解説
1945年の8月から翌46年にかけて、昭和天皇が連合軍への降伏を受け入れ、人間宣言に至るまでの心の移ろいを描く異色の伝記ドラマ。監督は「エルミタージュ幻想」のアレクサンドル・ソクーロフ。歴史上の人物を描くという構想の全4部作のうち、ヒトラーの「モレク神」、レーニンの「牡牛座 レーニンの肖像」(日本未公開)に続く第3作目。主演は「トニー滝谷」のイッセー尾形。
ユーザーレビュー
「太陽(2005)」のストーリー
1945年8月。疎開した皇后や皇太子たちと離れ、地下の待避壕での生活を送る昭和天皇(イッセー尾形)。御前会議で、陸軍大臣(六平直政)は本土決戦を提唱するが、天皇は明治天皇の歌を詠み、降伏する用意があることを示唆する。迷路のような待避壕の中で袋小路にあたりながら、研究室で平家カニの研究をするときだけ、天皇の心は安らぐ。想念は次第にこの戦争の原因へと移り、天皇は東京大空襲の悪夢を見る。夢の中でアメリカ軍のB29爆撃機は巨大な魚で、焼夷弾ではなく大量の小魚を産み落とし、東京を焦土にする。苦悶のうめき声をあげながら目を覚ます天皇は、皇太子宛ての手紙を書く。アルバムを取り出して自分と皇后(桃井かおり)の写真、皇后に抱かれた小さな皇太子に口付けする。そこへ動揺した侍従がやって来て、天皇は黒いフロックコートと黒い帽子に着替える。占領軍最高司令官であるダグラス・マッカーサー(ロバート・ドーソン)との会見が行われるのだ。悲惨な焼け野原、荒んだ人々の間を走り抜け、天皇を乗せた米軍の車はアメリカ大使公邸へ到着する。天皇はマッカーサーに、連合軍のどのような決定も受け入れる準備があると告げ、会見は短時間で終わった。マッカーサーからハーシーズのチョコレートを送られ、従軍カメラマンの写真撮影に応じ、「チャップリンそっくりだ」と大喜びするカメラマンの視線にさらされながら、撮影される天皇。マッカーサーとの二度目の会談はディナーをとりながら行われ、その晩、天皇はひとり思い悩む。疎開先から戻ってきた皇后に、天皇は「人間宣言」をすることを決意したと告げる。宣言の後、玉音放送を放送した人間が自害したと聞き、打ちひしがれる天皇。皇后はその手を握り、家族の待つ部屋へ天皇を連れて行く。
「太陽(2005)」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「太陽(2005)」のスペック
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