え疲れた兵士たちに勝利の夢を語り、精神を鼓舞し、イタリアヘの進軍を開始させた。