「ふるさとをください」のストーリー

大学院を卒業した片倉千草(大路恵美)は故郷に戻って県庁に就職する。小売店を営み、地域の世話役として活躍する父の雄二郎(ベンガル)、母の邦子(烏丸せつこ)、高校生でサッカー好きの弟健太と四人家族で暮らしていた。ある日、町に障害のある人たちが集団で引っ越して来て、クリーニングとパン製造の共同作業所を始める。これに警戒心を抱いた町の人々は、雄二郎を先頭に反対運動を開始。そんな折、千草は共同作業所の若い職員、内藤明彦(春口宏彰)と知り合い、彼の案内で作業所を訪れる。そこで目にした障害のある人たちの働く姿に千草は共感。彼らを応援しようとするが、反対運動を進める雄二郎と対立してしまう。明彦に頼まれた千草も協力して開催された共同作業所の住民への説明会。その席上、町会役員が「何か事件が起きたら誰が責任を取る? あんたはここの住民ではない。何か起きたら逃げるんだろう」と作業所の所長(藤田弓子)に詰め寄る。これに対する所長の回答は、「逃げません。住民票をこの町に移しました」だった。所長の決意を知り、住民たちもひとまず矛を収める。だが、そこへ反対派の一部による妨害が入り、大混乱になってしまう。力を落とす千草とそれを励ます明彦。二人の間に恋心が芽生え始める。一方、作業所では一組のカップルが生まれていた。精神病院での長い入院生活から抜け出し、将来を夢見る二人。しかし、結婚には双方の親たちが大反対。明彦は彼らに幸せな結婚式を迎えさせたいと願う。話を聞いた千草も、二人の生きる意欲に感動し、明彦と共に懸命に応援する。そんな中、千草との交際の許しを得るため片倉家を訪ねた明彦は、雄二郎から剣もほろろの扱いを受け、父と娘の対立は決定的となる。そして、作業所の二人の結婚式当日。しかしそれは同時に反対派の集会の日でもあった。雄二郎は集会に、そして千草は結婚式に、それぞれ出かけてゆくが……。