解説
小林政広監督と仲代達矢が「春との旅」「日本の悲劇」に続き三度組んだ人間ドラマ。認知症の疑いがかかった往年のスター桑畑兆吉は家族に騙され老人ホームに入居。脱走し海辺をさすらううちに妻以外の女に産ませた娘と再会し、彼の胸に人生最後の輝きが宿る。芝居をこよなく愛しシェイクスピア四大悲劇の一つ『リア王』と自身を重ねる兆吉を仲代達矢が演じるほか、「リップヴァンウィンクルの花嫁」の黒木華、「蜩ノ記」の原田美枝子、『深夜食堂』シリーズの小林薫、「海よりもまだ深く」の阿部寛らが出演。
この作品のレビュー
映画専門家レビュー
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評論家上野昻志見る前に想像していた通りの映画だったのに驚いた。いや、お話ではありませんよ。だいたい、この映画、基本的な設定があるだけで、物語らしい物語があるわけではないから、... もっと見る
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「海辺のリア」のストーリー
舞台に映画にと役者として半世紀以上活躍し俳優養成所を主宰する往年のスター、桑畑兆吉(仲代達矢)。芝居をこよなく愛した彼も今や認知症の疑いがかかり、長女の由紀子(原田美枝子)とその夫であり兆吉の弟子だった行男(阿部寛)、さらに由紀子の愛人である運転手(小林薫)に遺書を書かされた挙句に高級老人ホームへ送られる。しかし兆吉は施設を脱走し、シルクのパジャマの上にコートを羽織った姿でスーツケースを引きずりながら海辺をあてもなくさまよい歩く。すると、妻以外の女に産ませた娘・伸子(黒木華)と突然再会。兆吉は私生児を産んだ伸子を許せず、家から追い出していた。そんな伸子に、シェイクスピア作の悲劇『リア王』に登場するリアの末娘・コーディーリアを重ねる兆吉。『リア王』の狂気が乗り移りかつての記憶が溢れ出す兆吉の心に、人生最後の輝きが宿る。
「海辺のリア」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「海辺のリア」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2016 |
公開年月日 | 2017年6月3日 |
上映時間 | 105分 |
製作会社 | 「海辺のリア」製作委員会(日本映画放送=カルチュア・エンタテインメント=WOWOW=ビーエスフジ=東京テアトル)(企画・制作:モンキータウンプロダクション) |
配給 | 東京テアトル |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
公式サイト | http://www.umibenolear.com/ |
コピーライト | (C)「海辺のリア」製作委員会 |
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