やさしいにっぽん人

やさしいにっぽんじん
上映日
1971年3月5日

製作国
日本

制作年
1971
上映時間
112分

レーティング
一般映画
ジャンル
ドラマ

check解説

昭和二十年、沖縄慶良間列島渡嘉敷島の集団自決を生きのびた赤ん坊であり、今は何もそのことを記憶していないという暗示的な運命を持つ「シャカ」と呼ばれる青年と、その恋人や友人たちの、真の「ことば」を求めての魂の遍歴の記録として、映画は展開される。脚本は「沖縄列島」の東陽一と前田勝弘、監督も同作の東陽一。撮影も同作の池田伝一がそれぞれ担当。
映画館で観る
配信で観る
Blu-ray&DVDで観る
  • 【DVD】やさしいにっぽん人

  • 【DVD】東陽一 BOX 2

TVで観る

ユーザーレビュー

「やさしいにっぽん人」のストーリー

深い霧の様に閉ざされた情況の中を疾走するには、あまりにノロすぎるオートバイで虐殺の島、渡嘉敷からそのヘソの緒を後生大事にひきずりゆく男シャカ。故郷に言葉を置き去りにしてきた謝花治は、すでに国家や他者を切り裂く言葉を持たない。引用野郎と呼ばれながらも、ひたすら他人の言葉をしゃべり続け彼の奥深く、何かが沈殿してゆく。ジュラルミンの楯の不気味な程鋭角的響きと、軍靴の音が肌に伝わる日本列島の中で、彼の仲間達はアモルフな情念に全てを託す。ヒタヒタと気味悪く、しかも確実に押し寄せるみえざるものの前に、言葉は、映像はからめ取られた自由に過ぎないのか。堺は、言葉を機関銃のようにぶっぱなし、それを〈暴力〉にまで昇華させようと夢みる。小西はひたすら沈黙の言葉を拾う。もはや悲劇としては何も語り得ない。突然シャカをぶんなぐる警官達。殺人には必ず理由をつけたし、自分を納得させる人々。悲劇のないのが現代なのかもしれない。あるのは真剣な冗談。人々はそこにふとやさしさと闘いを見ることがある。ただそれだけだ。シャカはどうしようもなくダメな奴なのか、それとも彼こそが情況を、その奥深いところで切り裂く武器を磨ぎ冴ましているのか。とにかくシャカは出発する。どこへともなく。

「やさしいにっぽん人」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「やさしいにっぽん人」のスペック

基本情報
ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1971
公開年月日 1971年3月5日
上映時間 112分
製作会社 東プロ
配給 その他
レイティング 一般映画
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ/スタンダード

関連するキネマ旬報の記事

関連記事一覧
1971年2月下旬号 特別グラビア 「やさしいにっぽん人」と東陽一
旬報試写室 やさしいにっぽん人
1971年3月上旬号 日本映画紹介 やさしいにっぽん人人
1972年2月上旬決算特別号 特別グラビア 日本映画ベスト・テン 儀式/沈黙/婉という女/戦争と人間・第2部/いのちぼうにふろう/真剣勝負/やさしいにっぽん人/男はつらいよ・寅次郎恋歌/書を捨てよ町へ出よう