「キングダム(1994)」のストーリー
〈第一章〉デンマークの首都、コペンハーゲン。かつて洗濯池であった土地にそびえ立つは巨大病院キングダム。スウェーデンから左遷されてきたと噂の医師スティグ・ヘルマー(エルンスト・フーゴ・イエアゴー)は傲顔不遜な初老の男でいつも不機嫌、若く血気盛んな医師クロウスホイとは特に仲が悪い。その日の朝は入院マニアの老女、ドルッセ夫人(キルステン・ロルフェス)に対する処置をめぐって衝突した。院長メースゴー博士は優柔不断、怒れるクロウスホイの味方は女医のユディット(ブリジッテ・ラアブイェルグ)だけだ。さて、実は降霊術も趣味のドルッセ夫人はエレヴェーターで謎の少女の声を聞く。彼女は病院の雑役夫の息子の助けを借りて霊の正体を捜し求める。院長の息子モッゲ(ペーター・マイジンド)はガンの標本を集めている病理学者ボンド(バアド・オーヴェ)の講義を受けてはいるが、頭はセクシーな看護婦カミーラで一杯。彼女にすげなくふられると、腹いせに死体置き場から切り取ってきた首を調達。しかし彼女を脅す目的をはたせず、その首をロッカーに隠して置くがそれはいつの間にか消えていた。一方、ドルッセ夫人は友人モルゲンセン夫人の臨終に立会い、件の少女の霊の情報を得る。病院では、麻酔アレルギーの患者に対し催眠術による手術がおこなわれる。患者は昏睡時に少女の霊と会う。ユディットはクロウスホイの地下室の隠し部屋に招待される。実は便利屋の彼は、病院の不要品交換役もしており、例のモッゲの生首もそこにあった。その頃、ドルッセ夫人はようやく少女の霊に迫っていた。エレヴェーターシャフトの上から見下ろす彼女の名前はマリー。病院創設者オーエ・クルーガー博士(ウド・キア)と関係があるらしい。病院をめぐる怪奇現象の謎を説く鍵はどうやらここにあるようだ。 〈第二章〉ドルッセ夫人は古い救急車を目撃する。車のガラスを叩くのはあの少女の血に濡れた手だ。彼女は少女マリーの死亡報告書を探しに行く。そこで彼女が診たのはホルマリンづけになったマリーの姿だった。ドルッセ夫人は彼女を密かに葬ってやるが、マリーはまだこの世に未練があるらしい。マリーはクルーガー博士が愛人に生ませた娘で、虐待のあげく無残にも毒殺されたのだった。ユディットにクロスホイは恋を打ち明けられるが、彼女は別の男の子供を妊娠中だった。クロスホイはユディットが一瞬幽霊のように消えていく姿を見て、めまいを覚える。彼はユディットを守ろうと、中絶を提案する。ユディットの子供は異常に成長が早かったのだ。ユディットはマリーの幽霊に出会う。マリーはその子供を産んではいけないと警告して消える。ドルッセ夫人は病院をさまようマリーをあの世へ送り届けてやろうと、悪魔払いを始める。一方、ヘルマーは愛人を置いて、人間をゾンビにするという薬がハイチにあることを知って、ハイチに飛んだ。そんな折り、<すがすがしい朝の治療>という、この病院が推進している運動を厚生大臣が視察に来る。平身低頭で案内役をつとめた院長だったが、彼らがそこで見たのは悪魔払い中のドルッセ夫人や、勤務時間中、例の看護婦カミーラと寝ているモッゲであった。ユディットは中絶の手術台に向かうが、突如異変が。彼女の窒を押し破らんばかりに顔を出したのは、何とあのクルーガー博士だったのだ……。