「コンフィデンス 信頼」のストーリー

第二次大戦も終局に近づいたある冬の日。ナチス統治下のハンガリーの首都ブダペストに暮らす平凡な主婦カタリン(イルディコ・バンシャーギィ)は、家路に急ぐ途中、見知らぬ男に腕をつかまれた。彼は、カタリンに彼女の夫が地下運動に参加していたこと、そして当局の追求を逃れるために身を隠したことを告げ彼女にもどこかに隠れるように言う。男に言われるままにセント病院の外科医を訪ねたカタリンは、そこでヤノシュという男の妻として身を隠すように言われる。指定された番地の家に向かった彼女は、そこで彼女の夫となる男に会った。ビロ・ヤノシュ(ペーター・アンドライ)は、家主にカタリンを妻として紹介し、今後の生活について、細かい注意を与えた。家主は親切な老夫婦だが息子の婚約者はナチスだ。少しの油断も許されない緊迫した日常がその日から始まった。彼女は夫や五歳になる娘のことが気にかかった。ビロ・ヤノシュと名乗る男のことは、何一つわからないままに寝泊りを共にする不安。カタリンは毎日のようにうなされた。だが、二人だけの日々が過ぎていくうちに、カタリンの中に変化が生じてきた。彼が少しずつ心をうちあけるようになったある夜、カタリンは、彼ヘの愛を感じ自ら身をゆだねた。せきをきったように情熱がこみあげる二人。男と女は何もかも忘れて愛し合った。翌朝、目ざめたカタリンは、他人ではなくなったその男の寝顔を見つめながら、夫や子供のことは忘れていた。しかし、男の方は、この女に深入りしすぎては危険だ、自分以外は誰も信じてはいけないという不信感に揺れていた。戦局は悪化していた。市民の心は猜疑心にあふれ、平気で他人を売った。そんな中でさらに二人は自分自身をさらけ出していった。愛し合った恋人に密告された過去をもつ男。彼は妻から手紙をうけ取り、妻が自分の不貞を感じとっていることを知って驚いた。一方、カタリンは、久しぶりに隠れ家で夫と再会し抱かれた。彼女のそれまでの苦悩を少しも理解しようとしない夫にエゴを感じつつ帰宅した。お互いそれぞれの立場に苦悩しながら愛情は強くなっていった。そして、連合軍のブダぺスト総攻撃が始まった。戦争が終結し男は「待っていてくれ」という言葉を残して去っていった。新しい身分証明書を申請する彼女は、途中、やりきれなくなって家に帰った。家には夫が待っていた。思わず夫を抱きしめ涙を流すカタリン。そのころ、身分証明書申請の行列の中でカタリンの架空の名、“ヤノシュ夫人”の名を呼び探すヤノシュの姿があった。