解説
佐伯一麦による同名小説を「海辺の生と死」の越川道夫監督が映画化。震災で何もかも失い福島の叔母の工務店に身を寄せる由実は、路地裏にある小さな飲み屋で働き始める。だが、店主の杉谷は記憶をすべて失い、自分が何者かさえ分からない孤独を抱え込んでいた。出演は「悼む人」の井浦新、「愛を語れば変態ですか」の黒川芽以、「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」の山田真歩、「海のふた」の鈴木慶一、「笑う招き猫」の諏訪太朗。撮影を「永い言い訳」の山崎裕、音楽を「アレノ」の澁谷浩次が担当する。
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この作品のレビュー
映画専門家レビュー
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評論家上野昻志黒川芽以の由実は、人と接しないときの表情に孤独を宿す。井浦新の杉谷は、居酒屋の客の冗談に返す言葉に戸惑うところに、この暮らしに馴れながらも落ち着けないさまを表す... もっと見る
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映画評論家上島春彦答えのないミステリーというギミックが効果的、真実は月光だけが知っている、という作りである。新の「光」での壊れっぷりは見事だったが、こちらも実は彼が壊れた地点から... もっと見る
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映画評論家吉田伊知郎「光」と同じく井浦の静謐な演技に魅了される。記憶を失くした男と、過去を失って虚無的になった女という設定は小説では有効だが、映画となると男の側は料理や周囲の人々の... もっと見る
「二十六夜待ち」のストーリー
由実(黒川芽以)は、震災で何もかも失い、今は福島県いわき市の叔母の工務店にひとり身を寄せている。心に傷を抱えた由実だったが、少しは外に出なければと叔母に促されるように路地裏の小さな飲み屋“杉谷”で働き始める。だが店主の杉谷(井浦新)には、謎めいたところがあった。彼は、記憶をすべて失い、失踪届も出されていなかったため、どこの誰とも分からない。はっきりしているのは、手が料理をしていたことを覚えていることだけであった。今では小さな小料理屋を任されるまでになったが、福祉課の木村(諏訪太朗)をはじめとしたあたたかな人々に囲まれながらも、彼の心はいつも怯え、自分が何者なのか分からない孤独を抱え込んでいた。そんな孤独で傷ついた魂を持つ杉谷と由実は、“月”と“海”がお互いを引き寄せ合うように、その心と体を寄り添い合わせるようになっていく……。
「二十六夜待ち」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「二十六夜待ち」のスペック
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