「バイバイ、ママ」のストーリー
完全な放任主義で育てられたエミリー(キラ・セジウィック)。自分のことなど目もくれない両親から絶えず孤立感を味わい育ったエミリーは、夫はいらない、ただ自分を愛し、自分からも深い愛情で包んであげられる自分の子供を何としても手に入れたい、と考えていた。この願いを果たすため、優れた“種”を探し続け、ついに息子のポールが誕生する。エミリーは惜しみない愛情を注ぎ、外部との接触を絶って育児に専念する。その甲斐あってか、ポール(ドミニク・スコット・ケイ)は利発で想像力豊かな子供に育つ。エミリーにとって、ポールが世界の中心であり、二人で過ごす時間だけが人生の全てだった。しかし成長するにつれポールは同じ年頃の子供たちと遊ぶことを望み、周囲の住民もポールをいつ学校へやるつもりなのかと質問してくる。二人だけの生活を守りたいエミリーは、ポールを連れて逃げるように田舎のコテージへと向かった。だが好奇心旺盛なポールは、そこで出会った地質学者マーク(マット・ディロン)と仲良くなり、エミリーの手から離れて行動するようになる。エミリーは学校に行かせるよりはここの方がマシだと考え、マークを誘惑して利用しようとするが、彼女の思惑を知ったポールの強い抵抗にあって結局町に帰ることを余儀なくされる。小学校へ通うことになり、以前より活き活きとし始めたポール。しかし、画一的な教育が子供の個性や才能の芽を潰してしまうと信じるエミリーは何かにつけしばしば学校からポールを連れ出すが、ポールは嫌がり、学校は子離れに問題を抱える母親の典型だと決め付ける。二人の間に生じた溝がどんどん広がっていくことに心を痛め、そして彼女はある決断を下す。