解説
「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」の長谷川三郎監督がフォトジャーナリスト広河隆一の軌跡を追ったドキュメンタリー。パレスチナ、チェルノブイリ、福島、沖縄へと取材・救援活動を続ける広河の原点を見つめ、現在の活動に密着する。撮影を「歩いても 歩いても」の山崎裕、音楽を「ホノカアボーイ」の青柳拓次、録音を「あん」の森英司がそれぞれ担当。
映画館で観る
配信で観る
Blu-ray&DVDで観る
TVで観る
この作品のレビュー
映画専門家レビュー
-
映画評論家上島春彦広河の仕事も生き方も立派なのはよく分かった。それにしちゃ星が伸びないのは「仕事も生き方」も監督の客観視の範疇から一歩も出てこない気がするからだ。ずっと広河に語ら... もっと見る
-
映画評論家北川れい子撮る人、を撮る。近年、よく見かける。当然、撮る人を撮ることによって、その撮られた作品と撮る人の関係が一体化、記録映画を撮る側としては一石二鳥的効果があるってワケ... もっと見る
-
映画評論家モルモット吉田「早く来てれば息子は助かったのに」とパレスチナで詰られたという広河。時として暴力に例えられるカメラは、こういう場でこそ役に立つ。チェルノブイリ、福島などへも目を... もっと見る
「広河隆一 人間の戦場」のストーリー
1943年生まれの広河隆一が本格的にカメラを手にしたのは大学2年生の時。ドキュメンタリー写真部を立ち上げ、学生運動の先頭に立った。しかし運動が収束してくると周囲はスーツに身を包み社会と折り合いをつけ始める。その変わり身の早さについていけなかった広河は大学卒業後、1967年からイスラエルの農業共同体キブツに参加、社会主義の実践を掲げるコミュニティに理想を求めた。だがその直後、第3次中東戦争が勃発。彼の取材の歴史はパレスチナから始まる。1982年、イスラエル軍に包囲されたレバノンのパレスチナ難民キャンプで起きた虐殺事件を撮影、その映像が証拠として世界に配信された。1989年にはチェルノブイリ事故によって立入禁止になった地区を西側のジャーナリストとして初めて取材し、隠された放射能汚染を告発。人間の尊厳が奪われている場所を広河は“人間の戦場”と呼ぶ。「どうすればこういう風景が広がることから免れるのか。失われたのは健康だけでなく、故郷とそのなかにある記憶。そういうものを撮ることがフォトジャーナリストの大事な仕事」と語る広河。一方、活動は取材だけにとどまらず、「チェルノブイリ子ども基金」「パレスチナの子どもの里親運動」を立ち上げ、傷ついた子どもたちの救援活動に奔走する。2011年の福島原発事故後には子どもたちの健康回復のため、沖縄県久米島に保養センター「球美の里」を設立。そして2014年、広河は10年務めてきた報道写真誌「DAYS JAPAN」編集長を退任する。それは残された時間を現場取材に献げるための決断であった。
「広河隆一 人間の戦場」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「広河隆一 人間の戦場」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2015 |
公開年月日 | 2015年12月19日 |
上映時間 | 98分 |
製作会社 | Documentary Japan Inc. |
配給 | 東風 |
レイティング | |
カラー/サイズ | カラー |
公式サイト | http://www.ningen-no-senjyo.com/ |
コピーライト | (C)2015 aureo |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
2016年1月下旬号 | REVIEW 日本映画&外国映画 公開作20作品、60本の批評 「広河隆一 人間の戦場」 |
2015年12月下旬号 | UPCOMING 新作紹介 「広河隆一 人間の戦場」 |