「ジョーカーゲーム(2012)」のストーリー
赤沢千夏(北原里英)は県立の進学校に通う高校3年生。今日から3年生全員が参加して、合宿が行われる予定だった。その合宿初日、担任の先生から、クラス全員で“ババヌキ”を行なうことが発表される。各自10枚のカードを持ち、交換の方法は各自の自由。制限時間内であれば、校舎内の移動も自由。但し決められた時間には教室に戻っていなければならない。カード交換により、手持ちにペアができたら教師に提出することができる。カードを全部教師に提出するか、“契約システム”を使って他人にカードを引き取ってもらうことができればクリア。カードの中には1枚だけジョーカーが含まれており、最後までジョーカーを持っている者が負け。以上がゲームのルールだった。担任からカードが配られ、クラスのあちこちで、のんびりとババヌキが始まる。ジョーカーを手にしていた千夏は、なかなか手元から出て行かないことに苦心するが、クラスメイトはそれぞれに相手を変え、嬌声を上げながらゲームは進んでゆく。やがて、ようやくジョーカーが下川ちひろ(吉田まどか)の手に渡り、千夏が安堵しているとそのままゲームが終了。担任が“下川さんに決まりました”とどこかに報告すると、いきなり武装した大人たちが乱入して下川を取り押さえる。何かの注射を打たれ、すぐにグッタリして泡を吹き出す下川。その様子に、パニックを起こす生徒たち。下川はそのまま連れて行かれてしまった……。震えが止まらない千夏、それを平然と見送る担任。この“ババヌキ”は、日本児童のIQ低下を憂えた政府が施行した“義務教育延長法”の下、“人間力”を高める為に導入するゲームの実験だったのだ。そして、そのテストに選ばれたのがこのクラスの30人。死の合宿は、こうして幕を開けた。突然、降りかかった不条理な運命に翻弄される少年少女たち。生まれて初めて生きることと向き合った彼らは、何を選択してゆくのか……。