解説
成田空港建設反対闘争を、地元農民たちの証言から捉えたドキュメンタリー「三里塚に生きる」の姉妹編。三里塚闘争の責任者や、支援に入った農家の若者と結婚した女子学生らが当時とその後の50年の記憶をたどりながら、農民と共に闘った若者たちの人生を追う。監督・製作・編集は「三里塚に生きる」の代島治彦。撮影を「沖縄 うりずんの雨」の加藤孝信、音楽を「三里塚に生きる」「岸辺の旅」の大友良英が手がける。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
-
ミャーノフ大佐
代島監督は私とほぼ同世代であり、学生の頃感じていた、遅く生まれてきてしまった、間に合わなかった、世代の想いがこの映画に滲んでいる気がする。もう少し早く生まれていれば、学生運動に参加できたのに。私の兄貴は真っ只中の世代で、大学の卒業式が無かった時代。私は、その数年後、大学紛争後、入学式が復活した年に入学した。そんな遅れてしまった世代。
成田空港管制塔占拠事件は、大学2,3年の頃。すでに新左翼は分裂、内ゲバ、浅間山荘事件、連合赤軍内の同志の粛清、等により市民からは拒否されていた。その新左翼が成田闘争に入ってきていたのだから、成田闘争が市民の共感を得られたのか。国家の横暴、農民の苦渋を市民、国民にきちんと伝えることができただろうか。
三里塚闘争の活動家達へのインタビュー。成田闘争へ参加した活動家達は純粋に国家権力と戦い、勝利を目指していた。だけど負けた。
ラスト、空港公団用地買収担当職員の「公団に入らなければよかった。」。
活動家の「成田闘争は失敗だった。」旨の発言に対し、代島監督が「それは、あなたの失敗でもあるわけですよね。」の発言は、遅れてしまった我々世代の免罪符でもある。
「三里塚のイカロス」のストーリー
ある日突然、この土地に空港を作るから出て行きなさいと言われた農民たちの闘い。それが日本で最大の、そして最後の国家権力に対する抵抗運動、成田空港建設反対闘争である。1966年、千葉県成田市三里塚の農村地帯に巨大空港を作ることを決定した政府による暴力的な土地収奪に、農民たちは抵抗運動を開始。そこに農民たちの抵抗を支持し、三里塚を革命のための拠点とし、すべては変えられると信じていた若者たちが集まった。あれから50年。“サンリヅカ=三里塚”から毎日、海外旅行へと人々が出発つ。そこでかつて何があったのかを、多くの若者たちは知らない。成田空港のその下に“あの時代”が埋まっていることを忘れてしまった人も多い。三里塚現地責任者を務めた元中核派政治局員や、地元農家の若者と恋をして結婚した元ML派(共産主義者同盟マルクス・レーニン主義派)の女性、三里塚の空港反対運動を指導した農民運動家、用地買収を担当した元空港公団職員らがこれまで誰にも語らなかった“あの時代”と“その後の50年”の記憶を語る。
「三里塚のイカロス」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|
「三里塚のイカロス」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | 社会派 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2017 |
公開年月日 | 2017年9月9日 |
上映時間 | 138分 |
製作会社 | 企画・製作:三里塚のイカロス製作委員会 制作:スコブル工房 |
配給 | ムヴィオラ=スコブル工房 |
レイティング | |
カラー/サイズ | カラー/モノクロ |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | http://www.moviola.jp/sanrizuka_icarus/ |
コピーライト | (C)2017 三里塚のイカロス製作委員会 |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
2017年9月下旬号 |
UPCOMING 新作紹介 「三里塚のイカロス」 REVIEW 日本映画&外国映画 「三里塚のイカロス」 |