「愛さえあれば」のストーリー
イーダ(トリーネ・ディアホルム)は娘のアストリッド(モリー・ブリキスト・エゲリンド)の結婚式を間近に控え、自身の乳がん治療に一区切りをつけることができた。乳房を再建しないかと女医に勧められたが、夫はありのままの自分を愛してくれるから、と断る。しかし帰宅すると、夫・ライフ(キム・ボドニア)の浮気現場に遭遇してしまう。2年半にも渡る仲らしい。ライフは、イーダが病気になり悲しかったと言い残し、家を出ていく。アストリッドと相手のパトリック(セバスチャン・イェセン)はパトリックの父が所有するイタリア南部の街・ソレントの別荘で式を挙げるため、一人旅に慣れていないながらもイーダは式の4日前にイタリアへ向け出発。コペンハーゲン空港の駐車場で他の車とぶつかってしまい、相手の車から怒りながら降りてきたのは、なんとパトリックの父親フィリップ(ピアース・ブロスナン)だった。挙式3日前になると、両家の親族らが別荘に到着。そんな中、ライフは浮気相手のティルデ(クリスティアーネ・シャウムブルグ=ミューラー)とともにやってきた。アストリッドが憤る一方、イーダは娘の前では怒りをあらわにできないでいた。深く傷ついたイーダが服もかつらも脱ぎ海で泳いでいたところ、沖に流されまいか心配したフィリップが駆けつけ、自分の服を彼女にかける。それをきっかけに二人の距離は縮まり、一緒にレモンの果樹園や街のカフェへ行くうちに二人の間に穏やかで優しい空気が流れだす。フィリップは妻エリザベットを亡くし、仕事に没頭するうちに息子ともぎくしゃくしていた。挙式前日、戦地に赴いていたアストリッドの弟ケネト(ミッキー・スキール・ハンセン)も別荘に到着。その夜のパーティで、アストリッドが嫌がるにも関わらずライフが無理矢理一緒に踊ろうとしているのを見たケネトは、ライフに殴りかかる。ケネトを追って庭に出るイーダに、フィリップは優しい言葉をかける。一方アストリッドは、結婚式の準備を手伝う地元の青年アレッサンドロと親密にダンスをしていた。その様子を見て怒るパトリックだが、アストリッドが彼はゲイであると告げると、パトリックの中で何かがはじけ飛び、アレッサンドロと激しくキスを交わす。夜が明けるまで海岸でケネトと話していたイーダが部屋に戻ると、アストリッドがベッドに横たわっており、パトリックが結婚をやめたがっていると意気消沈していた。会場となる庭にアストリッドとパトリックはなんとか出てきたが、アストリッドは花束を投げ捨て、嘘はもうたくさん、結婚しないと言う。イタリアから帰国してしばらく後、外出していたイーダが帰宅すると、家中にバラが飾られていた。よりを戻してほしいというライフの言葉に、うなずくイーダ。その数日後、イーダの勤める美容院にフィリップが現れる。事業を縮小しイタリアに戻ることにしたフィリップは、イーダに思いを告げる。動揺したイーダは、もう悩みたくないと答えてしまうが……。