解説
長らく黒澤明に師事し「雨あがる」「博士の愛した数式」などを手がけた小泉堯史監督が、第146回直木賞を受賞した葉室麟の同名小説を映画化。無実の罪で10年後に切腹、その間藩史を編さんするよう言い渡された男と監視役についた男との心の交流や家族愛を描いた時代劇。藩の秘密を握り切腹という過酷な運命を背負いながらも一日一日を大切に生き藩史の編さんに向き合う男を「十三人の男」「Shall we ダンス?」の役所広司が、彼の清廉な人柄に魅了され成長していく監視役を「永遠の0」「天地明察」の岡田准一が演じる。ほか、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの堀北真希、「ぼくたちの家族」の原田美枝子らが出演。
この作品のレビュー
「蜩ノ記」のストーリー
郡奉行だった戸田秋谷(役所広司)は藩主の側室との不義密通および小姓を斬り捨てたことにより10年後の切腹とそれまでの間に藩の歴史である藩主・三浦家の家譜を編さんし完成させるよう命じられる。それから7年後、刃傷沙汰を起こしてしまったものの家老・中根兵右衛門の温情により切腹を免れた檀野庄三郎(岡田准一)は、幽閉中の秋谷の監視役を命じられる。監視の内容は、藩の秘め事を知る秋谷が7年前の事件を家譜にどう書くか報告し、秋谷が逃亡のそぶりを見せた場合には妻子ともども始末するというものだった。はじめは秋谷のことを懐疑的に思う庄三郎だったが、編さん途中の三浦家譜と『蜩ノ記』と名づけられた秋谷の日記には、前藩主の言葉を守り事実のまま書き留め、切腹が迫りつつも編さんに誠実に向き合い一日一日を大切に生きる彼の姿があり、感銘を受ける。そして7年前に一体何が起きたのか、事の真相を追ううちに、彼の人間性に魅せられていく。秋谷に深い愛情と信頼を寄せる妻・織江(原田美枝子)や心の清らかな娘・薫(堀北真希)らとともに暮らす中で、いつしか庄三郎と薫との間に恋が芽生えていた。やがて庄三郎は不義密通事件の真相に辿り着き、事件の謎を解く文書を入手するが、そこには藩を揺るがすようなことが記されていた……。
「蜩ノ記」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「蜩ノ記」のスペック
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
2015年5月上旬号 | HAPPY TIME 見たいものひとりじめ! 『蜩ノ記』 |
2014年11月下旬号 | 日本映画時評 第309回 映画に流れる時間と登場人物の生身 |
2014年10月下旬号 |
REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評 「蜩ノ記」 UPCOMING 新作紹介 「蜩ノ記」 |
増刊キネマ旬報SPECIAL 秋の増刊号 |
総力特集「蜩ノ記」 対談 小泉堯史[監督]×野上照代 総力特集「蜩ノ記」 小泉堯史監督の作品 雨あがる/阿弥陀堂だより/博士の愛した数式/明日への遺言 総力特集「蜩ノ記」 撮影ルポ 小泉組ノ記 総力特集「蜩ノ記」 インタビュー 井川比佐志、小泉堯史を語る 総力特集「蜩ノ記」 「蜩ノ記」に寄せて 腰をすえて武士の世界を描く意義 総力特集「蜩ノ記」 インタビュー 葉室麟[原作者] 総力特集「蜩ノ記」 作品評 武士の責務を果たすということ 総力特集「蜩ノ記」 作品評 武士と百姓の連帯 総力特集「蜩ノ記」 インタビュー 堀北真希 総力特集「蜩ノ記」 インタビュー 原田美枝子 総力特集「蜩ノ記」 インタビュー 岡田准一 総力特集「蜩ノ記」 インタビュー 役所広司 |
2014年10月上旬号 | 「蜩ノ記」小泉組ノ記 最終回 |
2014年9月下旬号 | 「蜩ノ記」小泉組ノ記 第四回 |
2014年9月上旬号 | 「蜩ノ記」小泉組ノ記 第三回 |
2014年8月下旬号 | 「蜩ノ記」小泉組ノ記 第二回 |
2014年8月上旬号 | 「蜩ノ記」小泉組ノ記 第一回 |
2013年8月上旬号 | 日本映画 NEWS SCOPE CRANK IN, CRANK UP |
2013年4月上旬号 | 日本映画 NEWS SCOPE CRANK IN, CRANK UP |