「不都合な真実」のストーリー

地球温暖化によって起こる様々な諸問題。その数々の問題に胸を痛め、問題提起をするべく立ち上がった元アメリカ副大統領アル・ゴア。世界各国で積極的に行われるゴアのスライド公演は、問題に対する真摯な姿勢とユーモラスな語り口で、多くの共感を呼んでいく。公演でゴアは、北極が40年間で40%縮小したこと、温暖化の影響で数百万に及ぶ渡り鳥が絶滅の危機に瀕していること、環境破壊による難民の増加が懸念されることなどを、数多くのデータやフィルムを使いながら聴衆に投げかけていく。そこから、目前に迫った地球の危機に対しても、その問題を直視しない政治家や政府を批判すると共に、私たちひとりひとりの環境への取り組みや姿勢を説く。車の排気ガスを減らす、水力や風力に代表される自然発電エネルギーを積極的に取り入れる、などの基本的なことから、「給湯装置を断熱布で覆う」、「地元の農産物直売所(ファーマーズ・マーケット)を支援する」など、生活に密着した日常生活レベルでの改善を努力していく重要性をも訴えかける。さらに、ゴア自身のエピソードも織り交ぜて語られる。ゴアが環境問題に政治家として長年携わるようになったのは、彼の息子が6歳のときに交通事故に合い生死の境をさまよったという経験によるということ、自分の声とスライド公演で環境問題を訴えていくことにしたその決意は、2000年に行われたアメリカ大統領選挙の敗北が関わっている……など、ゴアという人そのものがいかにしてその運動に突き進むことにしたのかも作中で描かれていく。すべての人類にとっての課題である環境問題を、地球の未来を信じるがゆえに、ゴアは今日もまた訴え続けていく。