悲情城市
ひじょうじょうし A City of Sadness
解説
'45年から'49年までの台湾の激動の4年間を背景に、ある一家のたどる変遷を描くドラマ。監督は「恋恋風塵」の侯孝賢、脚本は呉念眞と朱天文、撮影は陳懐恩が担当。出演は梁朝偉、辛樹芬、陳松勇ほか。
ユーザーレビュー
「悲情城市」のストーリー
'45年8月15日、台湾が51年にわたる日本統治から解放された日、田寮港の林家の長男文雄(陳松勇)の妾宅で男児が誕生した。船問屋である林家の主は75歳の阿祿(李天祿)。次男は軍医として南洋に、三男は通訳として上海に、日本軍に徴用されて帰ってこない。耳が聞こえず話せない四男の文清(梁朝偉)は、郊外で写真館を開いていた。文清は、写真館に同居している教師の呉寛榮(呉義芳)の妹で、看護婦として病院に働きに来た寛美(辛樹芬)を迎えに出る。寛榮は、小川校長(長谷川太郎)の娘で、台湾生まれの静子(中村育代)と秘かに愛しあっていたが、日本人は故国に帰らねばならなくなった。そして静子は、寛美に寛榮への思いを託して台湾を去っていった。ある日、精神錯乱状態の中で生還してきた三男の文良(高捷)のもとに、文雄の妾妻の兄である阿嘉(張嘉年)が、上海ボス(雷鳴)を連れてやって来て、阿片の密輸をそそのかすが、やがてそれは文雄にばれることとなり、彼の幼なじみの阿城(林照雄)との間の争いに発展してしまう。この事件は、一応決着をみせるが、ある冬の日、何者かの密告によって、漢奸の疑いで、文良が逮捕されてしまう。意を決した文雄は、阿嘉を連れて上海ボスと対面し、文良を釈放してやってほしいと頼み込むが、文良はおびただしい血を吐いて帰宅してきた。'47年2月27日、台北でヤミ煙草をめぐって本省人と外省人が争う〈二・二八事件〉が起きる。寛榮と文清は、臨時戒厳令がしかれた台北へ向うが、文清が無事帰宅した数日後、寛榮が足を折って戻ってきた。台湾省行政長官として赴任している国民党の陳儀将軍は、弾圧を命じ、やがて文清が逮捕された。口がきけずに釈放された文清は、次々と処刑された仲間の遺品を遺族に届ける旅に出、ある山奥でゲリラとなって身を潜める寛榮と再会した。その頃文雄は、入りびたっていた賭博場で阿嘉の喧嘩に巻き込まれ、上海ボスの拳銃に命を落とした。その数日後、文清と寛美の結婚式が行われ、やがてふたりの間に男の子が生まれた。そんなある日、山からの使者が、軍隊が山に踏み込み、寛榮たちが銃殺されたことを伝え、文清にも逃げるように言うが、彼らには行く場所はなかった。文清が最後の家族写真を撮ってから数日後、文清は静かに逮捕され、消息を絶った。'49年12月、大陸で敗北した国民政府が台湾に渡り、台北を臨時首都に定めるのだった。
「悲情城市」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「悲情城市」のスペック
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