「七つの大罪」のストーリー

祭りの見世物。聖書に説く七大罪をあらわした人形に、お客達か球をぶつけけて遊んでいる。球をくばってまわる香具師の若者(ジェラール・フィリップ)の呼声よろしく、先ず命中して倒れた人形は「欲ばりと怒りんぼう」--。 〔第一話・欲ばりと怒り〕貧乏なクラリネット教授ゼルミニ(エドゥアルド・デ・フィリッポ)は、因業家主アルヴァロ(パオロ・ストッパ)から二ヶ月の家賃一万五千リラを払えと強談判されたあと偶然家主の十万リラ入りの財布を拾った。それを見ていた青年を巧みにごまかしつつ持主の処へ返しに出かけると、強欲なアルヴァロは謝礼もせずに財布を取戻した。処かこの時アルヴァロは細君(イザ・ミランダ)に美容院代をせがまれて夫婦喧嘩の最中。彼女の首からちぎれ飛んだ真珠の一粒がゼルミニの靴に入ってしまったとは気付かなかった。ヒステリィを起した細君は、怒りにまかせて夫の手提金庫を街にぶちまけてしまい、ひとり帰るゼルミニは自分の靴の中に家賃にあまる宝をみつけ出したという次第。 〔第二話・怠けもの〕今や天国では地上から送られて来る死人の激増にすっかり音をあげている。これは地上に文明が発達しすぎた結果、戦争やあわただしい日常生活であまりにも性急に人のいのちがスリ減らされるためだと、怠惰の女神(ジャクリーヌ・プレシス)を下界へ降すことになったが、効果は誠にテキ面、地上では誰一人マトモに働こうとはしなくなってしまった。火事にも消防夫は出ず、まち街にはバナナの皮が散り、あらゆる工場はサボタージュという有様に、主(しゅ)は改めて行政官聖ピエール(ノエル・ノエル)を地上に派遣、怠惰の行き過ぎを是正させて、やっと秩序を取戻した。地球はもと通りの繁栄にかえることだろう。 〔第三話・色好み〕祭りの日、村の司祭は十三歳になる宿屋の娘シャンタル(フランセント・ヴェルニヤ)から妊娠したと聞かされた。相手は宿屋に泊る美男画家ラヴィラ(フランク・ヴィラール)だという。司祭は驚いて娘の母ブラン夫人(ヴィヴィアーヌ・ロマンス)に知らせた。夫人が画家ともども問いつめたところ、娘は画家のすわった椅子にすわったので妊娠したと信じ込んだことが判った。その夜、問題の椅子をみつめたラヴィラとブラン夫人の気持は妖しく動き、--そしてその部屋で鳴りつづけるレコードが一つ溝を循環しはじめたのを真先に聞きつけたのはシャンタルであった。彼女は堂々と二人の部屋に入って、あわてて飛起きた母と男を尻目にレコードを止め、唇を噛みしめたまま夜の闇の中へ消え去った。 〔第四話・ねたみ〕イタリア人画家オリヴィエ(オルフェオ・タンブリ)はフランス女カミュ(アンドレ・ドバール)と新婚三ヶ月、そして彼は昔から真白な牝猫サラを寵愛していた。ひたすら夫の愛を独占したい若妻カミュはこの猫が嫌いだった。この猫がつねに二人の仲をみつめ、夫の愛も猫の方に傾きすぎると思われたからである。或日、夫の留守中、彼を想いつつ精魂こめて作りあげようとした料理の肉を、彼女はサラに盗まれた。ついで夫の絵に助言してすげなく拒まれた時、内攻していた彼女の嫉妬は爆発した。彼女はカッとして猫をテラスに追いつめ、猫は遥か下の街に落ちた。運よく瀕死のサラを拾って帰って来た夫は、はじめて妻の恐ろしいねたみを知った。二人の間には決定的な破局があるだけだった。 〔第五話・大喰らい〕ブリッジの席上、食いしんぼうの男爵夫人をみたアンリ(アンリ・ヴィダル)は、祖父アントナンの話をしてきかせた。--アントナン(アンリ・ヴィダル)は田舎医者だったが、或夜人里はなれた野原で自動車が故障し、一軒の農家に宿を求めた。百姓夫婦(ジャン・リシャールとクローディーヌ・デュピュイ)は快く彼を迎え、自製のチーズを御馳走してくれたが、そのうまさは類のないものであった。さて寝る段になって、三人はたった一つのベッドに妻君を真中にして横になったが、夫はすぐさま大いびきをかき出す。さあどうぞとアントナンを促す女房の誘いに、好機至れりとアントナンは戸棚のチーズに突進した。 〔第六話・見えっぱリ〕名門の誇りを持ちながらも、パリエール夫人(フランソワーズ・ロゼー)とその娘アンヌ・マリイ(ミシェル・モルガン)は今や人目を忍んで公園の薪木を拾うほどの落ぶれ方だった。或日街で会った旧友から舞踏会に招待すると言われた時には、まだ社交界から見捨てられてはいないと思い込むことも出来たが、しかし正式の招待状はついにやって来なかった。アンヌ・マリイは自尊心を傷けられながらも一張羅の服を着て出席した。パーティの席上、一婦人が指輪をなくしたと騒ぎ出した。浮かれた客達は面白半分に参会者の身体検査をはじめたが、頑として許さなかったのはアンヌ・マリイであった。全員の眼が異様な皮肉でこの招かれざる客に集中した時、アンヌ・マリイは自分のハンド・バッグを投げ出して一人席を蹴った。開けてみると、中から転がり出したのは母へ土産に食卓からかすめたサンドウィッチやケーキであった。主催者の謝罪をよそに、アンヌ・マリイは堂々たる威厳をもって邸を去った。 〔第7話・第八の罪〕深夜、いかがわしい造りの家に、カーディナルと水兵がタクシーで乗りつける。地下室へはいると、そこには裸の黒人、中国人、極度に背曲りな小人、売春婦、ストリップ・ティザアが曰くありげにたむろしている。彼らは何をする人達なのだろう? --実は画家(ジェラール・フィリップ)が「七つの大罪」のポスターを描くモデル達なのである。