「歴史は女で作られる デジタル・リマスター完全復元版」のストーリー
十九世紀のパリ--ロラ・モンテス(マルティーヌ・キャロル)は、美しい少女だった。母親の恋人ジェームズ(イヴァン・デニ)はロラへの恋情に耐えがたく、ある日、ロラを誘って駈け落ちした。母と離れ、愛情もない男の情婦となったロラの生活は長く続かず彼女は逃れて文なしのまま、自由の世界へと飛び出した。こうしてロラの男から男への遍歴が始まった。彼女は不幸を招く女と言われて、華やかな醜聞の旋風を捲き起しつつ、全欧を歩き廻った。リスト(ウィル・キャドフリーグ)もロラを愛した一人だった。彼は彼女の為にいくつかの歌を作曲したが、やがてロラから去って行った。ロラはロシアに行き湯水の様に金を使ったので、ドイツに現われた時は無一文に近かった。そこで、ロラはババリア王ルイ一世(アントン・ウォルブルック)に近づき、誘惑しようと決心した。ロラの計画は見事成功し王はロラの魅力の虜になった。ロラは心の美しい王を心から愛し、貞淑な妻のように仕えたが、反対者たちは彼女の追放を叫び、革命まで勃発した。ロラは彼女に想いを寄せる学生(オスカー・ヴェルナー)に助けられ、宮殿から脱出した。彼は二人で新らしい人生へ出直そうとロラを説き、ロラもこの学生となら静かな汚れない人生を送れると思ったが、青年の将来を考えて諦らめた。ロラは旅のサーカスに身を投じた。ブランコの芸を演じるロラの姿を、かつて世界中に醜聞をまいた女として、ニュー・オルリンズの男たちは見守った。調馬師(ピーター・ユスティノフ)の口上がひびく。ロラにはもう欲望も野心もなかった。ブランコ台のロラは、うつろな声で“ありがとう”とつぶやいていたが、その口もとには微笑さえ浮んでいた。