解説
アルジェリア独立戦争が最終局面を迎えた60年代初頭のフランス南西部を舞台に、大学入学資格試験を目前に控え、性に目覚めて人生の転機を迎える四人の少年少女を描く。監督は「私の好きな季節」のアンドレ・テシネ。製作はこの前作を含めテシネ作品のほとんどを手掛けるアラン・サルドと、ジョルジュ・ベナユーン。脚本は監督とジル・トーラン、オリヴィエ・マサール。撮影は「私の好きな季節」の第二班カメラを経て本作がデビューとなるジャンヌ・ラポワリー、美術はピエール・スーラ、編集は「私の好きな季節」ほかのマルティーヌ・ジオルダノ、録音も同作のジャン・ポール・ミュジェルがそれぞれ担当。主演の4人は無名の新人だけを配し、短編映画の監督でもあるゲール・モレル、そのガールフレンドに「スタン・ザ・フラッシャー」「タンゴ」のエロディ・ブシェーズ、ステファーヌ・リドー、舞台出身のフレデリック・ゴルニー。共演は「私の好きな季節」ほかテシネ作品の常連ミシェル・モレッティと「深夜カフェのピエール」の脚本も手がけたジャック・ノロ。95年セザール賞で作品・監督・脚色・新人女優賞を獲得。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
セザール賞で作品賞、監督賞、脚本賞を取っているし、助演女優賞、有望若手男優賞、有望若手女優賞もノミネートされたのでフランス国内では評価されたのでしょう。冒頭の結婚式のシーン、新郎の軍服がずいぶん古いなあと思ったら、時代背景がアルジェリア戦争(1954年~1962年)の頃なんだ。(アルジェリア戦争前日譚は「アルジェの戦い」を参照)
でも、画面からその時代感が伝わってこない。宣伝文句的には、あの時代の、友情、恋、同性愛、そして別れを描いた甘くほろ苦い青春映画といったところか。
とにかく時代感が伝わってこない。いくら映画の中でアルジェリアのことや、フランス共産党のことなど出してきても、画面の雰囲気に時代感を感じない。第二次世界大戦から10~15年後だから建物なんかももっと古いと思うんだけど、きれいなんだよなあ。でもフランス人が観たら当時の時代感をかんじるのかな。
映画の中でジャック・ドゥミの「ローラ」の看板が出てくるのは思わずニコリ。
「野性の葦」のストーリー
62年の初夏、大学入学資格試験を控えたフランソワ(ゲール・モレル)とマイテ(エロディ・ブシェー)は、フランソワの同級生セルジュ(ステファーヌ・リドー)の兄ピエロ(エリック・クレイケンマイエール)の結婚式に出席した。兵隊のピエロはマイテの母で共産党員の教師アルヴァレズ(ミシェール・モレッティ)に兵役忌避の相談をするが断られる。夜の寄宿学校、セルジュはフランソワの部屋を訪ね、二人は友達になって互いの得意科目で協力を約束、セルジュはおかげでいい点を取る。夜、二人はふざけてじゃれあううちに愛撫を交わす。フランソワはマイテと「鏡の中にあるが如く」を見るが落ちつかず、男相手の性体験を告白する。彼はセルジュと同室でアルジェリア帰りのアンリ (フレデリック・ゴルニー) にも魅かれる。アンリの父は戦争で爆死していた。セルジュの兄ピエロが戦死した。セルジュが葬儀の場を離れ、フランソワはマイテに彼を慰めに行けと言う。セルジュは河で泳ぎ、マイテに欲望を感じていると言うが、彼女は笑うだけだ。セルジュは兄を殺したのと同じ入植者のアンリに我慢ができず、一悶着の末フランソワと部屋を替える。アルヴァレズはピエロの死への自責の念から精神衰弱で入院した。代任教師モレリ(ピエール・ノロ)はアルジェリア帰りで、アンリに入学資格試験を受けるよう説得、補習授業をしてやる。フランソワはセルジュを気分転換にと言って街に連れだす。入植者側の指導者が処刑され、アンリは学校を飛びだし、深夜の街で共産党のポスターを燃やす。党事務所にも放火するつもりだったが、そこで戸惑いながらも迎えてくれたマイテに心を動かされた。入学資格試験の午後、三人は発表を待つあいだ川に泳ぎにいく。途中でまだ町にいたアンリも同行する。フランソワはセルジュと裸で水遊びに興じ、また抱いて欲しいと言うが、彼は忘れようという。マイテは川岸でアンリの肉体を受け入れる。彼は彼女の言う通り旅立つ。マイテは大声でフランソワを呼ぶ。三人は試験発表のために町に帰っていく。
「野性の葦」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「野性の葦」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 戦争 |
製作国 | フランス |
製作年 | 1994 |
公開年月日 | 1995年7月22日 |
上映時間 | 114分 |
製作会社 | IMAフィルム=レ・フィルム・アラン・サルド |
配給 | フランス映画社 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
音量 | ドルビー |
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