「純情社員」のストーリー

林君の勤める東京電器の久原社長はアメリカ視察から帰ると、社内でレディス・ファーストを唱え、総ては女性第一としたので取つぎもお茶汲みも男性の仕事となり、大恐慌を来した。そこへ杉野京子が林の隣席へ転任して来たが、彼女は女らしく優しいので林は大喜びだった。彼は国の母に毎月送金をするので、昼の食事も粗末な手弁当である。所が京子も弁当を持って来て、おかずを彼に毎日わけてくれる。二人はすっかり仲良くなったが、女性社員の間から京子さんの林君に対する態度は、折角向上した女性の地位を下落させるものだと反対が起った。こうして進行中の二人の恋愛は行きづまってしまった。この頃久原社長は前社長のお妾おきぬが路傍の靴みがきをしているのを発見し庶務課長井本と計って彼女を世話してやろうとするが、彼女は男性の玩弄物となる事をキッパリと拒否し、社長の女性尊重がいい加減なものである事を笑った。井本はバアのマダム柳子と遠出の約束をしたが、妻が急病でそれどころではなく、却って妻の有難さを知った。こうして女尊男卑の社風は、一挙にして改まり、男女同権こそ大切であるという事になり、林君と京子さんの仲も再び近づいた。

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