「ジャズ娘誕生」のストーリー

大島の椿油売り娘、河井みどりは唄が得意。油を売りに廻っているとき、高校生の加藤義彦に妹のヒデ子と弟のデブチンと三人一緒の写真をとって貰う。売れ行きが悪くお芳達がガッカリしている処へユニバーサルバンド一行が通り合わせる。歌手の南条春夫に、歌が下手だから売れないだろうとひやかされ、娘達は合唱を始めるが音痴のお芳のためにくるってしまう。しかしみどりの歌声にはバンドの連中も思わず聞き惚れる。バンド一行は町へ演奏に行ったがさっぱりの所へみどりが現われ、浪曲をうなって大喝采をうける。彼女はバンド入りをすすめられ一行と旅に出ることになった。一方義彦のとった写真をみた父の丸の内劇場支配人の豊はハッと驚く。その頃都会の小さな劇場に出てバンドはみどりの唄がうけて連日大入り、花形だった春夫は彼女を妬んでか反目し合っているが、心の中ではお互いに好きらしい。加藤支配人は漸くみどりをみつけ、花村マネージャーは丸の内劇場出演を快諾したがヒデ子とデブチンの大食いに呆れ三人を追出した格好になる。支配人や東峰おじさん達は必死にみどりを探すが見当がつかずにいる処へ義彦から彼女がいたとの電話があり、漸くゴタゴタは解決する。バンドは丸の内劇場めざして猛練習を続けた。そして晴れの当日、楽屋で新聞記者達に騒がれて東峰が実の父であることが判り、みどりは憤がいして劇場を出て行く。しかし彼女とて父と呼びたい。そして彼女の後を追ってきた義彦の説得に出演する決心をする。舞台で春夫と仲好く唄うみどりの明るい表情。娘の晴舞台をみる東峰の目に涙が浮んでいる。華やかなショウは倖せをのせてやがて最高潮に--。