解説
「嘆きのテレーズ」のマルセル・カルネが、パリの下町を背景として人生の哀歓を描いている。「その顔をかせ」のジャック・ヴィオの原案からカルネと「ボルジア家の毒薬」のジャック・シギュールが共同脚色し、台詞はシギュールが担当した。撮影は「女性の敵」のロジェ・ユベール、音楽は「ブラコ」のモーリス・ティリエ。主な出演者は、「その顔をかせ」のジャン・ギャバン、「天井桟敷の人々」のアルレッティ、「泥棒成金」のローラン・ルザッフル、「女の宝」-未輸入-のマリー・ダエムス、「フレンチ・カンカン」のジャン・パレデスなど。なおこの作品では、タイトルに先立ち、イヴ・モンタンによって、シャンソン“パリのバラード”が唄われる。
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「われら巴里ッ子」のストーリー
保線工夫アンドレ(ローラン・ルザッフル)は仕業中目の前に、偶然とまった汽車の一等車の窓に社交界の女コリーヌ(マリー・ダエムス)を見た。やがて走り出した汽車を見送ったアンドレはコリーヌのいた窓の下で、小さな手首形の金の飾り物を拾った。同じ汽車でブランシュ夫人(アルレッティ)もパリに帰って来た。ブランシュの夫ヴィクトル(ジャン・ギャバン)は拳闘クラブを開いていた。手塩にかけた若い選手が死んだので病院に行ったヴィクトルはそこで、死んだ選手の友人アンドレに会った。ヴィクトルの進めでアンドレはクラブに入ることになった。貧乏なアンドレを食料品店の手伝いに世話してやったり、自分の家に引きとったりして、拳闘選手に仕上げようとする夫の態度をブランシュは快く思わなかった。朝早く市場へ買出しに行った帰り、アンドレは偶然コリーヌに会った。二人はお互いに好意を感じあった。中央スポーツクラブで、晴れの正式試合をすることになったアンドレはその前夜、ブランシュがヴィクトルに毒づいているのをきいて悄然としたが、試合場にコリーヌの来ているのを知って勇気百倍し勝利を得た。試合が終ってアンドレはコリーヌのアパートを訪ね、二人は結ばれた。恋の虜となったアンドレは練習にも身が入らなかった。ヴィクトルは拳闘にかけた自分の夢を彼に話してきかせ、一方コリーヌはアンドレに社交界を泳ぐ女に仕立てられた自分の過去を話した。彼女には純粋な愛だけで幸福が得られないことがよく判っていた。二人だけの愛の生活を夢みたアンドレは、ひそかにヴィクトルに別れをつげてコリーヌのアパートに行くと、アンドレの幸福を願った彼女は、行先も告げずに出発していた。がっかりしたアンドレをヴィクトルはやさしくなぐさめた。彼はアンドレの持つ例の飾り物をセーヌ河に投げて「お前には未来があるだけだ」というのだった。
「われら巴里ッ子」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「われら巴里ッ子」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | フランス |
製作年 | 1955 |
公開年月日 | 1956年1月14日 |
製作会社 | コロナ・フィルム |
配給 | 東和 |
レイティング | |
カラー/サイズ | モノクロ |
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