解説
南北戦争で荒廃したオハイオ州から中西部へ、徴兵を脱して旅する青年の姿を描く。製作はスタンリー・R・ジャッフェ、監督はロバート・ベントンはこれがデビュー作だが、ハワード・ホークスやジョン・フォードに師事しており、脚本家としては、この作品での共同執筆者でもあるデイヴィッド・ニューマンとコンビで「俺たちに明日はない」「おかしなおかしな大追跡」を執筆している。撮影は「ゴッドファーザー」のゴードン・ウィリス、音楽はハーヴェイ・スミチッド、編集はラルフ・ローゼンブラムが各々担当。出演はジェフ・ブリッジス、バリー・ブラウン、ジム・デイヴィス、デイヴィッド・ハドルストン、ジョン・サヴェージなど。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
原題は「Bad Company」、悪い仲間という意味らしい。時代背景は南北戦争の頃。南北戦争って、アメリカ全土が南と北に別れて戦争していたと思うけど、実際には中西部なんかはまだ未開発で南部も北部もなかったんだろうなあ。
この映画は、盗みや詐欺などを働いて小銭を得ている悪童達が西部を目指す映画だ。
この映画がアメリカン・ニューシネマなのは、主人公たちがヒーローではなく、悪童達にしているところだ(画面全体の雰囲気もニューシネマっぽい)。題材としては面白いが、映画自体は割と起伏がなく。少年らしい失敗をしながら、仲間を失いながらだんだんと悪人になっていく姿を描いている。ラストシーンなんか「明日に向かって撃て」や「俺たちに明日はない」みたいになっている。監督のロバート・ベントンが「俺たちに明日はない」の脚本に加わっているとのことなので、こんなラストを持ってきたのかな。ちょっと他の映画のパクリっぽいけど。銃撃戦で、そう簡単に弾に当たらないところがリアルなんだろうな。映像はきれいだった。
アメリカという国はもともと野蛮な国だから、この映画の主人公たちのように少年達も、徒党を組んで悪さをしていくうちに、生き残った者達がアウトローになっていったんだろうなあ。
邦題の「夕陽の群盗」は映画の内容を表していなくて、どうでも良いようなテキトーなタイトルだ。
主役のバリー・ブラウンってアル・パチーノに似てない?
「夕陽の群盗」のストーリー
1865年、オハイオ州グリーンビルはまさに人間狩の様を呈していた。くしの歯のようにかけた兵士たちを補充するために、軍隊は身体強壮な若者を手当たり次第にかき集めていたのだ。良家に育ったドリュー・ディクソン(バリー・ブラウン)は両親の手をかりてミズリー州へと逃れた。1人になった彼は、西部へ向かう幌馬車隊に加わりたいと願ったが、断わられ、その上、ジェイク(ジェフ・ブリッジス)というケチな泥棒に襲われ、金目のものを奪われてしまった。なにげなく立ち寄った牧師の家で、ドリューは盗みに入ってきたジェイクを再び見つけ取っ組みあいとなった。だが、格闘の末、逆に2人は意気投合し、ドリューはジェイクの悪童仲間と同行することに決めた。この年端もいかぬ少年強盗団は知恵と拳銃を使って、あてのない旅をカンサスへと向かった。ドリューとジェイクの間には、次第に一風変わった友情が芽生えていった。だが、西部は彼らが考えていたほど甘くはなく、はるかに荒っぽく無謀な所だった。特に筋金入りの無頼漢ビッグ・ジョー(デイヴィッド・ハドルストン)に会ったとき、彼らはド肝を抜かれた。拳銃の力と、その無頼の限りに圧倒されてしまったのだ。やがて、1番年少者ブーグがパイを盗んでいる所を、牧場主に射殺され、仲間のジムとロニーもドリューのポケット時計を盗んで姿を消してしまった。数日後、旅を続けるドリューとジェイクは、樹木につるされたローガンとローニーの死体を発見する。ビッグ・ジョーの一味に殺されたのだ。決闘が始まった。2人は必死に撃ちまくり、さすがのビッグ・ジョーもその執念にはかなわなかった。ドリューが盗まれた時計を探している打ちに、今度はジェイクに裏切られてしまった。馬も食料も隠しておいた金までも奪われてしまったのだ。おきざりにされたドリュー端復讐を誓った。数日後、強盗を働いた1味が家に立てこもり、周囲を追手が取り囲んでいるところへドリューはでっくわした。そしてこの強盗団の中にジェイクがいたのだ。1度は復讐を誓ったドリューだが、決心のつかないままジェイクを助けてしまった。夕陽の中で、何かが2人を同じ運命に引き寄せていることを2人は悟るのだった。
「夕陽の群盗」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「夕陽の群盗」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 戦争 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1972 |
公開年月日 | 1973年2月10日 |
上映時間 | 92分 |
製作会社 | ジャ・フィルム・プロ作品 |
配給 | パラマウント=CIC |
レイティング | |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | カラー/スタンダード |
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